読書メモ

・「徒然草in USA ―自滅するアメリカ 堕落する日本
(島田雅彦 :著、新潮新書 \680) : 2010.08.09

○印象的な言葉
・平均的なアメリカ人はアメリカのことにしか興味はない(→日本人も同じ)
・日本病:受動的。長いものに巻かれろ、出る杭は打たれる。自分の意見を言わず、何事も他人事、他人にどう見られているか気にかける、危機管理能力の低さ
・里山ランド:自然そのものを提供
・アメリカは内戦の危機を孕んでいる。貧者たちの不満が爆発。暴動が連鎖的に多発すれば内戦と同じ
・民主主義は代表の首のすげ替えを容易に行なえるという意味で革命を暦に組み込んだ制度といえる
・民主主義の悪弊:市民が政治的関心をなくすと、ポピュリズムに行き着く。中身のない人物が代表に就くようになる。官僚やロビイストが幅を利かせるようになる
・日本では長年、権力の空白状態が続いた
・大統領には新しい時代を創造するクリエイティブな仕事をやる義務がある
・選挙戦はアメリカ国民に政治的覚醒を促す教育的な役割も果たす
・英国はロシアの新興財閥を陰で操り、ロシア買いを密かに進めていた
・アメリカは世界中に戦争状態を作り出して、軍を派遣し現地の利権を獲得し、兵器を売る。自国の軍隊の派遣は最小限にし、敵対する双方の勢力にバランスよく力を維持させ、 同時に疲弊させる戦略。
・治安維持に特化した軍備に移行しようとしている。警官や刑務所の増強も治安維持が雇用対策の一つになっている
・大恐慌の突破口は共産主義か全体主義しかない
・歴史の反復のサイクルは資本主義においては加速している
・全米の多くの州が深刻な財政赤字を抱える。カリフォルニア州は財政破綻した。46州が財政赤字で破綻寸前。都市近郊の住宅地はスラム化する
・資本主義は世界宗教のように見えるが、善悪の区別や内省、理性、倫理がすっぽり抜け落ちている。覇者の成功は多くの敗者の犠牲の上に築かれたゆえに、罪滅ぼしが必要。 詩を書き、祈り、風流を極め、他人を愛する。
・人間の全体性を回復するには、科学万能主義では足りない
・現実の社会はアメリカンドリームを決して実現させない。1人の成功者の陰には100万人の挫折者がいる
・アメリカでは「コミュニスト」は人殺しと同義。フランスやイタリアではインテリ、貴族、希望の星の意味。ロシアでは時代遅れ、保守。
・中国では一般企業に共産党幹部を出向させ、党がコンサルタント料を取るような形
・米・民間の保険会社は利潤追求に熱心なあまり、顧客に診察を受けさせまいとする。保険料も高い。給料の3割
・中東ではイランが代表になる。サラセンやペルシャ帝国の遺産を受け継ぐ。人口でも資源でも潜在的な経済力でも大国
・大東亜共栄圏が中国の手によって蘇るかも
・メキシコ国境には不法移民を手引きするグループ。法定賃金より安い賃金で過酷な労働に就かせる。奴隷制度が続いているようなもの
・ベトナム戦争時の反戦運動の主役はアイヴィーリーグの大学に学ぶ支配者階級の子弟。戦場にいたのは被支配者層。
・世界で村上春樹の文学が受け入れられているのは、アメリカンスタンダードを外国人がどのように消化していったのかが、ヴィヴィッドに示されているから
・日本は戦争遂行者のモラルが低かったから負けた。占領政策が始まるまで役人たちは証拠隠滅のため、せっせと公文書を燃やした
・日本の政策決定、実行する人々はアメリカのCIAや外交問題評議会などから情報提供を受けている。メディアもアメリカの意向に忠実な報道を展開
・知性や技術はいい教師といい生徒の出会いから生まれる
・欲求不満を吐き出すにも、本能や感情を爆発させるにも教養がいる。それを伝える言葉を持たない人間は惨め
・経済危機は世代交代を促進する
・観光旅行に行った先でお土産に買いたいものがどれだけあるかで、その国の製造業の水準が如実にわかる。アメリカは気の利いたお土産も作れない
・オタクカルチャー:日の当たらない花壇に育った内輪の美学。日本では弱者こそが生き残る。奇妙なものが生き残る。本来なら淘汰される
・日本人はいつしか政治を捨てた
・日本には一人勝ちを許さないチェック機能が働いている
・日本は諸問題の先進国
・中国から大量の移民が押し寄せた日本の縄文末期。日本は歴史的に大陸から追放された民族が最後に逃げてくる土地だった?異なるDNAを持つ者同士が共存し、共生してきた。
・日本人のDNAは他国に例を見ないくらい多様性に富む(→だから生命力が強い?)。 中国人のDNAは虐殺や追放が繰り返されたためか意外に多様でない。
・日本は今一度、戦国時代に回帰する。権力者の干渉を退け、高度な自治と自由貿易の原則を取り戻す
・日本人の倫理観の高さは美質

<感想>
・アメリカの魅力はほとんどなくなった。留学、旅行したくないと思うのは当然かも

-目次-
第1章 「革命下」のアメリカで
第2章 アメリカは反省するか
第3章 移民たちに明日はない
第4章 オバマと私のアメリカ史
第5章 日本の再独立
エピローグ 希望の原理は歴史にある