読書メモ
・「若者が3年で辞めない会社の法則」
(本田有明 :著、PHP新書 \720) : 2010.10.19
内容と感想:
著者は人材育成コンサルタント。
入社して3年で3割が辞めると言われる。本書は社員の定着率を高めるための法則を説く。
若者が会社を辞めていく理由には「(いるだけ)時間の無駄」、「(周りが)つまらなそう」、「力を発揮する場がない」など様々。
誰もが仕事を通じて成長したい、学びたい、貢献したい、と思っているはずなのに、それが満たされずに辞めていく。
本人にとっても会社にとっても残念なことである。
こうした原因には、制度と運用の問題、教育と組織風土の問題、上司・先輩などとの人間関係の問題などがあると、著者は分析する。
本書ではそれらを分析し、解決のための道筋を探ろうとしている。
第4章には離職者が相次ぐ会社12のパターンが挙げられている。少しでも該当するものがあれば即対応が必要だ。
大昔から「いまどきの若者は」的な言われ方がされているらしいが、「いまどきの上司」、会社にも問題がある、とするのが本書のテーマだ。
部下を指導できない上司。第3章には上司にできること・やると効果のあることが説明されている。第6章は上司向けの教育研修について書かれている。
上司の熱意と力量が問われている。
会社をステップアップの踏み台と考える貪欲な社員なら、会社への愛着を求めることはできないだろう。
それ以外の社員に愛着を持ち続けてもらうには働きやすい職場・会社にしていく必要がある。
労働時間と人事評価の2つが満足なら働きやすいと感じられるそうだ(第5章)。
上司自身の成長、会社の成長、部下の成長のためにも参考になる本だと思う。
○印象的な言葉
・リテンション(定着)戦略
・学びあい、教え合う風土
・チャレンジ精神を引き出す。本人の名前を冠した小さなプロジェクトを持たせる(調査研究)、軽いノリで。
・おせっかいな上司。部下とは面倒がらず正面から応じる。指導・育成を最優先に。世話役、相談役。コミュニケーションの良し悪しは共有する時間に比例。面倒見がいい。
・期待感を伝える。信頼、感謝を伝える。手紙・メールで。
・感動をポリシーにする。人々を感動させることを忘れない
・イノベーターを育てる
・問題意識、当事者意識を高める
・社長と社員との温度差、研修と現場との温度差。皆、忙しく、自分のことで精一杯
・会社への不信感。孤立させない、励まし、勇気付ける、不安解消
・メンター制度
・ブラザー/シスター(兄貴・姉貴)制(部下をセットで育成)、親方制。知恵を授ける。「なぜ」を教える
・制度は形骸化しないよう、常に実態を確認し、問題点の把握に努める。メンテナンスが必要。新制度を採用する場合、トップ自らが説明責任を果たし、旗振り役になるべき。
「また始まった」とシラけた気分が広がらないよう、静観・無視されないよう。過ちと判断したら即座に改める。
・チューター制度:マンツーマンで新人育成
・仕事の集中度や密度。職務充実
・ハーツバーグの「動機付け・衛生理論」
・一見、不良に見える人材にこそ将来、大化けする逸材が潜む
・根拠なく自分を課題評価
・コピー取りと侮ることなく、丁寧な仕事をするように!
・離職者を出すことの損失:採用コスト、OJTのロス、研修関連、代わりの中途採用、そのOJTのロス
・「さっとミーティング」居合わせた者でミニミーティングを開き、その場で解決。一体感、共感、刺激。家族的
・人格を否定しない、逃げ口上は言わない、人と比較しない
・学習する組織
・リクルート:情報提供会社というコンセプトは変わらないが、一貫した主力商品はない。永遠のベンチャー企業
-目次-
序章 わずか1年で辞めた新人たちの言い分
第1章 なぜ若者はすぐに会社を見限るのか
第2章 「いまどきの若者」はそんなにダメなのか
第3章 「いまどきの上司」にもできること
第4章 離職者が相次ぐ会社12のパターン
第5章 絶対に辞めたくない職場
第6章 最強の教育研修
終章 あの会社の若者が3年で辞めない理由
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