読書メモ
・「きっちり2週間で「自分の壁」が破れる! 〜私の即戦!「頭脳鍛錬」法」
(齋藤 孝:著、イースト・プレス \1,300) : 2010.09.10
内容と感想:
一つのテーマにある程度深く入り込んで、まとまった成果が得られる最小単位が2週間だという。タイトルの2週間というのはそこから来ている。
意志が続く単位、モチベーションがもつのが2週間。
要は、一定期間、同一のテーマがずっと頭にあることが有効だと著者は考えている。
自分で「○○ウィーク」と銘打つのも面白いと言っている。
本書は勉強、頭脳鍛錬がテーマだが、スポーツトレーニングの考え方を勉強法に応用したい、と考え本書を書いた。
それが本書に発揮できているかは疑問だ。
2週間と区切ったからといって、1日目は何をしろ、といった具体的なメニューも日程もない。自分で考えろ、ということだろう。
目次を見ても分かるように、頭を鍛えるためにどんな力を身に付けるべきかを語り、それぞれに必要な考え方を述べているに過ぎない。
散漫で統一感に欠けると感じた。
発問力、複眼力、推理力、会話力、などと並べてはいるが、著者の他の著書からつまみ食いしてきて本にしたような印象で残念。
○印象的な言葉
・実存主義:自分で選び、自分で責任をもって次の自分を作っていくという態度。人間という現実存在(実存)は、物とは違う、自らの未来を選択し肯定的に生きよう。
・「頭脳鍛錬」を始めるに当たって、自分に問いかける。自分は何者?拠って立つ基盤は?何のためなら勉強を続けられるか?
・発問力:気になる部分に目をつけ問いを立てる。違和感をセンサーにする。偉大な思想家は発問力が優れる
・坂本龍馬は細かい勉強には不熱心だったが、時代の流れを大づかみできる力があった。勝海舟と出会い、大局をしっかり理解すると、必要な勉強を始めた。
・深交力:自分よりも「ものが見えている」人と話をする
・明治になるまで、日本人には今でいう「自由」の概念がほとんどなかった
・独立していない人は必ず他の人に頼ろうとする。人に頼る人は人を恐れる。人を恐れる人は、人にへつらう
・学ぶとは自由でなおかつ独立した人間になること
・弁証法:二者択一より一挙両得という新次元を考え出す。スポーツと勉強の両立のように。「あれもこれも」を狙う。
・全ての相手に素直であれば、一人を盲信する危険がない
・実務より思想形成や教育。トラブル処理より、前を向いて明るく過ごす。自分の体が馴染む道へ進路を
・勉強するとは肉体全てを使って思考すること
・勉強は頭ではない。胸に収まる⇒腑に落ちる⇒臍下丹田に落ちる。知識として飲み込んだものが上から下へ落ちて収まる
・創作ノート
・映画「惑星ソラリス」、「ノスタルジア」:タルコフスキー。ソ連時代。筋ではなく、イメージのつながりを楽しむ映画
・映画「胡蝶の夢」:コッポラ。モンタージュの技法をフルに使う
・サプライズ(驚き)の多い人は用意ができていない人、推理力がない人
・仮説は何かに気付くことから始まる。クレームには改善する重要なヒント、気付きの元が含まれている
・スケジュール帳に「気付き」の欄を作る
・教養ある人はうまく引用できる力を持つ人
・ジャンルの垣根を越えて混ざり合った、深い背景のあるやり取りこそ教養人の会話
・一分あればどんな大切な話も伝えられる。多くても2、3分。
・英語勉強法:ストップウォッチを活用した速音読。繰り返し音読し、スピードを上げていく。次第に語彙に馴染んでくる。あらかじめ日本語訳で予習しておく。
・予習が大事。本番での情報の吸収力が高くなる。心理的に余裕がもてる。予測ができる。
・論語:2500年前の人が残した言葉が、具体的な生活に応用可能
-目次-
はじめに 私が実体験でつかんだ、いちばん簡単な「頭脳」鍛錬法 ―2週間“自家発酵”で勉強アタマになる!
1章 2週間で「見違えるような自分」に!
2章 するどい「発問力」で一気に能力開花!
3章 「大づかみする」力を身につける
4章 「深く」考える力・解決する力!
5章 頭のいい人は「五感」もするどい!
6章 「複眼力」を鍛える!
7章 「推理力」を鍛える!
8章 聞き手の「おっ!」を引き出す会話力!
9章 知的鍛錬のための「時間のつくり方」・「生かし方」
10章 目ざすは「オールラウンドな頭脳」に!
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