読書メモ

・「浜矩子の「新しい経済学」 〜グローバル市民主義の薦め
(浜 矩子:著、角川SSC新書 \780) : 2012.12.06


○印象的な言葉
・資本の論理はヒトを抹殺する。市民の論理はヒトの復権につながる。人間そのものを主役とする
・見知らぬ他人に対して気配り豊かで礼儀正しくあれる時、その人は世界市民だ(フランシス・ベーコン)
・魂のデフレ、魂の死。創造性も生産性も低下、鈍感になる
・新産業育成を「国を挙げて」追及するという発想は古臭い
・部分最適を積み上げても全体最適には到達しない
・制限価格の高騰が企業にとってコスト増となる。人件費を更に削らざるをえない。ヒトいじめ傾向が深まる
・下請け切捨てで廃業に追い込まれれば、彼らの技術も死に絶える。非正規労働者に依存する現場にはノウハウが蓄積されず、品質も保証されない
・ホモ・サピエンス:ホモは人間、サピエンスは知性、英知
・経済学に高等数学が使われるようになり、経済学は科学だという幻想が強まった。分析の道具としての計量経済学は有効、有用
・経済活動は三角形。成長と競争と分配を三辺とする三角形。地球と国家と地域を三辺とする三角形。ヒトとモノとカネを三辺とする三角形。 分配が貧弱になり、地球(グローバルスタンダード)がのさばり過ぎ、ヒトが著しく割りを食った。3つの三角形の修復は連動している
・現状は国富論より「僕富論」の世界、僕至上主義。グローバルジャングルに相応しいのは「君富論」。自分のことではなく、君のことを考える
・欧州におけるドイツ経済の存在感は大きい。EU経済の3分の1、ユーロ圏では半分を占める
・新たな火種・ハンガリー:財政赤字が前政権の公表額より遥かに大きかった。ハンガリーはユーロ圏にははいっていないが、EU加盟国。
・東欧諸国に対する債務に占めるドイツのシェアは2〜3割
・今日的主役は資本家でも、労働者でも、国民でもない。市民、地球市民ではないか

-目次-
プロローグ 新酒の味をどう聞き分けるか
第1章 いつの間にか、みんな一人になっていた ―「自分さえ良ければ病」の落とし穴
第2章 エコなのか、エゴなのか ―グローバル・ジャングルの真相
第3章 グローバル・ジャングルはヒトが棲む場所 ―経済活動は人間の営み…私たちの暮らしが経済そのもの
第4章 いつから、どうして、ジャングルからヒトが消えたのか ―経済が「解らなく、つまらなく、難しく」なったのはなぜ?
第5章 そこでどうする? ―我々が向かうべきところはどこか
第6章 そして再び今を考える ―グローバル・ジャングルの最新点描
エピローグ グローバル市民主義の薦め