読書メモ

・「ウェブはバカと暇人のもの 〜現場からのネット敗北宣言
(中川 淳一郎 :著、光文社新書 \760) : 2010.06.21

○印象的な言葉
・ネットの世界は気持ち悪すぎる。ネットの可能性を喜々として説く人も気持ち悪い
・自意識過剰、クリエイティブ男のひとりしゃべり
・怒りっぽいネット住民。いじめたがり。粗探し。正義感から人を叩く。嫉妬。ケチをつけたがる。自分の意見と違うものがあると不快になる。被害者的発言。 対抗心。揚げ足取り。脊髄反射。曲解。言論封殺
・絶対に勝てる論争を高みから仕掛けてくる。ハンディキャップマッチ
・企業も個人もネット世論にビクつき、自由な発言ができなくなった。TVでもすぐに抗議の電話。コメンテーターは無害なことしか言わない
・TVのコメンテーターは高額所得者だけ
・コンテンツがより無難に、つまらなくなっていく。どうでもいい情報だらけ
・批判的なコメントばかりしている奴は心が荒んでいる
・暇人自慢コンテスト(→非生産的なものに無駄に資源・エネルギーが使われている。)
・不快観察にもとづいた茶化し、いくばくかの愛
・普段書いている媒体では書けないことをネットなら自由に書ける
・一部の馬鹿によって全体の楽しみが奪われている
・ネットの声に頼ると馬鹿な声ばかり集まる。「みんなの意見は案外正しい」は日本のネット界では必ずしも当てはまらない
・自社の従業員を信じ、彼らの発想やひらめきに期待すべき
・ネットに頻繁に書き込むヘビーユーザはTVは見ても、金を払ってまで雑誌や新聞は買わない
・TV視聴者のお友達感覚。お友達、おらが村のヒーローの活躍を見守っている感覚
・人はTVをまだ好き
・誰もが納得するネットプロモーションの成功事例を見つけるのは難しい
・ネットでウケるもの:突っ込みどことがあるもの、非常に意見が鋭いもの
・ネットにはフェアな部分もある。面白いものは面白いと書く人がいる。勝手に広めてくれる
・馬鹿の意見は無視してOK.自分が正しいと思う信念があればそれを貫く
・ネットは暇つぶしの場。人々が自由に雑談をする場。放課後の教室や居酒屋のようなもの
・ネットユーザは企業メッセージなどは気にせず、価格と効果を期待
・ネットでブランド構築は難しい。企業や商品のブランドはキレイでカッコ良く、おしゃれなものを目指しているが、ネットユーザの嗜好には合わない
・ただ良い商品を作り、面白いイベントを企画し、ステキな広告・広報活動をする
・ネットへの過剰な期待。技術決定論的。血が通っていない。人間味が希薄。
・行動様式の多様化、メディアの多様化。マスからターゲットメディアへの予算シフト
・マーケティングが効かないのは単に商品が増えただけのこと
・専門家が語るネットの可能性や、負の部分をことさら強調。他人事で現実に即していない
・2ちゃんねるでも多様な意見はあまり出ない。誰かを叩くとその流れが一方向になる。ネットは人々をより均一化した
・時にくだらなく、時に怖く、時に優しいネット。(→徐々に空気のような存在・インフラになるだろう。煽るのは業界だけ)
・実力があるのに既得権益の壁によって認められない人をネットというフェアな装置は浮かび上がらせる
・がむしゃらに勉強し、様々な場所に顔を出し、トレーニングを怠らず、営業する
・能力や根性のある人はネットがなくても評価される

<感想>
・ネットの現場で人間の嫌なところを見すぎたらしい。人嫌いに?厭世的な気持ちになるのも分かる。ネットを突き放している。過剰な期待はしていない
・情報チャネルが増えれば、誤った情報を書かないようにすることで信頼性の高さを示せ抜け出せる可能性もある
・ネットの進化を煽る本→それが著者のモチベーションなら放っておけばいい

-目次-
第1章 ネットのヘビーユーザーは、やっぱり「暇人」
 品行方正で怒りっぽいネット住民
 ネット界のセレブ「オナホ王子」 ほか
第2章 現場で学んだ「ネットユーザーとのつきあい方」
 もしもナンシー関がブログをやっていたら…
 「堂本剛にお詫びしてください」 ほか
第3章 ネットで流行るのは結局「テレビネタ」
 テレビの時代は本当に終わったのか?
 ブログでもテレビネタは大人気 ほか
第4章 企業はネットに期待しすぎるな
 企業がネットでうまくやるための5箇条
 ブロガーイベントに参加する人はロイヤルカスタマーか? ほか
第5章 ネットはあなたの人生をなにも変えない