読書メモ

・「ムカツクからだ
(齋藤 孝:著、新潮文庫 \476) : 2011.04.05

○印象的な言葉
・「ムカツク」は使用範囲の非常に広い怒りの表現。手軽にストレスを発散できる道具
・ボキャブラリーの貧弱さ、感情をためておけない器の小ささを示す
・子供にまず必要なのは、成長への欲望を刺激すること
・「個性を育てる」より、「個性が出し合える場をつくる」
・時代の停滞した雰囲気を、現実の必要以上に若い人が引き受け過ぎている
・漠然とした否定的な感覚の呪縛を解きたい
・感情の世界は言葉の世界と連動している。言葉が殺伐たるものになり、語彙が少なくなれば、感情世界もひからびていく
・「ムカツクからだ」はエネルギーを持つ。その過剰なエネルギーのコントロールの仕方をまだ見につけていない少年
・「哀しみ」という感情が身についていれば、他者への攻撃に向かうことは避けられる。「哀しみ」は他者への想像力に支えられている

-目次-
1 プロローグ―「ムカツク漬け」の現実
2 流行の実態―どういうときにムカつくのか
3 表出の形態―重いムカツクと軽いムカツク
4 ムカツクの本質―「瞬間的に沸き上がる、やり場のない、吐き気」
5 飾りのリアリティ―口癖としての軽い「ムカツク」
6 感性の変質―感情を「処理」するムカつけない身体
7 若者による批判―ムカツクは「小さい人間」の防御壁
8 エネルギー発散の方法―ムカツクからだは「かったるい」
9 ムカツクの系譜―『罪と罰』『嘔吐』の大衆化
10 脱皮への処方箋―ムカツク蔓延状況に何ができるのか
11 エピローグ―「ムカツク」構造