読書メモ

・「大前流心理経済学 〜貯めるな使え!
(大前研一:著、講談社 \1,600) : 2010.01.24

○印象的な言葉
・日本はバブル崩壊後、巨額の財政出動(公共投資)と超低金利政策、量的緩和政策を続けてきたが効果はなかった。→経済理論、常識が通用しない特殊な国
・日本は年金支給額は世界トップだが、ほとんどの人は老後に不安を抱える。日本人固有の不安心理を取り除け。
・日本人の「集団IQ」。一人で考えれば答えを出せるが、集団になると考えることができなくなる。集団の知恵が行政を動かし、世の中を変えていくまでに成熟していない
・日本繁栄の打ち手:カネ、土地、人。今後、土地は余る。
・実際に介護の厄介になるのは7人に1人。75歳以上でも29%。
・世界一長寿の国民が死ぬ間際まで目一杯活動すれば世界一活気のある国になる→GDPも増えるはず
・日本が立ち直るには今がラストチャンス
・若人、兵隊のいない国は他国に侵略される
・中国お客様論
・地域国家の集合体としての中国
・低金利政策により家計の利子所得が失われ、まるまる企業や金融機関へ移転した。金融機関の不良債権処理と過剰債務企業の整理が進んだ
・日本の経済学者は外国かぶればかり。自説を展開することを恐れ、サボり、外国の理論・学説を輸入・解釈するだけ
・税金や自国民の貯蓄を食い物にしている図々しい日本政府。その政府は同じくらいに感覚が麻痺している国民が選んだ
・特別会計歳出は増加の一途。特殊団体の財源は財投債などで賄う。大半が赤字で返済の目処が立たない。→誰が買い支えているのか?
・財政投融資という名の裏の借金は275兆円以上
・米国は401k制度で国民を突き放すことにより、国民は勉強し自衛した
・日本の家計の金融資産はバブル崩壊の影響をほとんど受けず、増え続けている
・質素な葬式でよければ自治体が出している一時金でも賄える
・高齢者に関する行政利権は介護がらみ
・経済がよほど堅調でなければ高金利政策は取れない
・投資家には国籍は関係ない。勝ち組の政府、勝てそうな経済に乗るだけ。財布でベスト政府に投票
・適正な金利のもとで企業活動が行なわれ、金利を少し上げたくらいで潰れるような会社は淘汰されるのが健全な資本主義経済
・金利5.5%が退職金や年金を考えたときに必要
・物価は世界的に平準化する方向に向かう。それにより物価の高い日本では物価が下落を続けるのは当然
・日本では相続税はたいした税収になっていない
・フラットタックス:一律課税なら年収とともに税金の絶対額は伸びるため税収は伸びる
・国の世話にはならないと決断した人には税や年金の負担を免除。あるいは遺産の何割か、住宅などを死後、公的な目的に寄付すると遺言することで最低限の保障を得る。 不安が解消され、社会にも貢献できる。
・介護を不要にする取り組み。寝たきりは結局高くつく。デンマークではボランティアが高齢者が自立して生活できるよう支援。 高齢者がアクティブになれば認知症や寝たきりも減り、介護負担も減る
・アクティブ・シニアの町づくりには5千人の規模が最低でも必要。そこに仕事も生まれ、若い人たちも住まう。住民税や固定資産税も入る。民間で出来る
・グリーンピアは少し手を加えることでコミュニティセンターとして活用可能
・「心理」を形作っているのは税制や制度の問題
・日本人は住宅ローンを払いながら、貯金をし、高い保険料を払い、使う金がない状態
・リバースモーゲージ型生命保険で、備えは十分、安心してお金も使える。融資も受けられる
・他人の住んでいた家には住みたくないという日本人固有の心理。汎用性の低い家で商品性が低い。極めて低水準の日本の中古住宅市場
・住宅の建て替え費用の減価償却部分の所得控除、バリアフリー型への建て替えへの補助金、生前葬・墓地の手当ては損金として課税対象所得から控除、 ベンチャー企業や中小企業株の購入に対して、配当への非課税、サラリーマン個人にも経費を認め、住宅の減価償却も所得税の還付の対象に。 家屋のリフォームも設備投資として減価償却の対象とし経費として認める。自分の能力開発投資であるPCや書籍購入も経費化せよ
・日本人は勢いのいい言葉を発する人間をリーダーと勘違いしがち。実態はピエロ
・国家ファンドが意図を持って動いたとき、厄介な相手となる。特定の産業を狙い撃ちにして崩壊させたりする。それを監視する国際機関の設置が必要
・国家ファンドが他国に投資すれば、その国に対して大きな抑止力となる。外国ファンド主導の日本の東証にも似る
・日本にはハブ港は5つあれば十分
・ロシアとの平和条約:エネルギー豊富なシベリア開発は日本の思うがままになる。北海道、東北、北陸はシベリア開発の前線基地として繁栄できる。 中国・韓国が乗り出す前にチャンスを掴むべき。
・ロシア政府の投資はロシア西部に偏る。海外投資も西部に誘導されている
・金額では世界有数の日本の防衛費。実戦では使い物にならない高くて無駄な装備が多い。国産の武器は高価で、実戦での実績もない
・台湾海峡有事は起こりえない。中国・台湾経済は蜜月状態、互いにビルトインされている。台湾人200万人が大陸で働く。中国国営企業でも重要ポストを占める
・中国が発展成長とともに自信をつければ台湾の力を借りなくてもよくなる。そうなれば武力で制圧することも無意味
・日本経済と中国も相互依存。中国が日本に武力行使すれば、中国に投資している日本を含め外資系企業やファンドも引き揚げる
・多くの国の軍隊は他国と戦うためでなく、自国民を平定するために置いている。中国トップが恐れているのは農民蜂起
・日本で中国脅威論を煽るのは国防ロビー。防衛費を使わせるため。中国も日本の軍事増強を理由に増強しようとしている
・米国は冷戦の苦い経験から中国を追い込むことはしない。
・小国は動きが俊敏、急激な変化に対応しやすい
・中国の発展は各省が独立国家のように競い合って投資を呼び込んだ結果
・teachよりlearn。新しい時代には答えのない問題だらけ
・教育再生の一つの方法は民間企業が「必要としている人材はこういう人間」と声高に言うこと
・一人の天才が世界を変えていく時代。突出した個人を創ることができる教育が求められる
・日本のメガバンク。哲学も文化もない、ただ規模がでかいだけの無意味な合従連衡。官僚的発想の賜物。競争力強化にもつながらない。 預金金利を払う能力も、世界の金融戦争に勝つ技術力もない。法人企業や預金者のためになっていない。
・日本は政官財、マスコミ、御用学者、検察庁、国税庁、弁護士までもが利権構造に取り込まれている
・ボーダレス経済ではカネ、情報、モノを扱う金融・通信・運輸が中核産業
・世界は自分の目で見なければ、身体で感じなければ分からない

<感想>
・日本の個人金融資産保有は偏りがある。それを動かすのは意外に簡単かも?優遇策を取れ
・ライフプランも持たずにただ不安がっている日本人。不安を打ち消すプランを作れればよい
・未熟な政治が国民を不安にさせる
・個人金融資産が有効に活用されていない。上場企業であれば資本を無駄にしていると責められることになる。投資し、効率的に使うべき。地元へ投資v ・グローバル化で雇用も海外へ移転。→雇用の質は低くないが有効活用されていない
・低金利政策より中小企業の優遇政策を
・日本は米国のように高金利で世界から金を集められるか?
・残存バイアス:伝統的日本家屋。長い年月残っているから丈夫と見るか、たまたま残っているのを目にしているから長持ちすると見えるのか
・移住先の過疎地のインフラ整備をサポートするビジネス
・自分の山を持ちたい人は意外に多いのでは?地方自治体所有の土地を貸与しては?
・日本沿岸の港町を巡る船旅ツアー。スローツアー。
・地元を良くする計画に参画できる地方債

-目次-
序章 日本は打ち手のすべてを持っている
第一章 従来の経済学が通用しない日本経済
第二章 日本人の不思議な経済心理
第三章 新たな繁栄のための心理経済学
第四章 心理を動かし、人を動かす
第五章 資産運用を国技にせよ
第六章 心理経済と集団IQ
第七章 一人の人間が世界を変える
終章 日本人の新しいライフプラン