Keith Jarrett - An Evening of Solo Piano  

日時:99/09/27 (mon) 19:00 開演
場所:東京文化会館大ホール

きっかけ:
  会社の同僚O氏が、連れの突然のキャンセルでチケットが余ったというので、ラッキーにも公演にくることが出来た。

座席:3階 R2扉 2列(ステージに向かって右の列から見下ろす感じ。彼の顔はよく見えた。チケット代は、A席 \8,000)

ステージにはグランドピアノが鍵盤を左に向けて1台と、その手前の観客席側にスタンド式のマイクが立っている以外は他に何もない。ホールはほぼ満席で皆静かに keith が現れるの待っている。緊張してくる。

19:05 ホールの照明がおちて、ステージだけに明かりが残る。keith が左手奥からソロソロと歩いて出て来た。一斉に拍手が鳴り響く。客席に深くお辞儀をして、拍手が止むのを待ってピアノの前に座る。少し俯いてしばし集中。両手を鍵盤に乗せてからは30分近く弾きっぱなしだった。1曲ではなかったのかも知れないが、切れ目のない長い演奏である。勿論、曲名は不明。難しい、何時終わるとも分からない曲。とにかくジッと聞き入った。1曲目は難解で消化不良のまま。予習はしてきていないから先入観はない(実は彼のレコードをまともに聞いたことがない)。が、どう受け止めて良いか、準備が足りない。1曲終わってグラスの水(?)で喉を潤す。

2曲目はメロディアスな5分くらいの短い曲。聞きやすかった。私の緊張もややほぐれてきた。ジッとして聞くのは疲れる。もっとノリノリでライブハウスにいるような雰囲気ならリラックスできるのに。周りの雰囲気に囚われている。

3曲目以降は何曲あったか確かではないが、20:00 過ぎには前半の演奏が終了。20分の休憩に入る。keith は拍手に答えるように数回深くお辞儀をして奥へ引っ込んだ。
我々もエントランスホールでアイスコーヒーを飲みながら感想を言い合う。

20:20 を前に席に戻る。再び、keith 登場。前半と同じようにして椅子に座り、しばし集中したかと思うと、やはり5分くらいの曲を2曲続けて弾いた。この後、21:00 まで何曲あったかは忘れたが、知っている曲もなく、演奏メニューも明らかではないのでしようがない(メモでも取れば良かったか?)。それはロマンティックな演奏にグッと引き込まれていった証拠。

ソロということもあり、スローテンポのクラシック調のものや、アップテンポのジャズ、思わず体が動いてしまうR&Bもある。私にはノリの良いほうが会っているし、印象に残る。

21:00 過ぎには本番は終了するが、ステージを去っても拍手は鳴り止まず、当然みなアンコールを求めて拍手。しばらくして現れた彼は拍手に答えるように何度もお辞儀をしてアンコール曲を演奏し始めた。彼がピアノの前に座るとシーンと静まりかえる。
  一曲終わって、再び奥へ下がっても拍手は鳴り止まず、再び現れた彼は観衆に手を挙げて答えるだけで、また奥へ下がった。もうこれで終わりと思ったが熱狂的なファンが多いようで拍手は鳴り止まない。一緒になって拍手。2曲目のアンコールを弾くために彼は現れた。ノリの良い、本人も立ち上がりながら弾くほどの曲。リズムに合わせてホールからもチラホラと手拍子が聞こえるが全体には広がらない。これが不満だったかkeithはお辞儀もせずに、引っ込んでしまった。

  それでもまた拍手は鳴り続いた。スタンディング・オベーションで現れるかどうかも分からず拍手。もう来ないだろうと半ば諦めていたが彼は現れた。そしてなんと三度目のアンコール曲を弾き始めた。思わず声を上げたほどだ。ヒューヒュー。日本の童謡のような、カントリーのような、なにか懐かしい感じがするすごく良い曲だった。

  みな立ち上がってkeithを一段と大きな拍手で見送った。もう私は十分だ。飽きたわけではない。感動が冷めないうちにホールを出たいと思った。それだけ。その足で上野の仲町の居酒屋へ飲みに行ったが。

  飲み屋で始めてkeithが少し前まで病気と闘っていたことを知った。入場時にもらったパンフレット代わりのCDケースに入っていた小冊子には「慢性疲労症候群」という文字があった。2年半のあいだ演奏もままなかったらしい。こういう経過に詳しいファンたちが大勢いたのだからと、あの熱心な歓迎も納得できた。

*piano solo としては12年ぶりの来日だったらしい。

*丁度前列のおばさんが始終チョロチョロ動くので気になってしょうがない。

チケットをまわしてくれたO君、ありがとう。また、よろしく!
(1999.09.30)