読書メモ

・「保守新生 - リベラルが日本を潰す
(櫻井よしこ、平沼赳夫 :著、宝島社 \1,200) : 2010.07.03

内容と感想:
 
保守政治の再興を目指して新党「たちあがれ日本」を立ち上げた平沼氏と、櫻井氏の保守再生がテーマの対談集。 民主党の売国的政策が日本に更なる危機を招くとしている。本書を読むと短期での鳩山内閣退陣も納得がいくだろう。
 本書では主に、民主党が隠す政策集「民主党インデックス2009」の危うさを指摘している。 2009年夏の総選挙で発表された民主党のマニフェストには、そのインデックス中の特定の政策を意図的に載せていなかったようなのである。 例えば、外国人の地方参政権、国立追悼施設恒久や平和調査局の設置などだ。 それらは売国的な政策だと平沼氏は斬り捨てる。 国家観のないリベラルは日本を危うくする。
 また、事業仕分けの実態にも触れ、「削減対象の事業のリストアップをしたのは財務官僚」だと、財務省の都合でリストアップされたものだったようで、 残念だが結局、あれがパフォーマンスに過ぎなかったことは明らかだ。
 平沼氏は「憲法改正」ではなく「自主憲法制定」の立場である。主に安全保障を念頭にしたものだ。 櫻井氏は現行憲法には「平和を言うのもいい」が「それをどうやって担保するかが抜け落ちて」いると指摘している。 曖昧な憲法を一文字たりとも変えてはならないというのは、どこかおかしい。
 さて、近づく参院選。「民主党が衆参両院で過半数を占めた時」に民主党独裁政治が現実のものとなると警鐘を鳴らす。 平沼氏はそれを阻止するためにも「第三の流れを作っていかなければいけない」と考えている。 独裁政権が売国的政策を推し進めたとき、「日本が中国の属国になるかもしれません」とまで言われると、本当かいな?とも感じてしまうが。
 「この国のアイデンティティをしっかり守ることが大切」、それは歴史・文化・伝統の中にある。彼らが言う「保守」とはこのことだ。 「改革だけでなく守るべきものもある」というのは同感である。

○印象的な言葉
・日米中三角形論(小沢一郎)
・外国人参政権:在日韓国・朝鮮人は58万人。参政権を認めた場合に関西では首長選挙に大きな影響を与える。 もし中国人にも与えるとなると共産党政権の人たちに与えることになる。日本の外国人登録者数の最大が中国で65万人、永住権も取得。 韓国は日本に永住する人にも自国の選挙権を与えている。
・危険な人権擁護法案:外交問題において近隣諸国に対して行なう正当な批判さえ、人権侵害として恣意的に弾圧できる恐れ。 人権擁護委員(法務大臣が委嘱するボランティア)に在日外国人がなった場合、自分らの意にそぐわない人の言動を監視して、訴えることが可能。
・ラオスの首都には中国が広大な土地を取得しチャイナタウンを建設中。政府が積極的に国民を国外に出し、間接的・直接的にその国を支配していこうとする。 中国人の進出はEU諸国でも問題になっている。犯罪発生件数も多く、地元人との摩擦も絶えない。 チャイナタウン構想は仙台にもある。地元財界が望んだ。
・1952年の衆院「戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議」の可決により、戦犯として処刑された人々は「公務死」として認定され、その時点で戦犯は存在しなくなった。 A・B・C級戦犯は釈放された。名誉は回復された。
・神道が幹であり、仏教は枝である(聖徳太子)
・南京大虐殺という言葉は東京裁判で初めて出てきた。蒋介石も「大虐殺などありはしない」と岸首相の名代に言った
・中国は東アジア共同体構想に興味がない
・自衛隊を国軍とし、ASEAN諸国と軍事交流すべき。中国への牽制になる
・中国の軍事的脅威に対しオーストラリアは国防費を増大させている
・日本の最西端の与那国島には駐在さんしかいない、丸裸同然。沖縄本島の以西・以南には陸上自衛隊は駐屯していない
・米ステルス機F-22のステルス技術には日本企業の技術が使われている。日本は自分の技術でいい戦闘機を作れる
・民主党政権は事業仕分けで防衛費も削減、自衛隊員も削減した。自衛隊は定員割れ状態。
・日中国交回復を果たした田中角栄。田中派は多くの対中利権を握っていた。それが小沢一郎に引き継がれた
・日本を弱体化させるためにGHQが押し付けてきた憲法を後生大事にしている
・憲法は自国の国柄を基に作ればいい
・自衛隊が北朝鮮に拉致被害者を助けに行くと議論することが北朝鮮に対する圧力になる
・北朝鮮では中国との経済交流で新興富裕層が増えた。北朝鮮政権は彼らの富を奪うためデノミを行なった。限度額以上の試算は没収。それほど北は追い詰められている
・日本の多くの地名や語彙が神話に由来。神話は皇室につながる。皇室は神話を生きてきた
・ユダヤ教のラビや、ローマ法王は全て男。
・「石光真清の手記」(中公文庫)。明治時代の人間の気概

<感想>
・皇統の維持は血のつながりよりも、祭祀を継承することのほうが重要なのでは?

-目次-
まえがき 櫻井よしこ
第1章 「民主党インデックス2009」の売国的政策
第2章 理念なき民主党政治が国を滅ぼす!
第3章 自民党政権がなしえなかった政策
第4章 今後なすべき政策
第5章 保守政治の目指すべきこと 〜伝統と保守
覚醒せよ、ニッポン! 平沼赳夫