思い出の美術館71 - 80

思い出の美術館71:東京都美術館(上野)

上野駅の公園口を出て、西洋美術館を越えて、動物園へ行く道のちょっと右へ行く細い道に入って行くと、チョコレート色の建物があります。これが東京都美術館です。この美術館は、コレクションを持たない、企画展のみの美術館です。ここの前身は、日本美術協会美術展示館と呼ばれていました。

いつも、どこかの美術団体の公募展がおこなわれています。企画展も、質の高い面白いものがよく行われます。私が行ったときは、いつも、よく混んでいて、人の頭越しにしか絵を見られません。1つ挙げれば、数年前に行ったイームス展は印象に残りました。有名なイームスの椅子のデザインの変遷を見る事ができました。

美術館へ行く途中の道に、ホームレスの人が飼っている猫が寝ているのも微笑ましいです。

この美術館は、その後、リニューアルオープンしたのですが、オープン後はまだ行っていません。
思い出の美術館72:熊谷美術館(萩、山口)

毛利氏の城下町、萩は、萩焼や松下村塾で知られた古都です。市の西部にある萩城跡へ行ったあと、菊ケ浜に沿って東に行くと、立派な屋敷が見えてきます。これが、熊谷美術館です。ここは、毛利家の御用商人であった熊谷氏の邸宅を美術館にしたものです。

ここでは、熊谷氏の収集した書画、陶磁器、茶道具などが展示されています。なかでも、雪舟の”破墨山水図”(題名の記憶はさだかではありません)の1つが、印象に残りました。変わったところでは、シーボルトのピアノがありました。音もまだ出る様です。

ここの母屋や蔵の建物自体も、重要文化財になっています。 このあと、萩焼のお店をのぞきながら萩の町を散歩しました。
思い出の美術館73:ナンシー市立美術館(ナンシー、フランス)

フランス東部のロレーヌ地方の中心都市、ナンシーは、アールヌーボーの街です。ここで最も有名な美術館はナンシー派美術館(思い出の美術館10)です。この街にあるもう1つの美術館がナンシー市立美術館です。西にあるナンシー派美術館とは反対に、ナンシー駅の東に向かって、スタニスラフ通りを進んで行くと、スタニスラフ広場に面してナンシー市立美術館があります。

ここは、19世紀初頭に、ナポレオンの命令によって設立されました。ルネッサンスから近代までの絵画、彫刻作品が展示されています。ルーベンス、ドラクロワ、モネ、ピカソなどがあります。アールヌーボー関係では、ガレと並ぶガラス・メーカーであるドーム兄弟のコレクションが充実しています。

スタニスラフ広場の周辺には、アールヌーボー建築はありません。このあたりはロココの世界で、ちょっと装飾過剰な門があります。
思い出の美術館74:春風萬里荘(笠間、茨城)

陶芸の町、笠間の日動美術館(思い出の美術館11)の分館に相当するのが、春風萬里荘です。笠間駅から南の方向に、田園の中の細い道をうねうねと行き、小高い丘を上ったところにあります。りっぱな門を入ると、茅葺きの母屋が見えて来ます。ここは、北大路魯山人の北鎌倉の星岡窯の母屋を移築したものです。

この母屋は、もともと江戸時代初期の豪族の家で、厚木郊外から魯山人が移築したものです。内装には、彼の手が加わっています。トイレの陶器の模様や、陶製の風呂おけの群青色が印象的です。

ここには、”美菜佳魚の壷”のような魯山人の作品や、彼が所蔵していた美術品が展示されています。

ちなみに、星岡窯は、イサム・ノグチが日本にいるとき、女優の山口淑子といっしょに過ごした場所でもあります。
思い出の美術館75:横山大観記念館(池之端、東京)

根津の方から不忍通りを南下すると、不忍池のあたりで、ビルにはさまれた和風の邸宅が見えてきます。これが、かつて横山大観の邸宅であった横山大観記念館です。横山大観は、岡倉天心とともに日本美術院を設立し、日本画の近代化に寄与しました。

1階には、大観の愛蔵の不動明王像があります。また、彼の初期の美人画”あやめ”がありました。ちょっときしむ階段を登って2階に行くと、”伊豆の春”などの風景画がありました。

庭園も、小さいながら趣のあるものでした。東京の真ん中とは思えないたたずまいです。

このあと、この近くの旧岩崎邸にいったら、ちょうど庭園でコンサートをやっていました。
思い出の美術館76:アルザス地方博物館(ストラスブール、フランス)

ストラスブールは、フランス東部、アルザス地方の古都です(思い出の美術館52)。バラ色のの石の大聖堂で有名です。大聖堂から南に出て、イル川をわたり、川沿いに少し歩くと、童話のような建物があります。これが、アルザス地方博物館です。

ここでは、アルザス地方の特徴的な民俗、風俗について展示しています。民俗衣装、陶器、家具、台所用具、おもちゃなどがあります。アルザスは、フランスとドイツの境界にあり、フランスともドイツとも少しずつ異なる独特の風俗を持っています。

アルザスの民俗衣装としては、赤いスカートに黒いベストのかわいらしいものがあります。この他に、精巧なお菓子の木型や、この地方のお菓子のクグロフの陶器の型がありました。

このあと、この近くのカフェで、町並みの上に顔を出した大聖堂の塔の先端を見ながら、お茶をしました。
思い出の美術館77:仙台市博物館(仙台、宮城)

仙台の青葉通から大橋で広瀬川を渡って、青葉城に入る道の手前、三の丸跡に、大きな建物があります。これが、仙台の歴史や文化を展示する仙台市博物館です。

ここには、伊達氏の宝物、武具を中心として、原始時代から近代までの仙台の歴史的文化財が展示されています。鎧兜、蒔絵の駕篭、陶器、漆器などがあります。

私が、大分前に行ったときには、支倉常長に関する特別展をやっていました。支倉常長は慶長遣欧使節として、ローマに行き、教皇に面会しています。油絵の”支倉常長像”や、キリスト教関係の用具が展示してありました。

ここから、石垣を見ながら道を登って行くと、青葉城跡があります。伊達正宗の騎馬像があります。
思い出の美術館78:神奈川県立近代美術館葉山(葉山、神奈川)

横須賀線の逗子駅からバスにのって、葉山マリーナを見ながら海沿いの道を行くと、ちょっと開けたところに白い建物があります。これが、鎌倉にある神奈川県立近代美術館(思い出の美術館14)の別館である、葉山館です。

ここ独自の収蔵品はないようですが、神奈川県立近代美術館の収蔵品を中心とした企画展をやっています。現代美術系の企画展が多いような気がします。わたしたちが、2006年に行ったときには、”作家たちの贈り物”というテーマで、現代美術作家の展覧会をやっていました。李禹煥の”線より”、堀内正和の彫刻”ななめの円錐をななめに通り抜ける円筒”などがありました。

ここには、なかなかしゃれたレストラン”オランジュ・ブルー”がありましたが、この日は、混んでいて残念ながらはいれませんでした。レストランの席から海が展望できます。
思い出の美術館79:ポンピドゥー・センター(レ・アル、パリ)

以前にパリに行ったときには、レ・アルにあるホテルに泊まったのですが、そこから東にまっすぐに進んで行くと、サン・マルタン通りを越えたところに、外壁にチューブのはう異様な建物があります。これが、レンゾ・ピアノのデザインのポンピドゥー・センターです。ここには、4階5階に国立近代美術館があり、そのほかに音楽や映画など、芸術全般のための施設があります。

ニキ・ド・サンファルの不思議な噴水のある前庭を見ながら、チューブの中のエスカレーターに入り、登っていきます。上からは、パリの町を見渡すことができます。5階の近代美術館に入ります。ここには、フランスを中心とする20世紀美術の厖大なコレクションがあります。

おもな作品としては、マチス、”赤い室内”、ブラマンク、”赤い木のある風景”、ピカソ、”画家とモデル”、マン・レイ、”モンパルナスのキキ”、フジタ、”自画像”、”カフェ”などがあります。この他に、カンディンスキー、クレー、デュシャンなどの作品もあります。全部見るのは、なかなかたいへんです。

ポンピドゥー・センターは、最近、改修を終えましたので、今は少し変わっているかもしれません。
思い出の美術館80:京都国立博物館(京都)

京都駅の前の七条通りを東に行くと、七条大橋で鴨川を越えて、三十三間堂の前に出ます。三十三間堂に通りをへだてて向かい合っているのが、京都国立博物館です。赤レンガ造りの重厚な建物は、片山東熊設計のフランス・ルネサンス建築を思わせる明治の建物で、これだけでも一見の価値があります。

平安時代から近代までの美術品の、国宝を含む優品を所蔵しています。代表的なものは、”十二天画像”(東寺)、”餓鬼草子”、”粉河寺縁起”、雪舟”天橋立図”、”阿弥陀如来座像”(西林寺)などがあります。”十二天画像”は、平安時代の仏画らしく、豊かに装飾されています。”粉河寺縁起”は平安期の寺社縁起絵巻の優品です。

ここにはしゃれたカフェもあるようですが、残念ながら入ったことはありません。 このあたりには、三十三間堂や知恩院など、見どころがたくさんあります。

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