読書メモ ・「戦国秘譚 神々に告ぐ〈上・下〉」 ○印象的な言葉 ・銀閣寺も足利義輝と三好長慶との戦で焼き払われた ・九州の島津荘は平安時代以来、近衛家の荘園。源頼朝の庶子・惟宗忠久が地頭職に任じられ、島津家の始祖となる。近衛家、朝廷の権威を借りることが得策と、密接な関係を保つ ・余裕があるのは島津から上納金のある近衛家だけ。所領は300石 ・朝廷内の近衛家と一条家の激しい主導権争い ・近衛前嗣(前久)と義輝は従兄弟で同い年 ・松永久秀は三好長慶の右腕。日本で最も早く鉄砲を実戦で活用。山岳戦で有効に活用 ・長慶は京都に政所をおき、実質的に三好幕府を開いているも同然だった ・萩の花が咲く頃に食べるのが「おはぎ」。 ・公家:勝ち馬とみれば恥も外聞もなくすり寄り、負け馬とみればいかに恩義があろうとも平然と見捨てる ・燃えるがごとき志を内に秘め、世の俗人への軽蔑と苛立ちをあらわす信長。信じるのは己 ・戦国大名たちは墨家の天道思想(革命思想)を統治の大義名分とした。 ・証如、顕如も九条家の猶子となり天皇の祈願所である勅願寺の地位を確保 ・観世座は近衛家との関わりが深く、時には朝廷の密偵となって諸国の政情をさぐった ・見ることには元来、呪術性が備わる。日本人は人と目を合わせることを本能的に避ける ・天変地異や飢饉、悪疫の流行、戦乱があるたびに、平穏無事を祈ってさかんに改元が行なわれた ・王法:神道を中心とした宗教的権威にもとづく秩序 ・王事:律令制度にのっとった政治体制 ・王法と王事を破壊したのは藤原氏。祭政分離の体制が生まれた ・朝廷の衰退は藤原氏の没落を招いた。 ・神仏習合:仏教という外来思想を古来の神道と融合。仏菩薩が衆生を救うために神に姿を変えて日本に現れた ・吉田神社は全国の神社を支配 ・そもそも人には罪や穢れなどはない。人はありのままで尊く、善悪や優劣などはない ・美の極致は人を不安にさせる。常ならぬ美しさには人をとりこにする魔が潜む。 ・都や朝廷といった一線を越えなければ、長慶のように古い秩序の枠から出られない。大義だの名分だのに縛られながら、果てしない徒労を繰り返すばかり(⇒信長もそうだった?) ・信長と前嗣はよく似ていた。何をやっても人並み優れた才能をもち、己の力に過剰なばかりの自信をもつ。馬術に長け、鷹狩を好み、鉄砲好き、趣味まで一致 ・朝廷は神社を作って怨霊がこの世に現れることを防ごうとした。伊勢神宮もそうではないか ・新羅人が渡来。疫病に効く薬をもった僧たちが、薬師如来の救いとして薬を配り、病人を治していったとしたら、うつろいやすいこの国の民は仏教に飛びついただろう ・長尾景虎:洗練された静けさ、あたりを払うほどの武威、禅僧のような心の深み。我が身を犠牲にしても構わないという意 ・古今集における秘伝「古今伝授」を司る男、細川幽斎。和歌にこめられた霊力、国を平安に治めるための王道=敷島の道の何たるかを継ぐ。天皇の正統性をも保証 ・前久は天皇と信長の間に立っていた。行動的。石山本願寺との和睦の際、前久自身がPKO部隊の形で立ち会う。薩摩へ下って、島津家と外交交渉 ・守礼:天に仕える皇帝や天皇はあらゆる行動が礼によって縛られている。朝廷ばかりか武家も民百姓のことも考えているから ・天下分け目の合戦に際し、幽斎が東西軍に次ぐ第三の陣営だった ・戦乱の世の武力に対する文化の力 ・魔王・信長は霊力を宿す文化的伝統の否定者として屹立 -目次- |