読書メモ
・「伸びるしかけ」
(白潟 敏朗:著、中経出版 \1,300) : 2010.10.25
内容と感想:
今回の「シンプルしかけ」シリーズのテーマは人材育成。
社長なら社員を、上司なら部下を育てるのも重要な役割の一つ。
しかし、残業規制などで余裕も無くなって、なかなか「育てる」時間もない、というのが現状ではないだろうか?
本書では社員を「育てる」のではなく、社員が自ら「育つ」しかけを紹介している。
本書のポイントは、まず「目指すべき人財像」の設定、次に「成長できる仕事」と「場づくり」、「体系化された」教育研修、コーチ(上司)・ライバル(同僚)・部下(後輩)。
それぞれのポイントについて第1章から4章までで解説。そして最後の「その気にさせる」しかけ、第5章を含めて全部で20個の「シンプルしかけ」が用意されている。
第1章では「目指すべき人財像」の設定に使う次の3つのツールが紹介されている。
キャリアパスシート、人財シート、「○○の道」シート
これらのシートで目標設定ができたら、次に成長できる仕事を与え、成長できる場づくりをし、OJT以外に体系化された教育研修システムを構築し、実践する。
また、大掛かりな組織変更は不要のチーム編成で、コーチ(上司)・ライバル(同僚)・部下(後輩)の組み合わせを作る。
本書はシリーズ作の「上司のすごいしかけ」や「デキる上司」、「仕事の5力」らの内容と重なる部分もあるが、今回は人材育成がテーマであるから、
重複する項目に関しては前書の「復習」として、引用しながら解説している。
いずれの「しかけ」もすぐに始められそうなものばかり。
既に人材育成制度や目標設定制度などがある会社も多いと思うが、もし行き詰っているようであれば、自部門だけでも試しにやってみるとよいかも知れない。
御社の制度が複雑で分かりにくいとか、効果がないとか、曖昧な制度で形骸化しているようなら、試してみる価値はある。
○印象的な言葉
・成功する人の3条件:プラス思考、素直、勉強好き
・社員が自ら育つ環境づくり。コーチ、ライバル、部下・後輩は演出装置として必要。成長をアシストする
・目指すべき人財像
・体系的に理論を学べる教育研修
・成長できる仕事と場
・キャリアパスシート:スパンは長め。
・まず1つの職種を極め、プロになる。
・管理職コースと専門職コース。専門職というと出世から外れたというイメージ。マイスターコースとか、スーパーエンジニアコース、トップセールスマンコースなどのネーミングがよい。
コース間は行ったり来たりすればいい。
・人財シート:スパンは短め。職種別、ランク別に仕事に必要な力量をまとめる
・「○○の道」シート:具体的な仕事について出来るレベルを示す。メインにやっている仕事をちゃんと載せること
・会議などで部下に考えさせることが「考える」訓練の場になる。話させることが「話す」訓練の場になる
・「○×の札」を使って賛成・反対の意思を明確にさせる。他人の意見に同調できなくなる。自分の「意見をもたなければ」というプレッシャーになる。
最初から全員の意見が一致する場合、リスクヘッジのため、もう一度考え直す機会を設ける。別の角度から意見を交わすことでリスクが見えてくる。
・P&P(ペーパー&ペン):プレゼンの訓練にもなる
・コツの発表:定例的な会議の時間のうち10分を当てる。実践的な学習の場になる。
・今週(今月)の気になった一言:会議の5分間を当てる。ずっと続けられる「かんたん勉強会」。情報収集ぐせがつく。考える力、プレゼン力もつく
・本から共に学ぼう会:感想、良かったところを語る。仕事に活かせること(どう実践するか)を語る。資料にまとめ、プレゼンする(ビデオに撮る)。
意見交換し、点数を付け、優秀者を表彰。研修レポート作成。
・教育体系図:「基本的な考え方」には京セラのフィロソフィーのような「こだわり」を書く。本図を新卒や中途採用の会社説明会で配る
・コーチングは部下の自律をサポートするコミュニケーション技術
・部下が言うことは間違いが多い。経験や知識、技術が足りないから。部下を否定しない
・けいちぎこ:経験、意識、知識、技術、こだわりの視点から部下の課題を探る。コンサルティングにも使える。
・トヨタの「なぜ5回」でのルールは、人のせいにしないこと
・会社の本質的課題は人になるケースが多い
・同世代の会:5歳くらいの幅。部門横断的な飲み会にする。
・ブラザー/シスター:本来は後輩がつかない人にも部門を越えて後輩をつける
・今は無気力に思われる部下にも無限の可能性がある。今はたまたま、実力が発揮されていないだけ。
・成長したくないという社員を成長させる、その気にさせるには、期限を決めて改善案などを提案させる。部下はやり方を工夫し始める。いい提案は採用。
・単純作業や、顧客から距離感が遠い部署だとやる気が起きづらい
-目次-
第1章 「目指すべき人財像」の設定
キャリアパスシート
人財シート
○○への道
第2章 「成長できる仕事」と「場づくり」
○○さんの意見を聴かせて
○×の札
P&P(ペーパー&ペン)
第3章 「体系化された」教育研修
今週(今月)の気になった一言
本から共に学ぼう会
人財能力モデル
教育体系図
第4章 コーチ(上司)・ライバル(同僚)・部下(後輩)
『ちがう』でなく『ブー』
そのこころは?
胡蝶蘭(こちょうらん)
けいちぎこ
同世代の会
チーム2人
ブラザー/シスター
第5章 「その気」にさせる
(1時間後に)提案して
お客様の喜びの声
仕事っておもしろいぞ飲み会
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