読書メモ

・「ロシア・ショック
(大前 研一:著、講談社 \1,500) : 2010.01.16

○印象的な言葉
・世界の約40の新興国に成長チャンス
・日本の政治家は世界には米中しかないのごとく。経済人は中国一辺倒
・日本のGDPはプラザ合意後、伸びた。ドルベースでは大きくなっても円ベースではそれほどでもなかった
・ロシアの教育水準はBRICs内ではずば抜けて高い。IT関連の人材もインドに比肩する。進学率は高い。設備の整った大規模な大学、安い授業料。 毎年20万人の大卒のIT人材を輩出。
・ロシアは日本に欠けている部分を補うパートナーに相応しい
・日本のことが好きなロシア、インド、トルコ
・ロシアの100兆円規模の政府系ファンド。世界最大のファンドとして世界に影響力を行使するようになる
・日本人がロシアに行くには複雑なビザ申請がある。ロシア人も訪日は厳しい。日本は主要交易国とはほとんどビザなし。
・ロシアはフラットタックス化によりアングラ・マネーが経済の表に出てきて、所得税収が急増、国家財政が劇的に好転
・ロシア株式市場の時価総額は上位5社の石油・ガス企業が4割を占める。原油生産原価は1バレルあたり3〜8ドル
・ロシアは大統領に権限が集中
・プーチンはロシアを良くしたいと考えている。私利私欲で協力しない者は粛清される
・ロシアは83の連邦構成体からなる。7つの連邦管区が統括。人口は日本よりやや多いくらい。1991年以来、人口減少が続く。
・極東地区はモスクワよりも中国との交易で経済が成り立っている部分が多い
・サンクトペテルブルグ(レニングラード):バルト海に面す。トヨタ、日産、スズキなどが進出。ソフト産業の中心地。港湾は水深が浅く大型コンテナ船が寄港できない。 厳寒期は海が凍る。
・ソ連崩壊後、仕事を失ったロシアの研究者は大量に海外に流出。とくにドイツへの流出が多い。イスラエル、米国が続く
・IBMやボーイング、インテルなどもロシアに進出し、現地の技術者を雇用
・中国にないものは人材と資源、インドにないものは資源、中国にもインドにもないものはハイテク。そのないものをロシアは持っている
・ロシア男性の平均寿命は59歳。老後の蓄えが要らない!
・ロシアでは消費者保護の概念が乏しい
・ロシアの生活文化はすっかり欧州風に
・日露はいまだ平和条約を結べずにいる。正式には国交がない状態。日本のロシアへの直接投資は欧米企業に比べ出遅れる。平和協定を結べば、極東やシベリアを共同開発し、 北方四島返還以上のメリットを得られる
・サンクトペテルブルグで最も法人税を払っているのはJT
・サハリンプロジェクト1、2:日本のエネルギーの中東依存脱却とコスト低減を見込める
・ロシアでは利権を持った人は給料が安く、汚職や賄賂を前提にシステムが成り立っている。渡すべきものを要領よく渡すのがポイント。
・ロシア人は権威主義に対する抵抗感が強い
・ロシアでは朝令暮改がいつあってもおかしくない
・ロシアではソ連時代から軍事・航空産業が戦略産業
・ロシアのプログラマーは「どこが問題なのか?何を解決してもらいたのか?」を訊いてくる
・ロシアは世界の流れに逆行して、主要産業の国家管理を進める
・中国の7億人の農民戸籍の人々。移動の自由が与えられていない
・インドの圧倒的な貧困層の存在、進学率の低さ。ブラジルの非識字率の高さと治安の悪さ、富の偏在
・中国は経済活動に関しては地方分権。100万人都市が200。経済成長の手段は農民から巻き上げた土地の商業用地への転売利益と外資の直接投資。
・中国、韓国は北朝鮮の鉄鉱石、タングステンなどの地下資源と、安価な労働力を狙っている。アメリカも利権を狙っている
・ロシアが中国に抱く危機感は圧倒的な人口差。極東ではおびただしい数の中国人が流入。4300キロの国境
・バルカン半島はロシアからの投資で経済が成り立っている
・ロシアをEUに加盟させれば、米国を凌駕し、中国にも対抗できる。OPECにも抑止力になる。貧しい国々が次々にEU加盟することでいずれ、EU財政は厳しくなる。 ロシアの財政力を取り込める。人口は8億弱になる。石油や天然ガスの取引もユーロになれば、EUの貿易は安定する。為替の影響はない

-目次-
激変する世界の潮流
第1部 変貌するロシア
 プーチンの奇跡
 拡大する市場
第2部 ロシアン・ビジネス・チャンス
 愛される日本、出遅れる日本
 二一世紀のIT大国・ロシア
第3部 世界の潮流とロシア
 内政・外交の光と影
 ロシアとEU
日ロ関係の未来図