読書メモ

・「江戸に学ぶ人育て人づくり
(小泉 吉永:著、角川SSC新書 \780) : 2011.06.22

○印象的な言葉
・地域で育てる
・体罰否定は日本の伝統
・幼児の間は母の責任
・江戸時代の庶民が読み書きを学んだ往来物
・庶民成人が読んだ通俗教訓書
・子孫などのために書かれた教訓書や家訓
・江戸中期以降に続出した子育て書
・一人前の当主たる11の心得(「親子茶呑ばなし」):分を弁え、倹約に徹せよ。商売には極力手を出すな。頼母子(たのもし)は無用、借金も保証人も断れ。 困窮したらなりふり構わず家格を下げよ。奉公人に慈悲をかけよ。相続は一大事、慎重に慎重を期せ。隠居したら立場を弁えよ。寺社への寄進で心を正せ。 信心怠らず日々の心を正せ。葬礼は分限に応じて行なえ。先祖の心を忘れるな。
・栄えれば衰えるのが世の習い。いつも不満足なほうがかえって心配がない
・正直思想の普及・定着の背景には中世における神仏習合、家訓、文学作品、芸能等の影響、近世における鈴木正三や石田梅岩による理論化が大きい
・幕末、タウンゼント・ハリスは日本の庶民は「質素と正直の黄金時代」「至って欲望の少ない国民」と絶賛(「日本滞在記」)
・子供を甘やかして育てないのは、盗賊を家に飼うようなもの(「下民小学」)

-目次-
第1章 父が遺した処世訓(全二六章で綴られた父の教訓
庄屋教育は一〇年がかり ほか)
第2章 江戸の父道(父の一生は人づくりの連続
父の一言は「遺言」のつもりで ほか)
第3章 江戸の生涯指針(子どもに生涯の展望を自覚させた『九々往来』
大商人が教えた人生六〇年の計 ほか)
第4章 人づくりと正直思想(「中らずと雖も遠からず」の意味
嘘をつかないこと=正直は人づくりの基本 ほか)