読書メモ
・「全身発想論 〜仕事がはかどる10秒トレーニング」
(齋藤孝:著、日経BP社 \1,200) : 2010.08.10
内容と感想:
タイトルの「全身発想」とは、全身をフルに使って思考することで、いい仕事をすることを狙っている。
本書は「nikkei BP.net」サイトで連載されていたものをまとめた本。
身体論が専門の著者らしく、身体論をビジネスにうまく結び付けている。
副題の10秒トレーニングとは、絵付きで紹介されている簡単な体操のこと
(日経BPのサイトには動画も公開されている)。
とはいえ、本書はその体操だけを紹介しているわけではない。
仕事に立ち向かうための身体の作り方や、五感を駆使した仕事法などビジネスに活用できるヒントが書かれている。
特に知的労働者は脳だけに頼りがちだと思うが、脳は全身とつながっている。身体の重要性を見直してはいかが。
○印象的な言葉
・豊かな発想は体に染み付いた記憶から生まれる。新たな対象と結び付けることでオリジナリティの高いアイデアを生む
・身体の動きが考える力を呼び起こすスイッチになる
・人間の能力は引き出し方次第
・知情意体
・頭皮ほぐし、四股立ち、ジャンプ、すり足、手の平合わせ、手の指ストレッチ、肩甲骨回し
・手は第二の脳
・相手がいて、技の見せ場があり、流れを掴む駆け引きがあるスポーツ
・全身を脱力して脳だけを働かせる
・観客も同じ場を共有する一人として呼吸を合わせ、一流の芸人が発する緊張感、空気感を肌で感じる。演技に同化して一緒に全身の筋肉を硬直させたり緩めたりする
・漢字にはもともと呪術や儀式と深い関わりがある
・相手に理屈でなく、映像を伝えるように心がける。一枚の絵の印象を説明する感覚
・違和感シート:若い社員や中途で入った人などに会社の印象を聞く
・事前に予測して想定外を減らし、柔軟にレスポンス
・場の温まり加減:メンバーの反応が無音から「は行」、「あ行」に移ってくれば温まっている
・複数を相手に話しをする場合、各個撃破もあり。ときどき個々人にピンポイントで同意を求めたり、意見を聞く
・ポリバレント(多機能的)な個人
・Executive:何かを生み出せる人、情報を分析し、プランを立てて実行できる人(ドラッカー)
・部下の遠慮を取り除く。何を言ってもいいという雰囲気を作る。リーダーは話す量を極力減らす。全員に話す機会を与える
・発問力:有効な問いを発する力
・自助グループ:同じ問題を抱える者が集まり、経験や情報を語り合う。経験知が蓄積され、各自が解決の糸口を見つけていく。場を仕切る人は不要。
発言を順に促すような触媒的な人だけがいる。個々人は問題解決能力を持っている。抑圧を取り除けばいい
・これからの組織は疑似大家族的な集団を目指すべき
・バブル崩壊で作られた負の遺産「心の不良債権」
・「自助論」(スマイルズ):有名・無名の人々の努力と成功の事例集
・名言集はそれ単体では意味がない
-目次-
序章 「全身発想」で目を覚ませ!
1章 できる人ほど身体で考える
2章 仕事に立ち向かう「カラダ」をつくる
3章 いますぐ、直感を鍛えなおす
4章 「違和感」を武器にしよう
5章 ビジネス現場にライブの熱狂を
6章 「大家族主義」が組織の身体性を高める
終章 健全なる仕事は、健全なる身体に宿る
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