読書メモ

・「グリーン革命 (上) 〜温暖化、フラット化、人口過密化する世界
(トーマス・フリードマン:著、伏見 威蕃:訳、日本経済新聞出版社 \1,900) : 2011.02.28

内容と感想:
 
本書の前半:世界が直面している固有の重要課題を分析、原因を究明。 後半:それに立ち向かうすべを検討。 この本をきっかけに米国人が過剰消費を改めるとよいが・・と思っていたら、 サブプライム・ショックでいやでも改めなければならなくなった。 帯には前著のタイトルをもじって「フラット化」以降の雇用と繁栄はグリーン産業から生まれる、と書かれている。 環境は次のゴールドラッシュを期待される大きなテーマの一つ。果たして世界は同じ方向を向いて進めるだろうか。 一時のブームに終わらないだろうか。

○印象的な言葉
・鳥も飛ばない場所では人々が交わらず、思想がひらめかず、友情が結ばれず、固定観念が打破されず、共同作業が行なわれず、信頼が築かれず、自由の鐘は鳴らない
・(アメリカの)理想主義、イノベーション、ボランティア精神、人類愛という大河からの恵み
・1973年以降のデンマークでは税制でエネルギーを割高にすることで国民に節約を仕向けた
・グリーンカラー
・産油国と石油独裁者への富の集中、エネルギー貧困
・2004年に世界で初めて需要が原因のエネルギーショックが起きた
・地球の熱帯と温帯の森林の半分が消滅した。湿地の半分、マングローブの1/3が消滅
・国際社会の大きな枠組み:平和と安全保障、経済発展、人権。生活の質の改善、不況の防止、大戦の阻止
・中東の人口の2/3が25歳以下、1/4が失業者
・サウジアラビアとイランはイスラム世界の正統な指導者とモデル国家の地位を争う宿敵同士
・温暖化した世界では穀物に害のある病原菌が冬の寒さで死なずに生き延びる
・2007年時点で、北極圏の海氷は4年前の半分になった
・自然は神の芸術である(トーマス・ブラウン)
・現在、20分に1つの種が絶滅している。地球の歴史の正常な動きの千倍の速さ
・自然の風景が部屋から見える患者のほうが回復が早い
・多様性は弾力をもたらす。変化がたえず起きているからこそ多様性は必要
・人間は自然界の他の動植物から生活するうえで頼りにされていない種。人間は自然の生命の織物すべてに生存を頼っている
・イノベーションは誰もが知っている99%のことを基盤に、誰も知らない1%を創造すること
・地方に住みながら、グローバルな活動。豊かで静謐な暮らし。高い生活の質。プロとしての野心を捨てない
・地方の職工が地元産の美術・工芸品の画像をネットにアップし世界市場で直販。ローカリゼーションとグローバリゼーションの均衡
・アメリカがグリーン革命を迅速かつ大規模に実行するには、両党の基盤である経済、地域、企業の既得権と対決しなければならない
・政治とは八方美人ではなく厳しい選択をすること

<その他>
・環境もそうだが、貧困の撲滅も重要な課題

-目次-
第一部 現状
 第1章 鳥も飛ばない場所
 第2章 エネルギー気候紀元第一日、天候はホット、フラット、クラウデッド
第二部 現状への道のり
 第3章 私たちのコピー(アメリカ人が多すぎる) ――エネルギーと資源の供給と需要
 第4章 独裁者を満タン ――石油政治
 第5章 地球惑乱 ――気候変動
 第6章 ノアの時代 ――生物の多様性
 第7章 エネルギー貧困
 第8章 グリーンこそがアメリカの新しい旗印
第三部 前進の道すじ
 第9章 地球を救う二〇五の簡単な方法