思い出の美術館181 - 190

思い出の美術館181:似鳥美術館(小樽、北海道)

JR小樽駅前を東に行って、日銀通り(旧日銀小樽支店のある通り)を北につまり海の方へ行くと、郵便局の向かいにレトロなビルが見えてきます。これが似鳥美術館で、小樽芸術村の一部です。ちなみに、このビルはかつての拓銀小樽支店です。

入り口に入るとすぐ、ステンドグラスが展示されています。主な展示室は3、4階。4階は日本画です。大観:”富士”、”月四題”、東山魁夷:”山湖遠望”、平山郁夫:”月光砂漠行”、片岡球子:”富士”、上村松園:”桜可里図”など。

4階は洋画です。フジタ:”婦人と犬”、”自画像”、ルノワール:”二人のセイレーン”、ユトリロ:”ヴュー・ムーランの教会のある通り”、小磯良平:”少女像”、岸田劉生:”黒き土の上に立てる女”など。特に、ここに2点のフジタがあることは、貴重です。

そして地下には、ガレ、ドーム、ラリックなどのガラス作品があります。

ニトリ社長のコレクションはすごいですね。それをこのように公開してくれるのは、企業のメセナ活動として意義のあることだと思います。
思い出の美術館182:埼玉県立近代美術館(北浦和、埼玉)

JRの北浦和の駅の西口で降りて、まっすぐ進むと、北浦和公園があります。現代彫刻がいくつか置かれ、おもしろい噴水もある公園です。そして、公園の奥にあるポストモダン風の建物が埼玉県立近代美術館です。

行ったときには、常設展をやっていました。主な作品は、モネ:”ジヴェルニーの積みわら”、ルノワール:”三人の浴女”、ピサロ:”エラニーの牛を追う娘”、ユトリロ:”サクレ=クール寺院”、シャガール:”二つの花束”など。

そして埼玉ゆかりの現代画家、瑛九の特別展もやっていました。霞のように散らばる色の点よりなる抽象作品です。

美術館のパンフレットも無いような弱小美術館なのに、収蔵品のクオリティーが高いのには驚かされます。
思い出の美術館183:草間彌生美術館(早稲田、東京)

地下鉄東西線の早稲田駅で降りて、東に向かい、弁天町の信号で右折してしばらく行くと、見えてくる銀色のビルが草間彌生美術館です。2017年にできたばかりの新しい美術館です。

ビルが小さいので、展示作品はあまり多くありませんが、主な作品は、初期の”無限の網”など、最近作の”わが永遠の魂”シリーズ、そして立体作品の”天国への梯子”、”PUMPKIN”です。

ここは完全予約制なので、1回に入れる人数は数十人くらい。それも、9割は外国人なのでびっくりしました。

映画でその製作過程を見た、”わが永遠の魂”シリーズが見られたのは良かったですね。高年齢になっても衰えない製作意欲には脱帽です。
思い出の美術館184:漱石山房記念館(早稲田、東京)

地下鉄東西線の早稲田駅を降りて、”漱石山房通り”と名付けられた斜めの細い道に入って行くと、早稲田小学校を過ぎたあたりに漱石山房記念館があります。漱石が晩年を過ごした家、”漱石山房”跡に最近建てられた施設です。

ここには、漱石作品のオリジナルの版や、漱石の原稿、書簡、絵画などが展示されています。また、漱石が執筆をしていた書斎が再現されています。彼の絵は、うまくはないが、とぼけた味のある絵です。

私が行った時には(2019年4月)、彼の弟子である鈴木三重吉についての特別展がありました。

記念館の裏には漱石公園があり、そこに猫の墓である猫塚の石塔がありました。ここのすぐ近くには、草間彌生美術館(思い出の美術館183)があります。
思い出の美術館185:町田市立国際版画美術館(町田、東京)

小田急の町田駅を降りて、東に進み、わかりにくい細い道を北に進むと、芹が谷公園があります。この公園の中にあるのが、国際版画美術館です。私立とはいえなかなかりっぱな美術館です。

収蔵品には、浮世絵やデューラーの銅版画など、国内外の版画があるようです。

私が行った時には(2019年4月)、長谷川潔の特別展をやっていました。”マニエル・ノワール”という銅版画技法を用いて、パリで活躍した版画家です。主な展示作品は、”アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船”、”アネモネと野草”、”玻璃球のある静物”など。静謐で神秘的な画面です。

同時に開催されていた”浮世絵と百人一首”という展示も面白かったです。

ちょうど桜の季節だったので、帰りに公園でお花見をしました。
思い出の美術館186:UBC人類学博物館(バンクーバー、カナダ)

バンクーバーのダウンタウンから4番のバスに乗ってしばらく行くと、終点のブリティッシュ・コロンビア大学に着きます。広大な大学の北西の海岸近くにあるのが、カナダ先住民文化のコレクションで有名なUBC人類学博物館です。

主な展示品は、ハイダ族、ムスケアム族などの、木彫、トーテムポール、扉、船などです。私の印象に残ったのは、熊?と思われる大型の木彫作品です。

その他に、日本を含む世界中の人類学資料、ヨーロッパの陶磁器などの展示もあります。先住民の現代美術作家の作品もありました。

博物館の裏には、トーテムポールや再建された家屋の野外展示もあり、景色が良いので、ここでスケッチをしました。

ここの近くには、新渡戸記念庭園があります。
思い出の美術館187:バンクーバー美術館(ジャコメッティ特別展)(バンクーバー、カナダ)

バンクーバー美術館については、前回のバンクーバー良好の時(思い出の美術館58)、すでに書きましたが、今回(2019年6月)、再び行ったので改めて書きます。

この美術館は、地下鉄カナダ・ラインのバンクーバー・シティセンター駅のすぐそばです。前回の旅行の時にはカナダ・ラインが無かったので、今回は行きやすくなりました。

行った時には、ジャコメッティの特別展をやっていました。彼の初期から晩年までの作品、さらに彼の周辺の作家まで含めた大規模な展示です。

初期のシュールレアリスム的な彫刻から、彼の特徴的な、肉をそぎ落とした人間像への発展が辿れます。彼の素描がたくさん来ていたのも、うれしいですね。また、彼の弟、ディエゴのデザインした椅子もありました。

カナダの女性画家、エミリー・カーの展示も、いつも通りありました。
思い出の美術館188:アーティゾン美術館(京橋、東京)

東京駅の八重洲口を出て、八重洲通りをしばらく行くとある新しいビルが、アーティゾン美術館です。ここは、かつてのブリジストン美術館(思い出の美術館50)がリニューアルされたものです。この時、久留米の石橋美術館(思い出の美術館163)からも、有名作品を移籍しています。

リニューアルによって、展示スペースはだいぶ広くなったようです。私が行った時には(2021年11月)、収蔵品の目玉である、印象派の展覧会が行われていました。主な作品は、マネ:”自画像”、ドガ:”浴後”、ルノワール:”すわるシャルパンティエ嬢”、モロー:”化粧”など。見応えのあるコレクションです。

特別展としては、青木繁:”海の幸”に基づいた、森村泰昌氏の新作、「M式海の幸」展が行われていました。青木繁の”海の幸”や、”わだつみのいろこの宮”なども展示されていました。わざわざ久留米まで行かなくても見られるのは、いいですね。
思い出の美術館189:自由学園明日館(池袋、東京)

池袋駅西口を出て、メトロポリタン通りを南西に行って、さらに細い道をくねくね行くと、印象的なデザインの自由学園明日館があります。羽仁もと子夫妻の依頼により、フランク・ロイド・ライトが設計した建築です。大正時代に建築されました。

2021年には、創立100周年を迎えます。ホールの縦長の窓の幾何学的な装飾は、ライトの特徴を示しています。背もたれが6角形の椅子は、帝国ホテルの椅子を思わせます。

内部には、フランク・ロイド・ライトのミニギャラリーもあります。彼の生涯の概略が展示されています。ライトのお人形がキュート。
思い出の美術館190:スカイ・ザ・バスハウス(谷中、東京))

日暮里駅を降りて、谷中霊園を突っ切り、道なりに南西に歩いていくと、かつての銭湯があります。これが、銭湯を利用したギャラリー、スカイ・ザ・バスハウスです。主に現代美術のギャラリーとして活動しています。

私が行った時には(2021年11月)名和晃平の「TORN SCAPE」という作品が展示されていました。雲の湧き出すような映像を、デジタルシミュレーションで発生させるという作品です。ある意味、銭湯にふさわしい(湯気?)と言えるでしょうか。

銭湯のときの下足箱が、そのままあるのが面白い。近所には、下町風俗資料館や、台湾のスイーツ、オーギョーチーがあります。

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