読書メモ

・「投資アウトルック 2009 〜経済・マネー・企業はどう動く?
(日本経済新聞出版社:編、日本経済新聞出版社 \1,800) : 2010.09.22

○印象的な言葉
・化学業界は再編が必至。生産能力の余剰
・医療費・薬剤費抑制、後発医薬品の使用促進が世界の潮流
・景気対策は集中的に重点分野に投入すべき
・GDPの8割を占める非製造業の生産性の向上を
・医療はGDPの8%の40兆円規模の産業。ニーズが高い
・個人金融資産と同規模の住宅資産の75%は50歳以上の人が保有
・資源大国、農産物大国の通貨が強くなる
・世界中で急速に下落した金利による、所得収支(海外投資の配当金と利息)の落ち込み
・過去、財政破綻に陥った国の多くはハイパーインフレ政策をとり、借金を実質棒引きにした。経済弱者には過酷な政策
・政府の債務返済能力に疑問がもたれればリスクプレミアムの上乗せという形で長期金利上昇が始まる。長期金利は政府・日銀ではコントロールできない
・アメリカ的楽観論。景気循環しているだけ。株は心理ゲーム。ゲームだから仕切り直せばいい
・「自由な市場」という理想をアメリカは変えない。世界で一番最後まで資本主義の大原則を守りそうな安心感
・ロシアの金融機関の多くは欧州の金融機関から資金調達している。歴史が浅く、十分な金融ノウハウを持たない。まともな融資審査もせず貸し出ししている。一部が不良債権化。
・WTO体制が危機に瀕している。先進国と新興国の利害の対立
・原油価格高騰は国内素材型産業の業界再編を誘引
・一企業単独での研究開発や発想だけでなイノベーション創出は限界。外部資源を活用したオープン・イノベーション。知識の融合をもたらす「場」や「風土」を備える
・消費者を細かく分類した上で、それぞれの顧客にあった個性の際立った商品を供給
・PERから計算した益利回りに名目GDP成長率を足したものを株式の期待リターンとする。これが長期金利を上回る割合をリスクプレミアムといい、5%なら株価は高い、7%なら安い。
・生命保険料は節約できる。不要な特約は整理する。医療保険と医療関係の特約は不要。残りを貯蓄に回すべき
・個人年金保険(変額年金保険)は投資信託より手数料が高く解約にも不便。投信に劣る投信
・大きな下げからのリバウンド相場ではボロ株と言われるような評価の低い銘柄が大きく上昇することがある。株価が100円を割っているような。
・アメリカの住宅市場が正常化するには数年を要する。不動産価格の下げ止まりは2010年と見込まれる。米国株式も2010年頃までは調整場面
・日本の大企業、製造企業の財務体質はいまだに頑健。企業セクター全体では貯蓄超過
・景況が悪化すると年末の資金繰りに最も警戒感が高まる。年初からは金余りとなりやすい。1月末からはオイルマネーが流入。アメリカでは2〜5月までは20兆円レベルの税還付がある。
・投信は値下がりに加え、解約が相次ぎ、純資産総額や受益権総口数が一定水準を割り込むと利上げ償還される懸念がある
・投信を買うには基準価額がどう推移してきたかを見る
・外貨投資は円高時に始めること
・金(Gold)はマクロ経済の悪材料に対する耐性が強い。商品とマネーの二面性をもつ。リスクをヘッジする守りの資産
・不動産投資関連の専門家は極めて少数、中立の立場の専門家が少ない
・PAN系炭素繊維は東レ、帝人、三菱レイヨンが世界シェアの大半を握る
・水処理関連事業も注目:水不足。排水浄化、海水淡水化
・電池関連材料も注目
・製薬メーカーには巨額の研究開発投資が必要。新薬承認のハードルも上がり、ハイリスク・ハイリターンなビジネスモデルに限界
・鉄鋼業界は高級鋼材では日本メーカーが世界トップの生産技術、優位性は不変。電炉メーカーは国内建設向け鋼材が主体
・設備投資関連の代表格、工作機械は日本が世界需要の4割を占める。主要顧客は自動車、エレクトロニクス。機械株は景気敏感株。設備投資は7〜10年周期。
・建設機械の新興国・資源国の需要は底堅い
・総合商社は新興国のインフラ投資関連事業中心に投融資を積極化

-目次-
1 3つの観点から見る09年の日本経済
2 世界の経済、マネーはこう動く
3 09年投資のカンどころ
4 09年 産業・企業の動向を読み解く