読書メモ

・「不況を生き抜く!お金の常識
(泉 正人:著、主婦の友社 \1,200) : 2010.08.25

内容と感想:
 
タイトルにもあるように、現在の「不況を生き抜く」には「お金の常識」を身につけて守りを固めることが大事だと言う。 これをベーシックなスキルとして身に付けることでお金に関して正しい判断ができるようになり、その選択肢も増えると著者は説く。 本書はクイズ形式になっていて、クイズを解いて楽しみながらお金を貯める、増やす、使う、支払うといった、お金の知識を学ぶことができる。 個人的には第4章のお金にまつわるトラブルに関する知識は役に立った。自己都合退職時の失業保険の最大受給額や受給開始日、キャッシュカード盗難時の補償額、 生命保険会社の経営状況の見極め方など、に興味を引かれた。 その他、すぐに役立つ知識が優しく解説されている。 なんとなく知っているつもりの保険や年金の制度についても、実は細かいことまでは理解していないことをあらためて思い知らされた。

○ポイント
・利回りとは年平均利息の元本に対する割合。単利の場合、利回り=利率となるが、複利の場合はイコールではない。
・出産は病気でないため、出産費用は全額自己負担になるが、健康保険から子供一人単位で出産育児一時金が支給される
・厚生年金加入している夫と離婚した場合、妻は加入期間に応じた年金を受け取ることができる
・財形貯蓄を年金や住宅資金として引き出した場合、一定額の利子には税金がかからない。貯蓄残高に応じた住宅資金や教育資金の融資が受けられる
・欲しいものがあったらノートに書きとめ、一週間後もまだ買いたい気持ちが変わらなければ買う
・節約できるお金と時間のバランスを考える
・教育訓練給付制度:10万円を限度に、最大1年分の受講料の20%が支給される
・クーリングオフが適用されるのは、訪問販売、電話勧誘販売
・貸付利率を規制する法律は、利息制限法と出資法。
・団体信用生命保険:住宅ローン支払いの保険。加入者が死亡したり高度障害になった場合にローン支払い残高を代わりに返済してくれる。三大疾病に対応した保険もある。
・高額療養費の給付制度では一定額を超えた分の医療費に対して、払い戻される。自己負担額の上限は年齢や所得によって異なる
・元利均等払いの住宅ローンでは毎月の返済額は一定。元金均等払いでは毎回の元金返済額は一定だが、そのため、初めは利息を合わせた返済額は多くなる。 トータルの支払い額では元金均等払いのほうが有利。
・年20万円を超える雑所得は確定申告が必要。所得に課税されるため収入から経費を引いた金額(所得)が20万円を超えなければよい。
・会社が倒産して賃金未払いとなった場合、未払賃金の立替払制度がある。賃金と退職金の総額。
・退職金にかかる所得税:勤続年数が多いほど控除される金額が多くなり、課税される所得は少なくなる
・労災保険の保険料は全額、事業主の負担
・パート主婦の年収が103万円を超えると夫の配偶者控除(38万円)が受けられなくなる
・会社の健康保険による「傷病手当」があるため高額な医療保険は必要ない
・失業保険の給付額は退職前の半年間の給与総額(賞与除く)を180で割った日額で決まり、給付日数は年齢、雇用保険の保険期間、退職理由によって決まる。
・キャッシュカードの盗難では本人に重大な過失があると補償されない。重大ではない過失の場合、75%が補償される
・保険会社のソルベンシー・マージン比率はリスクに対する支払い余力を示す。200%を下回ると経営改善などの措置を求められる。
・自己都合退職では失業保険は退職から7日+3ヶ月が経たないと支給開始されない。リストラで退職勧奨されたばあい解雇と同様の扱いとなる
・住宅火災保険:落雷、ガス爆発、暴風、ひょう、豪雪による被害も補償。住宅総合保険なら加えて水漏れ、豪雨、自動車の衝突なども補償。
・婚約指輪など「祝い物」には贈与税はかからない。親子間での扶養に必要な生活費にも贈与税はかからない
・教育費、治療費、介護サービス料金、切手・葉書、商品券、プリペイドカードには消費税はかからない
・住宅ローン控除は所得税から差し引く「税額控除」
・保険料の納付期間が25年(300ヶ月)に満たないと、年金は1円も支給されない。納付期間が不足している場合、65歳まで延長して納めることができる
・予防、健康増進、美容目的の費用は医療費にはならない
・金利が大幅に上昇した場合、利息が付かない金の魅力は相対的に低下するため金価格は下落する
・競馬などの払戻金は一時所得として課税対象となる。ただし、特別控除額(最高50万円)以下であれば対象とならない
・宝くじの当選金は課税されない
・確定申告しなかった場合、過小申告加算税、延滞税、重加算税などが課せられる。最悪の場合脱税で有罪となる。

-目次-
まえがき 「お金の常識」があれば大不況も乗り越えられる
第1章 お金の貯め方、ふやし方
第2章 お金の使い方、払い方
第3章 仕事や会社に関するお金の常識
第4章 お金のトラブル
第5章 常識以前のお金の常識