読書メモ
・「仕事燃費を3倍アップする!」
(齋藤 孝:著、講談社 \1,300) : 2010.08.27
内容と感想:
本書は「仕事燃費」という概念を提案している。人間も車と同じように燃費を意識すると仕事の効率が上がって、無駄が減ると言う。
要するに仕事の「生産性」を意識しろ、ということだ。車に例えるのはなかなかユニーク。
本書は仕事の効率をアップするための秘訣集である。全部で65の秘訣が紹介されている。
著者が講師を勤めたビジネスセミナーで収集したというビジネスマンへのアンケートなども取り上げられている。
仕事上の失敗談や悩みなどが紹介されていて興味深い。
プロローグでは「仕事燃費の3原則」というものを定義している。
・エネルギー効率がいい(エネルギー循環がよく、迅速に成果が出せる)
・環境への配慮がある(関わりのある人たちの仕事効率まで考えて動ける)
・自分の燃費適性を知っている(どうすれば仕事効率を上げられるか)
これらを実現できている人が「仕事燃費がいい人」ということになる。
また、一番最後の項目では、余裕を持って仕事ができるようにするための次のような合い言葉を提唱している。
「俯瞰・段取り・上機嫌」
つまり、俯瞰することで仕事の全体像をつかみ、段取り力でプランを練り、プランの修正は頻繁に行い、仕事は上機嫌で遂行する、ということだ。
本書をヒントに仕事を効率よくこなして、自分の時間も充実させよう。
○印象的な言葉
・概念で物事を一貫性をもって捉える
・ぱっと処理して、早めに相手に投げ返す。次の判断を相手に預ける。速く決断すれば、それが違うということも早く分かる
・燃費が悪く、環境を破壊するタイプ:意思決定が遅い、決断力が鈍い。指示が曖昧。勝手な行動、マイペース。読みが甘い
・仕事は本丸を直接攻撃する。まず骨組みを組み立てて、そこに肉付けしていく。
論文であれば資料の準備よりも先にゴールを決める。最も言いたいことを整理し、土台を作る。資料に当たるのは肉付けの段階でいい
・周りを見る。仕事の全体像の中での自分の役割、他の人との相関関係をつかむ。時間軸の中での自分の位置も見る
・「りきみ」を取るとは自分の動きを邪魔しないこと
・企画書のスタイル:対象、テーマ、狙い、キーワード、段取り、仕込み(裏段取り)
・離見の見(世阿弥):離見をもって自分を眺めるには「目前心後」という心得が大切。心は自分の背後に置く
・物事をマクロ視点から考えると心に余裕が持てる。仕事の目的と期限、全体の段取り、自分の役目と段取り。
・段取りを立てたり、それを見直す時間を毎日のスケジュールの中に組み入れておく
・本当に迅速に仕事を進めたいなら決定権を持った人が打ち合わせに出てくるべき。
・「英文解釈教室」(伊藤和夫:著)
・xxが出来ないというコンプレックスを抱えるよりは、今生では縁がなかったと考える
・どんな苦難も冥途の土産と考えれば味わえる(土屋賢二)
・アメリカ人は機嫌よくふるまうことは社会性がある証という認識を持っている。「cheerful」
・みぞおちと肩甲骨と顔の筋肉を緩ませることで上機嫌モードに入れる
・上司も顧客も好き嫌いで付き合っているわけではない。仕事だから付き合っている
・苦手なことは集中して直さないと克服できない。ちょっとした努力で劇的に成果が上がる。ストレスも減る
-目次-
プロローグ 「仕事燃費」があなたを変える!
第1章 チェンジ・ザ・仕事術 ――燃費向上は構えから
第2章 8割原則でりきまずやる
第3章 段取り力と俯瞰力を強化する
第4章 結果につながる正しい集中力とは?
第5章 上機嫌な身体がビジネスチャンスを拡大する
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