読書メモ
・「デッドライン決断術 〜ムダな仕事はネグれ!」
(吉越 浩一郎:著、祥伝社新書 \760) : 2011.01.10
内容と感想:
デキるヤツは決断力がある。
「発想の転換」が本書の基本的なテーマ。
キーワードは「変化への対応」。
第二章では、「変化への対応をスピーディに行なうためには、完成度が低い段階で選択肢を絞込む判断を下し、実行に移してしまったほうがいい。
そこから先は現場で走りながら完成度を高めていけばいい」とし、完成度を求めるあまり、グズグズと決断を先延ばしすることを否定している。
変化の激しい我々、ビジネスの現場では受け入れられやすい考え方だ。
第五章では国家のリーダーにも決断力を求めている。多くの国民が求める一番の「総理のリーダーシップ」とは決断力のことであろう。
特に日本の政治家は「やるべきことをやらない人間の代表」と厳しい。
「深刻な問題がどんどん先送りされていく」、
「マニフェストを見てもデッドラインを引くという感覚がない」と現政権を批判する。
ビジネスの現場などで決断をしたこともないような人たちがずっと、この国のリーダーをつとめて来たのが現実だ。
政治家が決断しなくても経済成長できていた頃は首相もつとまったということ。今はそんな時代ではない。
「国家経営」というくらいだから、首相にも経営感覚が求められる。もちろん決断力も。そしてスピード感も。
○印象的な言葉
・ネグる力:選択力。膨大な情報を編集し、最重要なものを見つけ出し、あとのものを端折る力
・迷わないためにデッドラインを決める:たとえできていなくてもその時間までにこなせたものが、その時点での自分の最高のもの。締め切り効果による効率化。
・プラグマティックな経営:決断を下して動き始めること。アウトプット重視
・学校を出れば間違いなく競争社会が待っている。狭い教室の中だけを「無競争状態」にしておいても百害あって一利なし
・足りないのは時間ではなく、スピード。働き方が能率が悪い
・完成度の高さを要求すればするほど、判断すべき選択肢が増大し、決断しにくくなり、ますます時間と労力がかかる
・迷っていても仕方なく、やってみなければわからないこともたくさんある。カンで6割から7割程度の可能性があればやる。ダメなら撤退すればいい
・指揮する立場の人間は朝から晩まで判断を繰り返すのが基本的な任務。平時は実作業を部下に任せ、全体の動きを背後から見守り、状況判断をしながら指示を出す。
有事は先頭に立って自ら引っ張ることも必要。
・「今は判断できない」という判断も速く
・会議は話し合いの場ではなく、決断を下す場
・今までのような頑張り方では必ずしも幸福になれない時代
・100年の一度の経済危機は、会社の仕組みを抜本的に見直して、良い方向に進めるチャンス
・政府には国民の生命・財産を守る責務がある。経済政策の失敗による雇用環境や労働環境の悪化が自殺者を増やしている。政府はそれを放置している
・眠るのも仕事のうち
-目次-
第1章 なぜ頑張っても幸せになれないのか
「勤勉」なのに不幸になる
「変化への対応」は「発想の転換」から ほか
第2章 こんな時代にこそ求められるデッドラインの発想
会社も社員も仕事は「アウトプット」で評価される
「プラグマティック」な大統領を目指すオバマ ほか
第3章 リーダーは「判断」するのが仕事
決断力を高めるにはデッドラインをつけろ
朝から晩まで「判断」を続けるのがリーダーの役割 ほか
第4章 「ネグる力」を身につけよ
「ホウ・レン・ソウ」の欠かせない人材は「二軍」に落ちる時代
教えられるのを待っている人間は「自立」できない ほか
第5章 個人もこの国もデッドラインで立ち直れる
「一〇〇年に一度」をいかに乗り切るか
リーマン・ショックで隠れた本質的な問題 ほか
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