読書メモ

・「民主党が日本経済を破壊する
(与謝野馨:著、文春新書 \770) : 2011.01.03

○印象的な言葉
・予防医学の勧め
・国会議員は国を経営する職業
・とげとげしい社会を作らない
・国民の大部分が自分は中くらいだと思えるのが健全で安定した社会
・耳障りでも真実を語り続ける。不都合な真実を告知し、処方箋をリスクを含めて話す
・日本人はブームに流されている時ほど大きな間違いを犯す
・政治はリアリズムこそが命。人の命や暮らしを預かる厳粛な仕事
・昭和初期、政治家は国民に迎合し耳ざわりのよいことばかり言っていた
・戦前、統帥権干犯で軍部が騒いだとき野党がこれに同調し、政府を攻撃。調子づいた軍部が翌年、満州事変を起こした
・政権運営とは日々の現実との妥協の中で何とか「セカンドベスト」を実現しようと努める営み
・世界経済の枠組みの変動が弱い部分や硬直的な部分に「しわ寄せ」されていく。資源と雇用へ。
・財政再建の姿勢を市場に示さないと狙い撃ちにされる
・個人が稼げる付加価値が個人としての国際競争力で決まる時代
・IT技術者などは中国やベトナムなどの優秀な技術者との競合に晒される
・景気循環を前提とした雇用調整助成金でいつまでも雇用を支えるのは無理
・各国が不況を抜け出そうとするとき長期金利が跳ね上がる可能性は高い
・金融危機後の現在の株・債券・商品市場の一時的ブームはドル・キャリートレードによるもの。実質的に20%のマイナス金利で資金調達できる。このバブルもいずれ弾ける。
・頭脳輸入
・日本はそもそも「通商国家」。政府にできることは、社会や産業構造の変化に国民がついていけるようにすること、自国の強みをもっと活かせるようにすること
・民主党は本来は局長や課長らにやらせればいいことも政務三役がやろうとしている。官僚による洗脳を恐れている
・財政法が定める予算の単年度主義と折り合いをつけながら、中長期的視野に立つ予算が作れないか
・国の財政赤字を埋めるのは最終的には国民。利子や元本の返済負担は国民が負う。世代間のつけまわし。
・社会保障費は毎年、一兆円規模の自然増
・政府を社会保障担当部門とそれ以外に分ける。前者を安心勘定、後者を我慢勘定と考える。後者は効率化し、歳出削減に努力する
・将来に対する安心感、未来の日本への確信がもてないとダメ。消費も伸びない
・戦後、働く世代の安心感や社会保障は民間企業の終身雇用制度が根幹を担ってきた
・年金制度が設計された頃、将来、こんなに平均寿命が延びるとか、運用利回りが低くなるとか、医学がこんなに進歩するとは思わなかった
・国民が受ける公共サービスは所得に対して約48%を占める。国民負担率の約39%よりも多い。差額を国の借金で賄っている。将来世代にツケを先送りしている
・無党派主導の小選挙区制度
・国民一人一人の行動原理を変えられた時にのみ、改革は成功する
・幕末、日本を訪れたシュリーマンは日本人の「利他と自己責任」の美徳に驚嘆した
・富を生み出す努力の前に、富の分配だけを論じるのは政治としては順序が逆

<感想>
・個人金融資産の大半は間接的に既に国債などに当てられてしまっている。リスクをとって活用する余力があるのか?
・今回の不況が米国発の大津波だとの認識は誤り。他人のせいばかりではない。古いビジネスモデルに固執していたのが問題

-目次-
序章 深刻な病状を「告知」する
第1章 民主党「ミクロの決死隊」が国を誤る
第2章 麻生総理に退陣を迫った日
第3章 世界同時不況との戦い
第4章 日本経済には成長戦略が不可欠
第5章 小泉改革の功と罪
第6章 高福祉・低負担はありえない
第7章 民主党よ、耳障りな議論から逃げるな