読書メモ

・「アメリカにはもう頼れない 〜日本の外交戦略の失敗をどう正すか
(日高 義樹:著、徳間書店 \1,400) : 2011.01.04

○印象的な言葉
・中国沿岸地域と日本との共同経済圏を作る。沿岸地域の人々は北京の共産党と対立するようになる
・経済拡大が止まると中国共産党は崩壊する
・核兵器は必要。抑止力として機能させるためには使える兵器にしておかねばならない。維持することが難しい。運用するのも技術的にも経済的にも難しい。 政治の規律と国民の知性があれば、運用していける。
・普天間基地は不要になる。在日米軍基地はいらなくなった。実際の戦闘では必要なくなった。基地は戦闘行動より補給拠点となる
・米国の景気はよくならない
・米国はアフガニスタンから抜け出せない
・サイバー兵器の時代
・尖閣列島事件で日本の民主党政権は中国の恫喝に屈した。中国に馬鹿にされた。事実上、尖閣列島を我が物にしてしまった。中国は日本の出方を試している。
・中国のやり方を見過ごせば、大手を振って領土的野心を拡大していく
・国際主義、平和主義、国連主義という非現実的な理想にとりつかれた民主党。世界の現実、国際社会の常識を知らない。反米的で思慮に欠ける。言動が軽率
・世界の歴史が戦いの歴史であることは明白
・平和はタダで手に入らない。戦いとるもの
・米国では移民は試験を受け、最後に誓いを立てて米国民になる
・質のよい移民は住みづらい日本には来ない。アメリカに行く
・戦前、日本は溢れるように作り出したモノを売るために中国に進出し、満州国を作って市場にした。それは米国の国家利益と対立した
・石油産出地帯の中東やアフリカではイスラム勢力の動きが更に活発化し、石油企業を圧迫する
・安い人民元と労働力のダンピングの結果、中国は資本を十分に蓄積できていない。貧しい人々を甘やかす社会主義的な体制を続けている。稼ぎが福祉費用に消えている
・北京政府は国民党軍とその末裔が野に潜んで反撃の機会を伺っているのではないかと懸念している。彼らが各地で反政府闘争を挑発しているのではないか
・中国共産党が内戦で勝ったのは紙一重の差でしかない。内戦時に共産党を上回る反対勢力がいた
・500万人の中国人がシベリア一帯に不法に住み着いている。ウラジオストックは住民の7割が中国人
・北朝鮮が日本を核攻撃することが確実になっても、アメリカは日本のために先制攻撃はしてくれない
・オバマ政権はアジアの問題は日本ではなく中国と話し合って処理したいと考えている
・2010年の米国の中間選挙後、アメリカは右傾化し、保守的な政治傾向が強まる。社会主義的な左寄りの政策が修正される
・アメリカ海軍の行動は公海上の安全を維持するという国際的な責任に基づくもの。日本を守るためではない
・中国本土から離れた場所から、最新鋭の兵器で対抗するアメリカの戦略
・アメリカは上陸作戦のような古い作戦をやめようとしている。海兵隊の役割が終わる。太平洋極東戦略の中心でなくなる
・米国「TEAパーティ」は大きな政府と過剰な歳出、税金に反対する。中間選挙で超右翼の彼らの候補が共和党の穏健派を追い払った。議会は保守的となり、地方主義的になろうとしている
・米国では補助や生活保護で暮らす人が増え、自分で自らの暮らしを支えるというアメリカ的な考えが薄れている。米国の理想を維持することができる中流階級が減ってしまった
・米国民の3分の1を占める黒人、ヒスパニック。彼らのほとんどが貧しい。65%が都会のスラム街に集まる。米国人の3分の1が両親の世代より収入が減っている
・米国中流の没落は製造業の没落によって起きている
・アメリカ経済の柱である住宅産業は壊滅的な状況。失業者が増え続ける限り住宅は売れない
・米国の公的資金による健康保険は経営者らの生産意欲を削いでいる
・アフガニスタン戦争はほとんどが失敗。アメリカの情報がタリバンに筒抜けになっている。タリバン、アルカイダの情報もアフガニスタン軍が握り潰してアメリカに届いていない
・パキスタン軍とアルカイダは同盟体制にある
・アフガニスタンのカルザイ大統領はアメリカからの資金をタリバンに渡している
・アフガニスタンは英国によって無理やりに作られた国。そこに住む人々は国家ではないと思っている
・アルカイダは主力をイエメンやソマリアに移している
・米国の情報戦略体制は大きく変わり、責任者は国土安全保障省になった。CIAは格下げになった
・日本の米軍基地はあくまでもアメリカが軍事力で占領したもの。施政権は日本に返却したが沖縄はアメリカの領土だと考えている
・戦術核兵器が日本の各地に配備され、緊急事態に対する抑止力になっている。それは日米の秘密協定になってきた。民主党はそれを暴露してしまった
・特殊電波兵器:軍の通信体制を混乱、破壊できる。ビーム兵器による攻撃を衛星から行なうのが最も効率的
・オバマ政権のエマニュエル首席補佐官が辞任したことで、政権は事実上崩壊。彼はシカゴ・マフィアの中心人物。オバマは彼の操り人形
・かつてアメリカは日本を植民地にするために黒船をさしむけたのではなく、中国との貿易の拠点にしようとした
・アメリカの高校では中国語のクラスに人気がある
・アメリカのマスコミ界も日本を見放して支局を北京や香港に移している。アメリカの航空会社も北京をアジアの中心に考えている
・米国のロビースト:議員のスタッフの他に法律や予算の作成を助ける人々。議会のロビーにたむろしていた
・日本の安全を守り、経済を拡大させたのはアメリカの力であり、平和憲法ではない
・アメリカはカナダから大量の石油を輸入するようになった。中東からの石油を守るためマラッカ海峡をパトロールする必要性がなくなった
・憲法は時代が変われば変えるのが当たり前。周囲からの反発が起きることは覚悟する必要がある
・ミッドウエー海戦で勝ったアメリカは膨大は陸海空軍を太平洋から欧州へ移すことが可能となり、ヒトラーにも勝利できた
・非核三原則を守ったからといって核攻撃を受けないという保証はない。核兵器は使えないから戦争を抑止できる、というのが常識
・核兵器は嫌いだと言うだけでは、このまま暮らしてはいけない(⇒かつて自らの手を血で汚したくないと考えた貴族や公家のようなもの)
・アメリカは軍備を増強する中国に対して、彼らをよく知るために関わりを深めようとしている。中国は敵ではない
・シルクロードがイスラム勢力により閉ざされると、欧州人は船を使い始めた

<感想>
・おバカな民主党政権になってアメリカの日本弱体化政策も完成したといってよい
・日本は周辺国やアメリカに戦争をしかけるとはもはや考えられない、とアメリカに思われるほど弱体化した

-目次-
第1章 日本の外交戦略をどう立て直すか
第2章 アメリカの新しいアジア極東戦略が日本を襲う
第3章 中間選挙のあとアメリカは孤立主義になる
第4章 日本離れのアメリカ世界戦略が始まる
第5章 アメリカ陸軍の将軍たちは日本を知らない
第6章 日本とアメリカはさらに疎遠になる