読書メモ

・「絶対こうなる!日本経済 〜2時間でいまがわかる! この国は破産なんかしない!?
(榊原英資、竹中平蔵、田原総一朗:著、アスコム \952) : 2010.11.21

○印象的な言葉
・日本の輸出産業が雇用する労働者は全体の7%
・民主党の「政治主導」という名の「素人主導」。実態は官僚主導。アマチュア政治を改め、専門家を政治任用せよ。国際的な人脈のある専門家を政府の要職に就けよ
・民主党政権には成長戦略も経済戦略、経済政策が見当たらない。経済成長させないまま、バラマキを拡大しようとしている。マクロ経済管理の枠組みが存在しない。 官僚も経済人も使っていない。政治家からは発想は出ない。発想を出すのは官僚。それを吟味して決断するのが政治家。
・小泉政権後、改革が止まり、成長率も落ちた
・早い時期にビジネスモデルをシフトした韓国。98〜99年の経済・通貨危機で企業淘汰が進んだ
・日本は一業種当たりの企業数が多過ぎる。電機業界など。日本企業の純潔へのこだわり。M&Aを仲介する金融機能が弱かった。「失われた10年」で日本の金融機関が弱体化。
・政府がM&Aを奨励すべき。税法上のメリットを与える。期限付きでやらせる
・日本が国際金融センターになれないのは、日本人が英語ができないから。共通言語である英語のインフラが弱すぎる。国際的なオペレーションには英語が必須。 英語を読み書きできる人はある程度いても、書類を作れるセクレタリーの数が圧倒的に少ない。純潔主義もある。日本の金融機関が国際化していないのに、東京市場だけが 国際化するはずがない。
・日本企業は技術をオープン化する部分とブラックボックス化する部分の使い分けができなかった。欧米のオープンシステムにうまく入っていけない。 自分のところで全部やろうとする。
・世界は部品屋の時代
・車の部品は点数も多く、部品同士の依存性が強く綿密なすり合わせが必要なため、モジュール化が進まない。電気自動車ではモジュール化は急速に進む
・日本企業には経営陣に外国人がいないところが大部分。内向き。技術力は高いが、発信能力が劣る。世界標準にするには、どことどう組むかを考えねばならない。外交能力が必要
・アラブに原発を売る際に韓国は運転する人間までパッケージにして受注。日本企業は要求に応じなかった
・現場では最高の技術で製品を作るが、それが誰に買われ、どう使われ、生活や社会をどう変えていくかトータルで発想する部署がない。システムとしてインテグレートする発想がない。 トータルで戦略を立てるトップの問題。
・10年後は毎年100万人単位で人口が減る。郡部の人を市街地に住まわせるなど人口を集約する国土政策に転換すべき
・金融業はリスク管理業なのに日本の金融機関はリスク管理をやったことがない。自前で金融商品を作れない。事業を見てカネを貸し出そうというガバナンスになっていない。 地方の信用金庫や小さな地方銀行にはそれがある。
・官尊民卑なのは、民が卑しいから。民の志が低いから(土光敏夫)
・混合診療を認めて医療分野を伸ばす。教育も文部科学省を潰すくらいの自由化をやる。放送・通信の自由化
・緊急避難的な国債増発もやむをえないが、「その後の成長戦略と歳出削減で10年後はこうなる」と打ち出す必要がある
・2009年の財政赤字は53兆円。これを消費税だけで埋めるには税率を20%上げる必要がある
・子供手当ての総額から給食費を引いて、学校給食を無料化し、残りを手当てとして渡せばいい
・消費税を全て社会保障に使ってしまうと地方分権はできなくなる。地方に財源移譲した上で、地方間格差を調整する新しい交付税が必要。財源を持つことで責任も生じる
・新聞もテレビの都道府県単位。ここを中抜きするのは容易ではない
・民主党には内部統制という概念がない。ガバナンスもない
・バーゼルUの新たな規制では、金融機関に公的資金の更なる投入が必要かも知れない大問題
・露骨な官僚いじめ、公務員いじめをやると、ろくな若者が公務員にならない。官僚になるのは民間がさらった後に残った学生
・日本の政治家は国会に縛られすぎ。大臣を縛りすぎる。毎日、国会に行く。本来の仕事は5時以降か終末しかできない。大臣に仕事をさせないようなシステムになっている。 アメリカの閣僚はヒアリングで呼ばれない限りは議会には行かない。大臣は国会で「細かいことは官僚に聞いてください」といえるようにすべき
・国会が野党には花を持たせる場になっている。国会改革が必要
・小沢一郎は公明党とのパイプが太い。民主・公明の連立が一番の安定政権
・日本は二大政党にはならない。野党になった自民党を支持するタイプの人がいない。自民党は崩壊のプロセスに入った。自民党も民主党もいずれなくなる
・西欧文明とアジア侵略こそが近代。第二次大戦後、植民地解放運動が起こり、どんどん独立した。戦争はアジアにとって役に立った。
・日本の役割は日本人はこんなに幸せに暮らしていけるという見本をいかに世界に示すか。都市・建設・環境技術は世界一。
・21世紀のキーワードは環境、安全、健康
・混乱の時代には不安だから極端に走る。全能の政府に依存しがちになる。大きな政府になる
・日本の「都市・環境立国」宣言。「アジア・ゲートウェイ」宣言。アジアの成長や活力を取り込む
・韓国との関係を強化。韓国との間に海底トンネルを作る
・日本社会全体が老害。これと戦うのは消耗戦になる

-目次-
第1章 アメリカ、中国は、これからどうなる? ―「坂の上の雲」の先に何が見えるか?
第2章 日本経済のここが大問題 ―日本企業のビジネスモデルをこう変革しよう!
第3章 技術で勝って商売で負ける日本 ―勝つために何をすべきか?
第4章 これから儲かる、成長するビジネスとは? ―製造業から本格的なサービス産業の時代に
第5章 日本は破産なんかしない!? ―目指すはアメリカ型競争社会か、ヨーロッパ型福祉社会か?
第6章 絶対こうなる!日本の政治 ―民主党の“脱官僚”は大間違いだ!
第7章 絶対こうなる!10年後の日本 ―日本を明るくするために