読書メモ

・「求心力 ―人を動かす10の鉄則
(ジョン・C. マクスウェル, ジム・ドーナン:著、齋藤孝:訳、三笠書房 \1,400) : 2011.03.05

内容と感想:
 
本書は「世界的メンター」と呼ばれるジョン・C. マクスウェルが、「いかにして自分の影響力、求心力を高めるか」を解き明かし、 ビジネスでの成果や人間としての成長を遂げるための方法論や思考法を読者に伝えようとしている。 「人を動かす」立場の人にとっては、いかに自らの求心力を高め、組織としての成果を上げるかが一番の課題。 どのようにすれば人がついて来るか、相手のやる気を引き出せるか、味方にして協力を得られるか。 自分が部下だったときを思い出せば、その答えは見えてきそうではある。当時、上司にはこうあってもらいたいという思いがあったはず。 しかし、上に立つとそれも分からなくなるものか。
 本書は求心力を高めるための小手先のテクニックを語るノウハウ本ではない。 結局は人間力を磨くことが大事なのだが、そんな漠然としたものではなく、部下の育成法や動かし方、リーダーとしての覚悟などを10の鉄則として掲げ、 多くの成功者たちの言葉も引用しながら説いている。リーダーはこれらの鉄則を常に心にとめておくべきであろう。 強烈なリーダーシップは部下の依存心を高めてしまう危険性がある。部下の自律的な行動を促すのが望ましい。 リーダーに求められるものは様々だが、やはり仕事にかける情熱が一番だろう。それが組織に伝染すると、燃える組織、熱いチームになると思う。

○印象的な言葉
・人間力、器、人格、ビジョン、責任感、行動力、使命感、倫理観、誠実さ
・相手の秘められた力を信じる
・品性とは家の土台のようなもの
・仲間一人ひとりの「一番いいところ」をお互いに書き出す
・成績を左右するのはIQより自信
・人は自分の価値を認められれば結果を出す。自尊心が高まるように手を貸す。人は相手の期待に応えようとする
・人を育てることで、希望をプレゼントする
・どんな相手からも学ぶべきことはある。悪口からも得るところはある
・言葉以外のメッセージを聞く(ドラッカー)
・固定観念があると期待していることしか耳に入らない
・リーダーへの恐怖心は余計な疑い、コミュニケーションの欠如、生産性の低下を招く
・相手が世界一重要な人物であるかのように接する
・誰かを喜ばせるには相手を理解し、何を望んでいるかを知る、力を貸してあげる
・メンタリングの4つの方法:人を伸ばす、壁にぶち当たった時の道案内になる、絆を深める、潜在能力を引き出す
・将来性のある仕事などない。将来性の有無はその仕事をする人にある(ジョージ・クレーン)
・一人の成長がチームの刺激になる
・成長が止まっている人から成長の仕方は学べない
・情熱は才能を開花させる燃料
・教師の役割は教え子が自力で学ぶための素地をつくってやること
・リーダーとは他の人よりいろいろなものが見え、遠くまで見え、先に見える人(ルロイ・アイムズ)
・何に感動するかを知れば、本当にやりたいことは何かわかる
・従業員や顧客と、経営者が接点を持たないから生産性が下がる(トム・ピーターズ、ナンシー・オースティン)
・人間は自分と似た人と取引をする
・相手とより堅固かつ永続的な関係をつくるには共通の経験をもつこと
・我が身を削って分け与える気概
・周囲に伝染するほどの湧き上がるような熱意
・優れたリーダーは自分よりも優れた人材を常に近くに置いている(G・アラン・バーナード)
・素晴らしいことをする人間がくじけてはいけない(デットマール・クラマー)
・「志の灯はともっているか」と自分自身に問いかける

-目次-
「存在感が光る人」になれ ―カリスマの「求心力」1 品格を磨く
この“ひと言”を惜しむな ―カリスマの「求心力」2 上手に励ます
「期待」をかけ、発奮させよ ―カリスマの「求心力」3 信頼を勝ち取る
「心の声」を汲み取れ ―カリスマの「求心力」4 耳を貸す
「相手の立場」に立て ―カリスマの「求心力」5 理解を示す
「成長力」を加速させよ ―カリスマの「求心力」6 巧みに助言せよ
「大きなヴィジョン」を語れ ―カリスマの「求心力」7 “ガイド”に徹する
「常勝チーム」をつくれ ―カリスマの「求心力」8 “結束力”を高める
思い切って「任せよ」 ―カリスマの「求心力」9 “後ろ盾”になる
「志のバトン」をつなげ ―カリスマの「求心力」10 これをやり遂げて“責任完了”!