読書メモ

・「ベトナム戦争 ―誤算と誤解の戦場
(松岡 完:著、中公新書 \900) : 2011.05.10

○印象的な言葉
・アメリカが唯一、敗北を味わった場所・ベトナム
・ベトナム戦争(第二次インドシナ戦争):正式な宣戦布告がなかった
・米国の求めに応じて派兵した韓国、豪州、ニュージーランド、タイ
・ベトナム症候群という敗戦の後遺症。症状の第一がミーイズム(個人主義)の蔓延。第二が政治家や政府への不信。第三は自信と価値観の喪失
・フランスとベトナムとの第一次インドシナ戦争、ベトナムのカンボジア侵攻から中越戦争までの第三次インドシナ戦争
・大量虐殺、大規模生態系破壊、大量生物抹殺
・紀元前以来の中越関係。歴史的な反中国感情。中国に支援を仰いだのはいくつもの失望の果ての選択
・北ハノイの共産主義政権と南サイゴンの反共政権との内戦。北の勝利
・米国は反共のベトナム人を支援しているつもりだった。最大の障害はサイゴンの政権そのものだった
・1995年には米国はベトナムと国交を正常化
・ホ・チ・ミンはコミンテルンからアジア方面の革命推進の責任を委ねられた
・ベトナム民族解放戦線:ベトコン(米国側の蔑称)
・ケネディ暗殺は冷戦緩和に反対し、ベトナム撤退阻止を図る、軍産複合体や右派などの陰謀
・米大統領の紋章の鷲の足にはオリーブの枝と矢を握る。平和を愛するが、必要なら戦いも辞さないという決意の表明
・中国への対抗上、北ベトナムに肩入れする一方、対米関係を損ないたくなかったソ連
・米国による北爆はナチスの大量虐殺にも匹敵する蛮行
・「象に対するバッタの戦い」。米国もソ連も象だった
・1963年、古都フエで仏教徒が宗教弾圧に抗議。僧侶が焼身自殺。8〜9割が仏教徒
・ダイオキシンを含む枯葉剤を撒き散らす。木がなくなった後、下草が繁茂
・ベトナム人の伝統は北属と南進。中国に朝貢しつつ、南へ版図を拡大
・ベトナム戦争特需で潤った日韓。朝鮮戦争特需では輸出の6割以上に達した
・戦争の基地となった日本
・米国の朝鮮戦争の苦い記憶。議会を無視した大統領の戦争
・楽観論を振りまきながらベトナム戦争を遂行したことによる政府不信。正義も、国民を一体化する象徴も存在しない稀有な戦争
・関連映画:タクシードライバー、ディア・ハンター、帰郷、地獄の黙示録、プラトーン、フルメタルジャケット、ハンバーガーヒル、7月4日に生まれて

-目次-
第1章 米ソ冷戦の狭間で
第2章 解放者から征服者へ
第3章 北方の巨人の影
第4章 破綻する国家建設戦略
第5章 地域創造の論理
第6章 二つの「ネバー・アゲイン」