読書メモ

・「2011年ユーロ大炎上! 〜日本経済復活の始まり
(松藤 民輔:著、講談社 \1,600) : 2011.04.16

○印象的な言葉
・市場はギリシャの次の獲物を狙う
・市場が国家を選ぶ時代
・EUはギリシャを切り離すしかない
・米国の住宅市場の暴落はこれからが本番
・ヘッジファンド潰しは流動性危機を招く
・リーダーが注目される国ほど危ない。エリートの独断専行が国を狂わせる
・既にギリシャは破綻している。国債の償還は不能。ギリシャに対する投融資が一番大きいのはフランス。国債保有は7割が外国人
・スペインの2大銀行も大量のCDSを抱える。スペイン、イタリアは経常赤字国の常連
・国家として破綻に陥るのが早いのは対外債務がGDPの4倍にたっしている英国。2011年に通常の2倍の国債償還が待つ。国債のほとんどは外国人が保有
・ほとんどまともな産業がないPIGS。ギリシャでは3人に1人が公務員
・これ以上、ギリシャを支援しても不良債権が膨らむばかり
・世界中の通貨に対して下がり続けているのがポンド
・米国のMBS(住宅ローン担保証券)市場はFRBが買い支えているからもっている。差し押さえ件数は増加する一方
・アメリカに中国製品を輸出し、対中貿易赤字を増やしているのは米国企業そのもの
・世界貿易が健全に拡大成長している条件下ではドルは刷っても刷っても米国に還流されてくる
・新興国や資源国は貿易黒字を拡大してもそれで得た資金を自国で運用できる市場がない。ドル建て金融資産で運用するほうが有利。自国通貨に換えると自国通貨が割高になってしまう
・オバマの2大スポンサーは金融業界と薬品業界。社会保険システムの拡充は製薬業界と医師会のみ都合がいい制度
・米国では学生ローンは学生の2/3が借り入れるほどポピュラー
・Apple社製品はマーケティングとアイデアのみで開発された(⇒技術力はさほど問われなくなった)
・タックスヘイブンの匿名口座に集まる資金は630兆円
・米国人のモチベーションの低さ、チャレンジしようとする気概の欠如。怠惰と虚無感、絶望感と依存体質。援助がなければ生活できない人が全人口の47%
・中国の軍事費の拡大は陸軍強化のため。農民の反乱を鎮圧する治安要員を大量に採用するため
・アフリカへの中国の援助では、プロジェクトに中国人労働者を引き連れてきている
・欧州ではナイジェリアなどからの不法難民の来襲が問題となっている
・上海株式と銅価格が連動。銅の暴落は革命か戦争を呼ぶ
・金価格は2100ドルまで上昇する
・ミセス・ワタナベ:月に10万円儲けるような趣味的な投資家。東京為替市場の取引の2割を占める
・地上に製錬された金の量はオリンピックサイズのプール2個分しかない。金は酸にも熱にも強い。錆びない。減少することがない
・長期国債の金利が世界最低で、貿易黒字を続けている国の国債がデフォルトすることはない。長期債の金利は国力を証明。どんなに金利が低くても経済の中心に資金は集まる
・日本国債が世界一安全な理由:円の実力、日本という国・国民への信用、国内投資家が95%を保有、世界最大の債権国、増税余地がある
・政府にも中央銀行にもマネーサプライをコントロールする能力などない。深刻なデフレになるまで経済が落ち込んでから、ようやく回復基調の兆しが見える。20年はかかる
・欧米では職業選択の自由がない。生まれた家庭環境で一生が決まる。中世の身分社会
・日本にはリーダーは必要ない。「上にいる者は無能であればあるほどいい」というのが庶民レベルで理解できている
・吉田茂はグランドデザインなど何も持ち合わせていなかった。そのときどきのアメリカの国益に沿っただけ
・田中角栄はエネルギー自立を目指したことから、欧米が脅威を感じた。それがロッキード事件で失脚した真因
・江戸時代には「主君押し込め」という慣習があった。けっしてバカ殿ではなかった。優秀な人間は独断専行する。一人の知恵ではたかが知れている。それが分からない
・DXドル指数:世界の通貨と対比したドル指標。DXが上昇すると米国株が上昇

<その他>
・中国経済の崩壊、ハードランディングは世界中が迷惑するだけ。喜べない

-目次-
序章 日経平均7600円、金価格2100ドルの衝撃
第1章 本丸はギリシャではなくイギリス ―「ソブリンショック」で世界経済は破綻する
第2章 最強の金融機関が崩壊する日 ―アメリカはデフォルトする
第3章 中国経済終わりの始まり ―中国革命前夜
第4章 「ミセス・ワタナベ」が金価格を2100ドルにする
第5章 メディアの嘘 ―日本国債は世界一安全、政治経済の覇権は日本に移る