読書メモ
・「牛丼一杯の儲けは9円 〜「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学」
(坂口孝則 :著、幻冬舎新書 \720) : 2010.08.05
内容と感想:
現役バイヤーが書いた本。
本書はビジネスにおいて「仕入れ」に工夫するだけで他社より優れた利益率を出せると説く。
ときにあくどく、ずるがしこい買い手と、それに負けない売り手との攻防をリアルに描いている。
具体的な例を挙げて取引・仕入れの現場を味わえるようにもなっている。
牛丼一杯から始まって、様々な商品の儲けのからくり、値付けのからくりが分かって勉強になる。
仕入れ、買い物のリテラシーが学べるだろう。
利益を下げる原因が、とんでもない仕入先だったり、身内の不正だったり、営業のテクニックの差だったり、そうした気付かなかったことにあることが
本書で指摘され愕然とする者も多いかも知れない。利益アップのヒントとして使ってみてはどうだろうか。
○印象的な言葉
・マーケティング・営業こそが最も大事だという嘘
・業界によって利益率がきまるという嘘
・無理して拡販するより現在の売上規模で利益を向上できればいい
・利益率10%は優れた企業
・仕入れを一社に依存するのは危険。仕入先の交渉力が強くなる。分散する
・吉野家が自販機を設置しない理由:お客に「ありがとうございました」を確実にかけるため
・珈琲大手チェーン店は世界のコーヒー農園と直接契約
・自動車販売店はメーカーからもらう販売奨励金分を値下げしたり、値引きの代わりに下取り価格を上げたり、オプションを勧めてそこから利益を上げようとしている。
・居酒屋チェーンは料理では儲からず、飲み物で儲けている
・日本の中間流通業者の多さ
・仕入先にとっても買い手と直接やり取りできることはメリットが多い。中間業者が担っていた在庫管理を工夫する
・100円ショップは倒産して引き取り手のいない在庫群に目を付ける
・仕入先は隙あらばこちらを騙してくる可能性があると性悪説的にとらえ、相手をしっかりチェックする。この人は騙せない、と思ってもらう
・営業が買わせようとしているのは商品でなく「彼ら」自身。自分を買ってくれ、信じてくれという。人が何かを買うときは理屈でなく感情で決めている
・作り手のこだわりは問題を引き起こす。過剰性能、過剰品質
・商品に求める軸:客がわかる価値を最大化しているか
・電気機器で定期的な交換が必要になるのはアルミ電解コンデンサ。必ず経年劣化する部品。半田ごてで交換
-目次-
第1章 一つの商品から生まれる意外な利益
第2章 利益を生む「工夫」と「不正」の微妙な境界
第3章 値段をめぐる仁義なき戦い
第4章 利益と仕入れの無限の可能性
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