読書メモ ・「iPad vs. キンドル 〜日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」 ・文庫本的なキンドル(単機能)、雑誌的なiPad(汎用) ・電子ペーパー:電源が切れているときでも表示できる。灰色のような中間調も表現できる。eBookリーダーでは6インチが世界標準(文庫本サイズ)。 ・キンドルは携帯電話通信網を使う通信モジュールを内蔵。消費者は通信会社と契約を交わさなくてよい。通信費を意識しなくていい。MVNOを活用。 新聞や雑誌など定期刊行物は最新版が出たときに、自動的に送り込んでくれる ・MVNOによる通信モジュールと通信契約のビジネスモデルは、様々なモバイル機器で活発化(→様々なデバイスに応用範囲広がる) ・著作権の権利処理が容易なアメリカ ・ソニーのeBookリーダー「リブリエ」はペンでメモを書き込める ・iPad1はリビング向けコンピュータ ・クアルコム社製携帯電話向けCPU ・日本の電子辞書端末の市場規模は2006年以降は横ばい ・T-Time5:電子書籍をパソコンで美しく読むためのソフト。画像の集まりに変換する機能をもつ。デジカメや音楽プレーヤー、ゲーム機など画像が表示できる機械なら読める。 ・本の再販制度:著作物の再販売価格維持制度。本来は独占禁止法に抵触する。日本では書籍・新聞・雑誌・音楽の著作物には例外的に認められている。 ・Apple社はiBookStoreでは顧客情報の保護を最優先にしている。情報を出版社にも一切提供しない。出版社・新聞社としては従来のマーケティングモデルを崩されることになる。 従来、長期購読契約などでは顧客の興味や、特性のデータを取ることができた。契約に応じて景品や値引き、契約者のみ閲覧可能な情報の提供など特典を用意できた。 ・同人誌の多くは「出すことが趣味の一環」 ・EPUBフォーマット:IDPFが標準形式の1つとして定めた形式。XHTMLベース。自由に表示ソフトや編集ソフトを開発できる ・電子書籍のフォーマットが乱立しても、表示ソフトがあれば読める ・現在のeBookリーダーの9割以上の製品でフリースケール社のプラットフォーム(LSI、電子ペーパーのコントローラ、ソフト開発キットなど)が採用されている。 メーカー間での差別化が難しい。 ・COPIA社:付加価値のあるeBookストアをウリにする。ソーシャルネットワーク機能を組み込む ・実用書やビジネス書、小説など一度読めば十分と考える人の多いものはeBookリーダーで読む人が増えていく ・新聞のビジネスモデルは流通を担う新聞販売店網に大きく依存しており、その業態を壊してしまうデジタル配信には新聞業界は慎重にならざるをえない ・携帯電話向けのコミック市場はまだ健全なものとはいえない。売上の中心はアダルト。女性向けが多い ・子供がコミックに出会う場が減っている。書店での立ち読みが難しくなり、週刊誌も売れなくなっている。ゲーム機なら子供がコミックへリーチしやすい。 ゲームとコミックは親和性が高い。 ・コミックは利益率、売上で単行本が雑誌をひっぱる状態。雑誌を止めると読者が作品に触れる機会が失われる。マンガ誌の多くは雑誌を赤字で販売、単行本で回収するという ビジネスモデル。雑誌は作品をお披露目する場だった。 ・ウェブコミック誌なら雑誌の発行コストが大幅に下がる ・携帯電話やゲーム機はコンテンツにお金を払うというコンセンサスが出来ている ・出版とはそもそも自由な主張を行なうもの。それをプラットフォームを運営する企業が左右するのは好ましくない ・週刊誌は「翌週には捨てられるもの」という意識が強い。(→だから、いい加減に作られてきたのでは?中身も) ・世の中の書籍のうち、版権切れのものが2割、販売中のものが1割、残りの7割が絶版もの。絶版のうち大半は著作者のはっきりしないもの。 ・Google Booksの問題:本のデータ化をGoogleを行い、版権の管理をアメリカ国内で行なうということは、アメリカに巨大な「全世界・印刷物著作権データベース」ができること。 アメリカの国益を増すことになる。民間企業の独占は価格の釣り上げや情報操作など問題がある。 ・デジタルコンテンツの著作権問題の多くは、いかに収益を再配分するかに尽きる ・書籍の価格の4割は印刷・製本にかかり、3割が流通での取り分 ・書籍を知ってもらうためのコスト ・デジタル化によって作品との出会いが増える ・本当のベストセラーは本を読まない人にも買ってもらわないと出ない <感想> ・同じ本に対してみんなが「自炊」(紙の本からの電子化)をするのは無駄(スキャナは売れるかも知れない) -目次- 序章 はじめに ―eBookはコンピュータの夢だった 第1章 キンドル・インパクト! 第2章 キンドルのライバル、ソニーとアップル 第3章 eBookへの長い道 第4章 eBookのビジネスモデルとは ―アメリカの場合 第5章 日本はどう「eBook」の波に乗るのか |