読書メモ
・「ロハスビジネス」
(大和田 順子、水津 陽子:著、朝日新書 \720) : 2010.09.21
内容と感想:
「LOHAS」(Lifestyle Of Health And Sustainability)は直訳すると「健康と持続可能な社会を志向するライフスタイル」。
米国直輸入の「健康と環境を大切にする新しいライフスタイル」とのことだが、それをビジネスにしようというのが本書のテーマ。
関連ビジネスは既に本場アメリカでは始まっているようだが、意地悪な味方をすれば、また新しいマーケティング戦略を輸入してきたな、という印象。
確かに時代は地球環境保護の流れであり、それに逆らうつもりはない。
しかし違和感があるのは、「健康と持続可能性」ということであれば、古くから日本でも伝えられてきた思想の中にあったものだし、
今更、アメリカ人に言われるまでもない。
ただ、このLOHASは明治以降、西洋列強に追いつけ、追い越せと、古いものを壊し、捨ててきた我々日本人が伝統文化を見直すきっかけにはなりそうだ。
本書はそのロハス・ビジネスの入門書として書かれた。
現在のビジネス事情や、ロハスな人々の考え方や行動に迫り、具体的な企業の事例を紹介している。
また、地方活性化に活かそうとしている事例も取り上げている。これからビジネスを始めたい人へのアドバイスも書かれている。
ビジネスともなれば、企業そのもの、雇用も「持続可能」でなければいけないし、ロハスにこだわるばかり、別のところで環境負荷をかけるようなことがあっては本末転倒だ
(「偽善エコロジー」参照)。
自分のビジネスが環境にどんな影響を与えるかよく考えないと独りよがりのビジネスになってしまうし、
極端に原理主義的になったり、排他的になってはいけないだろう。
第6章で提案されている医療、福祉などの分野との連携というのは今後の日本の成長産業として魅力的だと思う。
ビジネスとはいえ、あまりにに金儲けの匂いがすると、ロハスの思想や精神性を壊してしまうだろう。
○印象的な言葉
・ロハス3原則:エコロジー、ヘルシー、フリー
・トレッキングルート開設。ゆっくり自然を楽しみながら歩くトレッキング。不断のメンテナンスが必要
・豊かなはずの森林資源を活かせていない
・人の体と心、地域社会、地球の健康
・身土不二:人と土は一体、育った土地の物を食べることが健康につながる
・グリーン・エンターテインメント:野菜づくりをレジャーに
・反響営業:チラシを各戸配布し、反応して連絡してきた客に集中的に営業をかける
・先人の知恵に学ぶ暮らし
・ライバル企業の誕生を喜び、進んで同業者の成長を支援する。それが市場を拡大し、自社のビジネス拡大にもつながる
・復古創新:古いものの良さを活かしつつ、新たなモノを生み出す
・コミュニティ・ファンド:地域であらかじめ使途を決めて資金を募る。地域の共有の価値を守ったり、まちづくりや、地域の教育や福祉、医療の充実の実現。
・医療、福祉、健康ビジネスは隣接した分野、提携関係が必然
<その他>
・LOHASを日本古来の言葉で言い換えられるのでは?
・人を核とした町おこし。名人、名物住職の講話、など魅力ある人。伝統芸能
・ハーブ、アロマテラピーなどに依存症は出ない?
-目次-
第1章 いま、なぜ「ロハス」なのか
第2章 ロハスな人たちの横顔
第3章 これがロハスビジネスだ! ―良心が経営と社会を変える
第4章 ロハスなら地方も活きる
第5章 ロハスビジネスの黄金ルール
第6章 ロハスビジネスの始め方
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