読書メモ
・「君の思いは必ず実現する」
(稲盛 和夫:著、財界研究所 \800) : 2011.01.15
内容と感想:
現在、JAL再建に取り組む著者が若い人たちに伝えたい思いをつづった本。
以前に読んだ「ガキの自叙伝」と重なる部分もあるが、焦点をより若者に絞っている。
第三章にも書かれているが、著者は「人間の能力は無限だ」とよく語っている。
「何としてもやり遂げるという強烈な願望を持ち、努力を続けることで、最初は不可能だと思われたことも、可能になる」という、
著者自身が経験から得た真理であろう。
また、第五章では「人生の目的は美しい心の人間になること」と言い切る。
美しい心とは思いやりの心、優しい心。
著者自身、「人生の目的とは、試練に出会いながら、自分自身の心を磨き、魂を磨いて美しい心をつくることだった」と振り返っている。
京セラ創業者として成功された著者だが、ビジネスで成功することだけが人生の目的ではなかったということだ。
第六章の「一つのことを継続することで愚鈍な人が非凡になる」というのは、多くの人にとって心強い言葉であろう。
○印象的な言葉
・迷い、つらい気持ちになったときこそ、自分のやっていることに全力を傾け、努力を続ける
・こんなことではダメになるという不安。こんなことを一生かけてやっても、どれだけの成果が上がるのかと焦る。道が開けるのか。先が見えない
・日本は世界における素封家に(⇒銀行預金しっぱなしの国民性では難しい)
・希望は持たず、自分の運命の命じるまま、淡々と生きていこう
・長期計画は立てない。今日一日を精一杯生きれば明日が見えてくる。今月を精一杯生きれば来月が見えてくる。今年一年を生きれば来年が見えてくる
・米国企業は実績よりも技術そのものを重視。技術が優れていれば有名な会社でなくとも発注してくれる
・中途半端な取り組みは後悔する。後悔だらけの人生ほど、つまらないものはない
・「何かをしたい」という意欲、人生目標をゆっくりと考えるための教育。自身の可能性を考える機会
・道徳に対する意識が薄れてくれば、国は荒廃し、治安が悪化し、結局国力も衰えていく
・日本人の勤勉性、向上心、モラルのベースにあるのが道徳
・西郷隆盛は逆境の中でも、古典を学び、自分を高めようと努力した
・希望を燃やせ。素晴らしい幸運が待ち受けていると信じて。それを知らないために迷う
・人生の結果=能力×熱意×考え方。マイナスの考え方では人生の結果はマイナスになってしまう
・災難に遭うのは過去につくった業が消えるときであり、喜ぶべきこと
・欲望、怒り、不平不満の三つが、その人の心を支配したとき、間違いを引き起こす
・心を鎮める時間をもつ
・何か事を成す人は、臆病なくらい慎重に物事を進めている人、いざというときに備えて周到な準備をする人
・あの世には地獄も極楽もある。見た目は地獄と極楽はまったく同じ世界。違うのはそこに住む人の心だけ
・精神活動の大切さ。「欲望に根差した物質的な思い」がアンバランスなまでに大きくなった
・宇宙にはすべてのものをよい方向へ推し進めていく「気」のようなものが流れている。全てを慈しみ、全てのものがよくなっていくように導く「愛」のようなものが充満している。
人間が心の中で思い、実行することが、「宇宙そのものがもつ、全てがよい方向に進もうとする思い」と合ったとき、物事はうまくいく
・物質文明の進化に負けず、「善き思い」に基づいた精神文明を発展。進化させる
・素封家:人間性や器量で実質的なリーダーとしての役割をになっていた。教養、学問がある。困ったことがある人は相談に来る。貧しく困っている人を物心両面で支援した
-目次-
序章 人生は自分が描いたとおりになる
第1章 無限の可能性がある
第2章 思いは必ず実現する
第3章 感謝の気持ちを忘れない
第4章 学校で何を学ぶか
第5章 不運にへこたれるな
第6章 心をつくる
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