読書メモ

・「クラウド 〜グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図
(小池 良次:著、インプレスR&D \1,800) : 2011.03.13

内容と感想:
 
通信業界ウォッチャーを自認する著者。

○印象的な言葉
・中央集中処理のようでありながら超分散型(石田晴久)
・電子機器を搭載するほとんどすべての製品の業界構造を根こそぎ変える可能性(国領二郎)
・零細企業・個人向けクラウド
・クラウド・デバイス、多様なデバイスを意識。
・オープン・デバイス(端末開放)戦略:好きな端末に好きなキャリアのSIMを差して使う。メーカーはユーザに直販できる。キャリアも開発支援費を払う必要がない。開発コスト削減
・多階層配信:ネット配信、ホームビデオ、録画再生、ビデオ・オンデマンド、ライブ放送
・決められた枠に安穏と従うことを良しとせず、枠を超えて行くことを重視。ルールを破って周囲が大騒ぎすることを楽しむ余裕。破ってみなければルールの価値がわからない。知的反骨精神。
・語り口の優しさ、あふれるような聡明さに、未来が見えているのでは、という印象
・ソフトビジネスの構造転換を促す
・権力集中を嫌うシリコンバレー人。Googleは「第2のMicrosoft」?
・スマートフォンでは通話はオマケサービスにすぎない。携帯娯楽端末
・車社会のアメリカでは音声で携帯電話を操作するニーズがある
・Googleは異端児であり、決して人気があるわけではない
・Googleは東京市街を走る光ファイバーを買い漁っている。世界の通信大消費都市で光幹線網整備を進める。通信投資は年を追って拡大
・巨大データ管理、巨大分散コンピューティング
・クラウド時代:従業員は必要なアプリを自分で書く。プログラミング言語の知識なしで利用(⇒そうしたプラットフォームを提供するサービス)
・オラクル社はDB専業から企業向け総合ソフトベンダーへ脱皮を図る
・オンデマンド・ホスティング
・寒冷地や地下深くにデータセンターを建設
・ハード系ハイテク機器は長い期間かけて熟成させなければ成功しない。未踏市場に出ることは失敗率が高い。経営者は「一番乗り」には消極的
・ソフト系ハイテク分野ではアイデアを最初に実現した企業が高い確立で先行優位を勝ち取る。トップをつかめるなら他社との提携も厭わない
・米国企業は一番乗りを目指すため、細かい作りこみや多少のアラには目をつむる。成熟させるのは苦手
・日本ではまともなソフトエンジニアを雇えない(Google)
・オープンソースソフトのイメージの変化:柔軟、信頼性、革新性、品質
・オープンソースソフトの収益モデル:サポートやメンテナンスサービス。遠隔監視
・Androidでは独自の仮想マシン(Dalvik)を採用、携帯アプリの互換性を殺した
・ビジネスの生命線を担うシステムには不安が残る
・Intek社は今後、コンピュータが映像処理に多くのパワーを使うようになると考えている。多様な端末の画面サイズや解像度は様々。変換処理が必要となる
・M2M通信:機械と機械が活発に通信を行なうようになる
・通信の質を細かに選択。優先度をつける
・米国の大手金融企業はソフトハウスや通信事業者が驚くほどの高い技術力をもつ。簡単なソフトやネットワークを自前で構築、運営できる
・米国の優良企業は従業員の2〜3割が社内情報システムに携わる
・従来はトリブルE(Each Application, Each Network, Each Device):サービスごとに端末、ネットワークが用意されていた。 今後クラウド時代はトリプルO(One Application, One Network, One Device):様々なサービスを1台の端末、1つのネットワークで受ける。 ユーザが好きなアプリケーションをダウンロードして端末に乗せる(ホワイトボックス・モデル)
・米国のテレビやDVRのtru2way規格:セットトップボックスなしでオンデマンドや双方向番組を提供
・機器の既存サービスとの連携をユーザに負担なく提供するインターフェース
・メーカーはデバイスのドライバー管理をクラウドで提供。機器の遠隔監視

<その他>
・クラウドではCRM程度のアプリなら受け入れられる?

-目次-
序章 エリック・シュミットの予言
第一章 アンドロイド社の買収
第二章 ゼネラル・マジックの教訓
第三章 インフラへの巨額投資
第四章 セールスフォースとの提携
第五章 アマゾンEC2との競合
第六章 オープンソース戦略
第七章 クラウド時代へのロードマップ
第八章 クラウドビジネスと日本のIT産業