読書メモ
・「勝間和代&小宮一慶のエコノトーク」
(勝間和代、小宮一慶 :著、共同通信社 \1,000) : 2010.05.29
内容と感想:
ご存知、ベストセラー作家の最強コンビの本。
前半は二人の経済談義で、後半は共同通信社が配信する連載コラム(二人が交代で書いている)を集めたもの。
「少子化が止まらない理由」という勝間氏のコラムでは、対策効果が生まれない理由を
「子どもを持つことの効用が下がっているのに、費用が上がっている」からと書いているが、
非常に違和感があった。経済評論家が(科学的に?)分析すると、そういう見方になるのだろうが。
みんな効用を考えて子作りをしているんだろうかと思った。
一方で、「名目金利と実質金利」という勝間氏のコラムでは、重要なことが書かれている。
「家計も政府も意思決定を名目金利に左右されがち」であり、
住宅ローン金利や国債の金利も「名目金利ではなく、実質金利で判断しないといけない」と警告する。
現在はデフレだから「すでに実質金利は十分に高い」のだ。
低金利時代で名目金利(表向きの金利)は低く、借金が得のように見えても勘違いで、
「デフレが続けば借金返済は大変」だと理解する必要がある。
また、「ブランドビジネス」という勝間氏のコラムでは、「さまざまなビジネスが、製品の機能による競争から、流通形態による競争へ、
そしてブランドが価値を持つ−という流れになっている」といっている。
そこまではよいがコンテンツビジネスまでもブランドが重視されるとまで言っているが、
本当にそれでよいのか疑問に思う。私はある意味でブランド信仰を持っていると思っているが、
モノとコンテンツを同じ次元で考えることに、どうも違和感がある。例えばブランド重視でみんな音楽を聴いているのだろうか?
彼女はもっと深いところを見ているのかも知れないが。
○印象的な言葉
・Skil Will Matrix:スキル(能力や技術)とウィル(何かをやろうとする志、意欲)を見るマトリクス。
・日本の需給ギャップ(デフレ)はGDPの7%。物価上昇率と失業率には逆相関がある。
・デフレの原因は輸出が駄目になったから。外需で戦えるものが無くなった。結局、自動車と電化製品しかなかった。
・大学の半分は教員のためにある大学。日本の教員は給料が安いからろくな人が集まらない
・歴史的に一人当たりGDPが1万ドルになるまでは順調に経済成長する。そこまでは中国ももつ。今は3千ドル。
・先進国では人口動態的に住宅ブームはもう来ない
・医療・介護だけで経済成長は難しい。医療・介護費は伸びる一方。誰かが稼がない限り制度を維持できない
・SMART:目標設定戦略。Simple、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Reasonable(合理的、安価)、Time oriented(期限までに達成)の頭文字より。
・農家が自立できる道をつくるべき。農協を解体する。農家の所得が低いことについては生活補償で考えるべき。所得補償はやるべきでない。農家優遇になる。
農協以外の市場がないため、生産性が低いまま。
・食料自給率の数字は恣意的。農政にお金を回すため
・アメリカ型資本主義の本質は多様性。世界中から優秀な人材が集まり、新事業を興し、そこにお金を貸すベンチャーキャピタルやエンジェルがいる。
・サービス業など時給6千円の職業は多い。原価償却した手取りベースは5分の1になる。
・仕事を稼ぐための手段にすると仕事が荒れてくる。いい仕事をすることを目的とすべき。結果として稼げる。
・元気が出ないのがベースでいい。あまり生活に濃淡や表裏を付けない
・Riskは損失だけでなく、利益を得る可能性も包含した概念。
・変動幅そのものを短期的に狙うのが投機、平均リターンを中長期的に狙うのが投資
・日本株の平均リターンは年間4%、標準偏差は20%。1年の3分の2は16%下落から24%上昇までに収まり、残り3分の1がそれ以上に振れる。
・2002年〜2008年の「いざなみ景気」は円安バブルの結果。継続性の期待できない景気だった
・「顧客」ではなく「お客さま」
・Value Engineering:同じ機能をもつ製品を、コストを下げて作る
・「何となく」の意思決定には、無意識レベルでの要素が9割を超える。物を売る側は買い手の「何となく」に訴求しようとする
・子供の効用:世帯収入が増える所得効用(←いつの時代の話だ)、老後を安定させる年金効用、子供がもたらす充実という消費効用
・価格以外での訴求:話題の店、他人が持っていないもの、店の雰囲気を楽しむ
・KIPP:米国の貧困層向けの学校。大学進学が前提の特訓。授業数が多く、少人数制のきめの細かい指導。費用は寄付、公的補助、ボランティアによる労働提供。
・都会のシャッター通り:活性化プランを立てても賛同を得にくい。そこそこの老後を送れる人たちは新たな挑戦を好まず閉店を選ぶ。後継者もいない。
・農地の耕作放棄が進んでいる。土地を所有することから、活用することへ政策を推進すべき
<感想>
・子供手当てのような子供がいる世帯には支援があるが、そもそも子供が出来ない夫婦への支援はあるのか
・福袋なんて買うのは馬鹿げてる。無駄なものが増えるだけ
-目次-
はじめに
第1部 どうなる? どうする? これからの日本・・・・・・対談
第1編 経済とは
鳩山政権への評価は?
デフレの打開策
人材と教育
どうなる世界経済、そして日本は!
中国はどうなっているのか?
第2編 人生とは
自分の価値を高める
幸せになるために
人生の指標
生まれ変わったら
第2部 勝間&小宮の珠玉のコラム・・・・・・掲載記事
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