山ある記

戸隠山   (とがくしやま 1,904m) − 長野県戸隠村             2004.07.18 (日)

天候:晴れ
標高差: x m(未登頂)
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天狗ノ露地あたりから飯綱山を望む(19kb)

  <垂直な岩壁を前にして、高所恐怖症を発症・・>
 戸隠山は壁のように切り立った岩山が連なる連山となっている。今回、登頂を目指したのは連山の最高峰である西岳(2,053m)ではなく、登山口の戸隠神社奥社から眺められる、いわゆる戸隠山と呼ばれる地点である。
 車検の期限切れが近づいたのを機に買い換えた車が前日に納車され、早速山へ出掛けたくなった。朝から少し腰痛があったが気持ちを抑えきれずに出掛けた。奥社入り口の駐車場は満車。神社への参拝客がそれほど多いとは想像していなかった。仕方なく少し戻って、森林植物園に駐車する。
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岩壁に花をつけるクルマユリ(33kb)

11:35 駐車場(標高約1,220m)。奥社入り口まで車道を歩く。連休もあってか、車の通行量が多く感じる。奥社までは長い参道を1.9km歩かねばならない。多くの参拝客が様々な服装で歩いているが、サンダルなどを履いている女性たちもいて、よくそれで歩けるものだと感心した。参道の半ば辺りに随神門と呼ばれる門があり、この先には実に立派な杉の大木が連なっている。歴史を感じさせる光景である。門の屋根は苔生し、草も生える。案内板にはこの参道が江戸時代に整備されたものだと書かれている。
12:10 奥社(1,330m)。多くの参拝者に続くようにして参道の奥まで辿り着く。鳥居の手前からも戸隠山の山頂がはるかに高い場所に望める。登山道は奥社の社務所左の裏手から始まる。少々休んでから山道に入る。気温22.7度。
12:30 約1,445m地点。やや湿った粘土質の急な坂道。小休止。
12:55 約1,585m地点。最初の鎖場を過ぎた辺りで、休憩。一ヶ月ぶりの山行で足腰が鈍っていた。きつい。気温21.9度。
13:05 百間長屋(1,635m)。岩壁を横一線に掘ったような場所。庇のように人が雨露をしのげるほどの深さに削られている。人為的に掘られたものかどうかは分からない。この先から本格的な岩登りが始まる。西窟の下あたりで中年のご夫婦が一組下山してくる。この日、この山で人に会ったのはこれっきりであった。。
 
<日帰り入浴>
”森林(もくもく)囃子”。戸隠村。\300。
長野市内に続く戸隠バードラインには向かわず、戸隠村役場前を通って、裾花川沿いの祖山という地区に南下。川を渡ったところにある。ツキノワグマの剥製が迎えてくれた。
内湯のみ。

<参考地図>
・分県登山ガイド15 「長野県の山」(山と渓谷社)
・どこでもアウトドア 「日本200名山を登る(下巻)」(昭文社)
・北信・東信 日帰りの山(章文館)

13:45 天狗ノ露地(か?1,790m)。祠のある西窟あたりから何本かの鎖場を過ぎると、西岳方面の稜線がよく展望できるようになる。いよいよ本格的な岩場が始まったようだ。何しろ傾斜がきつい。右手を見ると垂直に切り立った岩壁が伸びている。下を見る勇気もない。見れば足がすくむのが分かっているから見ないようにする。そうでなくとも視界を遮るものはなく、目の前に岩壁が立ちはだかるだけで、いやでもその高度感が伝わってくる。岩を踏み外したら大変なことになるのは容易に想像できる。
13:55 胸突き岩(か?1,805m)。ほぼ垂直の一枚岩。高さ10mということだが、鎖も掛かっているが、次第に身体が動かなくなる。深呼吸して岩に取り付いたのはいいが、頭がクラクラしてくる。ザックも重く肩にのしかかる。悪い癖だ。剣岳の岩場でも同じ感覚を体験した。疲れもあるのだろう。岩の途中で平衡感覚が怪しくなるのが分かる。単なる高所恐怖症に違いないのだが、たった10mが何十mにも見えて、先に進めない。他に登山者がいなかったのが幸い。こんな場所で立ち往生して、後続者がいたら実に迷惑であっただろう。それ以上進む気力を喪失し、情けなくも慎重に下り始める。胸突き岩のその先には更なる難所があることが分かっていただけに、果たして無事下山できるだろうか?と不安も頭に浮かび、登頂を断念。高所恐怖症を克服しないと無理だな・・。
14:40 約1,585m地点。小休止。自信喪失、情けないなとも思いながら下山を続ける。岩壁からぶら下がるようにして車百合が赤い花を付けている。花の写真を撮りながら気を紛らす。
15:05 奥社。ここから少し下った参道沿いのベンチで遅い昼食。
15:25 長い参道歩きで疲れた様子の老夫婦にベンチを譲り、再び下山開始。杉並木をゆっくり眺めながら歩く。杉の樹皮が捻じれながら上に向かっている。巨木たちはほぼ真っ直ぐに立ち、実に異様な風景でもあり、聖域という雰囲気も十分に漂わせている。
16:00 駐車場。かなりくたびれた。精神的にも疲れた。奥社入り口から見た戸隠山はややかすんで見えたが、果たしてそれは今登って来た山だったのだろうか?早く風呂に入りたくなった。

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