思い出の美術館101 - 110

思い出の美術館101:広隆寺霊宝殿(京都)

京都の京福線の太秦駅を降りると、すぐ前に、広隆寺の大きな山門がそびえています。山門に入って進み、講堂をすぎて寺の奥に行くと、霊宝殿があります。ここには、国宝を含む、寺の宝物が展示されています。

ここの目玉は、国宝の”弥勒菩薩半跏思惟像”です。崇高な微笑を表す、白鳳期の仏像の優品です。この像の美しさに見とれた学生が、思わず指を折ってしまった事件でも知られています。この他に、”泣き弥勒”として知られる、もう1つの弥勒菩薩半跏思惟像もあります。他に、見上げるような大きな像である、千手観音像、十二神将像も、見ごたえがあります。

広隆寺の近くには、太秦映画村もあります。京福電車に乗っていくと、嵯峨野はすぐです。
思い出の美術館102:後藤純男美術館(上富良野、北海道)

上富良野市街から十勝岳へ向かう道をしばらく行って、左に曲がると、農地の真ん中にちょっとしゃれた建物があります。これが、北海道を好んで描いた画家、後藤純男の美術館です。

千葉県出身の日本画家、後藤純男は、北海道の風景を愛し、晩年、上富良野にアトリエを造り、その後、ここが後藤純男美術館となりました。美術館に入って最初の部屋には、京都、奈良の風景を描いた、大画面の絵があります。”新雪嵐山”は、渡月橋に雪の積もったさまを、リアリズムで描いています。次の部屋には北海道の風景を描いた大作がありました。”流氷の春”(写真)が印象にのこりました。その他に、中国の風景を描いた小品も、多数ありました。

2階のカフェテリアからは、十勝岳を望むことができるのですが、この日は、曇っていて良く見えませんでした。
思い出の美術館103:ゲティ・センター(ロスアンゼルス)

ゲティ・センターは、おそらくアメリカ西海岸で最大の美術館です。ロスアンゼルス西部のサンタモニカの近くにある、小高い丘の上にあります。ここは、大富豪のポール・ゲティの個人コレクションを公開するために建てられました。5つの展示館を含む、広大な美術館複合体です。

丘の下のセンターの入り口に着くと、かわいいトラムに乗って丘の上に上っていきます。まず、エントランスホールに入り、ガイドマップをもらいます。

この美術館は、装飾美術や中世美術を中心としていますが、19-20世紀の美術もあります。北館には、中世からルネッサンスのキリスト教美術があります。東館には、バロック美術があり、ここでは、レンブラントを見ます。

南館には家具や工芸品などの装飾美術があります。ここのテラスから、ロスアンゼルスの街を見下ろすことができます。西館には、近代美術があります。ここに、ゴヤ、ミレー、コロー、モロー、ドガ、モネ、セザンヌ、ゴッホなどがあります。ここではゴッホの”アイリス”が目玉です。

エントランスホールの手前には、すてきなレストランとカフェテリアがあります。私達はカフェテリアでランチをしました。これだけの美術館が(トラムも含めて)ただなのには、驚かされます。日本の金持ちには、まねのできないことですね。
思い出の美術館104:小樽市美術館(小樽)

運河と石蔵の街、小樽の、中央やや東よりにある浅草通りを、海側に向かって歩いて行くと、旧日本銀行小樽支店が見えてきます。この日本銀行の、通りをへだてた向かいにあるのが、小樽市美術館です。この建物には、文学館も併設されています。この建物は旧小樽郵便貯金局を利用したものです。

ここには、小樽出身、または、小樽に縁のある画家の作品が展示されています。1階には、小樽出身の風景画家である中村善策(写真)の常設展があります。小樽や信州の風景を、あざやかに描いています。私達が行ったときには、2階では、新收の作品展をやっていました。これも、小樽に縁のある現代作家の作品です。具象、抽象を含めて、いろいろな作品がありました。

美術館前の通りをさらに降りて行くと、小樽の観光スポットの運河があります。このあたりには、おもしろいお店や、気のきいた喫茶店がたくさんあります。
思い出の美術館105:京都文化博物館(京都)

京都の中心部にある三条通りは、明治大正期の歴史的建造物の残る、面白い通りです。この三条通りと高倉通りの角に建つ、れんが造りの建物が京都文化博物館です。この建物は、旧日本銀行京都支店であり、東京駅を設計した辰野金吾の設計で、明治39年に建てられたものです。

展示館は、れんが造りの建物の隣にある7階建てのビル(本館)にあります。3階の美術工芸展示室では、”京都府コレクション”として京都に縁の有る現代作家の作品が展示されていました。洋画、日本画、衣装、人形などがありました。

2階の歴史展示室では、古代から明治までの京都の歴史が、展示されています。さまざまな織物や、十二単の展示が印象にのこりました。

ここの近くには、イノダコーヒーの本店があります。ここで、有名な”京の朝食セット”を食べました。
思い出の美術館106:ロスアンゼルス現代美術館(MOCA)(ロスアンゼルス)

ロスアンゼルス中心部のダウンタウンにある、銀色の貝殻のような不思議な建物がウォルトディズニー・コンサートホールです。このコンサートホールのななめ向かいにあるのが、現代美術館(MOCA)です。ロスアンゼルス市民と芸術家のグループによって1979年に設立されました。

ここには、戦後から現代までの現代美術が収蔵されています。リキテンシュタイン、オルデンバーグ、ロスコ、ポロックなどの作品があります。私達が行ったとき(2007年11月)には、マック・クラークというドイツの現代作家の特別展がおこなわれていました。建築や廃虚をモチーフとした絵画や立体の作品です。会場では、入場者にこの作家の壁紙を配っていました。

MOCAの別館が、リトル・トーキョーの日系人博物館のとなりにあります。私達が行ったときには、大規模な村上隆の特別展をやっていました。キキカイカイのシリーズや、巨大な立体作品が展示されていました。村上隆とルイ・ヴィトンのコラボレーション作品を売るショップまで、出ていました。観客の入りもなかなか良かったです。
思い出の美術館107:タイ国立博物館(バンコク、タイ)

バンコクの西部、王宮前広場やタマサート大学のそばに、タイを代表する博物館、タイ国立博物館があります。建築は、タイの寺院建築を模した白と金の建物です。ここには、先史時代から近世までのタイ王室の宝物が展示されています。

仏教美術としては、黄金の仏像、仏伝図などがあります。タイの仏教は、上座部仏教(小乗仏教)なので、仏像は如来形が基本です。日本の仏像のように色々の形をした像は見られません。王室関係では、王座、王の乗り物などがあります。その他に、陶器、楽器、衣装、織物、染色品なども展示されています。

ここから少し歩けば、チャオプラヤー川です。また、この近くには、有名なエメラルド寺院(ワット・プラ・ケオ)があります。
思い出の美術館108:東京都現代美術館(木場、東京)

地下鉄の半蔵門線の清澄白河の駅で降りて、東京都現代美術館の矢印にしたがって、レトロな下町の商店街を歩いて行きます。ちょっと大きな通りを渡ると、東京都現代美術館に着きます。正面に水面を配した、ポストモダン建築です。

この時には、スタジオ・ジブリ関係の特別展をやっていましたが、時間がなかったので、常設展だけ見ました。常設展でも十分に楽しめました。ここには、主に1960年代以降の作品が収蔵されています。

大御所の作家としては、リキテンシュタイン、フォンタナ、イヴ・クライン、草間弥生などの作品がありました。若手では、奈良美智、ヤノベケンジ、加藤美佳、マシュー・バーニーなどが印象に残りました。広い空間に、余裕をもって展示されています。

ここにもちょっとお洒落なレストランがありますが、商店街でおそばを食べたりするのも良いですね。
思い出の美術館109:山種美術館(三番町、東京)

地下鉄半蔵門線の半蔵門駅で降りて、イギリス大使館横を進み、内堀通りを少し北に行くと、大きなビルの一角に、山種美術館があります。ここは、山種証券の創始者、山崎種二氏のコレクションを中心とした美術館です。

コレクションは、明治から昭和期の日本画、1800点あまりです。主な収蔵品は、竹内栖鳳”班猫”、上村松園”砧”、村上華岳”裸婦図”などですが、この時には出ていませんでした。

この時(2008年9月)には、奥村土牛、小倉遊亀、片岡球子の特別展をやっていました。ちょうどテレビでやっていた奥村土牛の”門”が出ていました。そのほかに、奥村の”鳴門”、小倉の”舞う(舞妓)”、片岡の”北斎と馬琴”などがありました。

ゆっくりと見ていたら、美術館の前にバスが止まって、団体さんが入ってきて、にぎやかになりました。

なお、この美術館は2009年秋に、広尾に移転しました。移転してからは、まだ、行っていません。
思い出の美術館110:出光美術館(丸の内、東京)

地下鉄日比谷線の日比谷駅で降りて、大手町よりの出口を出て、帝国劇場のほうに歩いて行くと、観劇帰りの人々が大勢歩いてきます。この帝国劇場と同じ建物にあるのが、出光美術館です。初め、入り口がわからなくて、うろうろしてしまったのですが、劇場のわきにひっそりと入り口がありました。紳士に案内されてエレベーターに乗り、9階で降りると美術館です。

ここは、出光の創業者、出光佐三のコレクションを中心とした美術館です。日本の古画、陶磁器、工芸、近代の日本画、洋画、ルオー、ムンクの作品などが収蔵されています。

私が行ったときには(2008年9月)、近代日本の日本画、洋画、工芸の巨匠の作品を展示していました。主な展示品には、上村松園”灯”、月岡芳年”風俗三十二相”、佐伯祐三”踏切”、小杉放菴”南庭”などがありました。陶芸では、富本憲吉や板谷波山の作品がありました。小さな美術館にしては、展示が充実しています。

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