狂言 瓜盗人   (うりぬすびと)<大蔵流>  

日時:2002.09.08(sun) 15:00 - NHK教育放送
収録:豊田市能楽堂
出演者:
・シテ・瓜盗人:山本則直
・アド・畑主:山本泰太郎
・笛、小鼓、大鼓、太鼓


内容:
 瓜の出来のよさを喜びながら瓜畑を見回る畑主。そこで何者かが瓜を盗んだあとがあるのを発見。瓜泥棒対策に案山子を置くことにした畑主。また明日見回りに来ると言って、畑を去る。(アドは舞台正面奥に背中を見せて座す)
(シテ登場)シテは畑で立派な瓜を見つけて、つい2、3個盗んでしまった。それを自分が作ったと偽って、ある人物に献上したところ喜ばれ、「もう1つ、2つくれ」と頼まれたと語る。仕方なくまた盗まねばならなくなったと嘆く。
 陽が落ちた頃、畑に盗みにやってくるが、暗くてどれが瓜かが分かりにくい。それでも1つ、2つと見つけていくと、案山子にぶつかる。人と勘違いして驚く。しかしそれが案山子と知って逆上。瓜蔓までも散々に荒らして立ち去る。
 翌日、畑主は畑にやってくると、荒らされた畑を見て案山子では役に立たないと悟り、自ら案山子の姿で見張ることにする(面を着け、棒を手にする)。
 再び、畑に瓜盗人が調子に乗ってやってくる。案山子を見つけた彼は、それを嘲笑うかのように、棒を手に(囃子に合わせて)舞う。
 案山子に縄が繋がれているのを見つけ、縄で戯れていると案山子が手にした棒に打たれる。縄を緩めると棒が倒れ(叩かれ)、引くと棒が戻る(立つ)と思い込んだ彼は、縄を緩めたり引っ張ったりして遊んでいる。案山子に扮した畑主も、それに付き合って棒を上げ下げしていたが、その内に畑主は案山子の衣装を脱ぎ捨て、盗人の前に正体を現す。驚く盗人は(揚幕のほうへ)逃げていく。それを畑主が追いかけて、幕となる。

感想:
 ほんの軽い気持ちで瓜を盗んで、人に贈って喜ばれたことから、盗みを繰り返さなくてはならなくなった男の悲劇(喜劇?)。その盗人と瓜を作っている畑主との対決。といってもそんな緊張感はなく狂言ならではの滑稽さがにじみ出てくる。
 個人的にはもう少し盗人を懲らしめてやってもいいかなとも思った。
(「牛盗人」とは全く別の演目)


更新日: 02/09/14