読書メモ

・「サラリーマンのためのお金サバイバル術
(岡本 吏郎 :著、朝日新書 \740) : 2010.10.22

内容と感想:
 
サブタイトルは「家・車・保険、「人並み」な買い物が破滅を招く」。 「人並み」は決して普通でも、安心でもないことを本書は言おうとしている。 周りが買っているから自分も、と身の丈を超えた買い物をすると、一生後悔するという話。 著者は経営コンサルタント。 タイトルは「サラリーマンのため」となっているが、広く一般人に役立つ内容だ。 お金の貯め方、使い方、増やし方について説いている。 私の価値観は著者の価値観に非常に近かったので、内容に好感をもてた。 煽るような運用指南書が世の中には多いが、実に一般生活者、サラリーマンの視点に立った本を書いてくださったと、 国民を代表してお礼を言いたい(大袈裟か)。
 結論としては第3章の最後にもあるように「本業に精を出して淡々といきましょう。」 無駄な買い物はしない、下手な運用もしない、そうすれば豊かに暮らしていけるのだ。 当たり前のようだが、無理をしてしまって苦しんでいる人は多いのでは?

○印象的な言葉
・資産運用なんてナンセンス
・医療保険は保険ではない。人々の不安をついた単なる「不安商品」。健康保険ではカバーしきれない医療(最先端の医療など)を利用しなければならなくなった場合には必要。 高額療養費は健康保険から出る。
・余裕資金で世界市場を買う
・ウォルマートは従業員に生活保護レベルの賃金しか払っていない
・私たちは消費社会の奴隷、資本主義の奴隷。消費に対して意識的でないと簡単に養殖人間になってしまう。安易に消費させられ、借金させられる
・貧乏はフロンティア(未開の地)
・家を一から建てるより、昔からある丈夫な建物をリフォームしたほうが安上がり。土台も構造もしっかりしている
・一戸建ての住宅は工務店の利益が20〜25%(設計、施工、下請けの調整、ゴミ処理など全ての家作りの進行と雑務)
・購入の実力のない多くの人が国の政策、業者の広告宣伝、実力以上の欲求に捕らわれて住宅を購入している
・不動産市場は物件を売る場合は圧倒的に不利。素人は市場価格で売ることは出来ない。足元を見られて買い叩かれる
・子供が小さいうちは住居費を節約する
・終身保険:払い込み期間を超えると保険料の支払いが終了、保障は一生涯続く
・養老保険:満期になると積み立て部分がもらえる。死んでも満期でも同じ金額がもらえる
・個人年金保険は単なる積み立て
・保険料とは上手に生きられなかった罰金である
・死亡をリスクヘッジすべきは、小さな子供がいる働き盛りの一時だけ。厚生年金の掛け金でもリスクヘッジできている
・教育には保険の性格もある。子供が自立しなければ困るのは親
・人は余裕がないと能力を発揮できない
・リスク許容量:年収の3年分
・サラリーマンは自営業者よりも仕事でリスクを負っていない人。給料は低めに抑えられる
・一つの商品、一つの事業、会社のライフサイクルが短くなっている。短いサイクルの事業を次々と起こしていく必要がある
・自社株投資なんて最も恐い行為
・インデックスファンドを買うほうが株式個別運用より効率的ということが一般に浸透したため、誰もがこれを買うと、価格は本来の市場価格を反映しなくなる。割高になる
・ETFはインデックスファンドより信託報酬が安い。
・日本の証券会社を通すと海外ETFの取引手数料は非常に高い。構成する株式から配当があるが、配当課税は日米それぞれに10%ずつ課税され、二重課税となる。 確定申告で外国税額控除を受ければ、一部を取り戻せる
・世界市場を買うことは理論的には為替に対してニュートラル
・「iシェアーズMSCIコクサイ・インデックス・ファンド」(日本を除く先進国22カ国の時価総額の85%をカバー)、「iシェアーズMSCIエマージング・マーケット・インデックス・ファンド」 (エマージング・マーケット23カ国の時価総額に連動)、この2つのETFを時価総額に応じた比率(7:3)で買えば、世界市場を買うことになる
・バンガード・エマージング・マーケットETFはSBI証券で買える。信託報酬も安い
・インデックス投資法だからこそ長期投資が可能
・401kは中途解約ができない。給付は原則60歳。
・目標に向かって順序正しく進む、他人の力に頼らない、嘘は言わない、他人に迷惑をかけない、身分不相応な生活はしない(安田善次郎)
・能力は何もつかないが、一時的に元気になれる高額なセミナー。「権利を保留している豊かさ」をもつ人が、それを実感しにいく場。

-目次-
第1章 サラリーマンの“お金の大原則” ―実は、家1軒分のお金はカンタンに貯まる
 誰でもわかる算数
 便利という“分断”
 奴隷制度は続いている? ほか
第2章 サラリーマンのお金の使い方を考える ―今すぐ年収の3割を貯金すべき理由
 基本編
 住居費 ―住宅って、こういうものだったんだぁ!!
 社会保険料 ―貧困の元凶 ほか
第3章 サラリーマンの運用を考える ―余裕資金が貯まったら、次は“世界市場”を買う
 配分をどうするか? ―運用の前に考えておくこと
 株式
 投資信託(アクティブ投信) ―みんなに投資信託を買ってもらおう!! ほか
エピローグ ―世界で一番やさしい算数