読書メモ ・「逆説の日本史 14 〜近世爛熟編」 ・「仮名手本忠臣蔵」:仮名手本とは「いろは」、47文字ある。四十七士を暗示。忠臣が蔵一杯に詰まっている。リーダーは内蔵助も暗示。 ・殿中、公務中に私事、私怨で刀を抜くことは武士のマナー違反 ・忠臣蔵のネタとなった刃傷事件当日は勅使が将軍と対面する日であり、その重要な儀式をぶち壊した。 ・吉良上野介は浅野内匠頭の上司に当たり、勅使の接待をする浅野を指導・監督する役目(高家、儀典係)だった。接待役は不通は一生に一度限りだが、浅野は2回目だった。 ・浅野の刃傷より17年前にも殿中で稲葉石見守が堀田筑前守に刃傷(殺害)したことがあった。殿中では脇差(小刀)のみ帯刀する ・将軍綱吉が時代のパラダイムを全く変えてしまった。「生類憐みの令」。人を斬るのは当たり前の社会が動物の命さえ重んじる社会へ変わった。 ・武士が政権をとると怨霊信仰は一時衰退する。「侍に怨霊なし」。鎌倉幕府は義経を祀ることはなかった ・浅野は統合失調症だった? ・赤穂事件で藩が取り潰しになったとき、出入りの商人が藩札(藩が発行する紙幣)を換金するよう迫った。一種の取り付け騒ぎとなり、額面の6割を支払うことで決着 ・浅野内匠頭の弟・長広がある限り、大石内蔵助は御家再興は叶うと見ていた。それは叶わなかった ・討ち入り後、大石らが切腹した6年後、長広は将軍家宣より500石を与えられ旗本となった ・大石らの非合法な行為に対する刑は斬首ではなく切腹を許された。「忠義に基づく行動」なら非合法であっても認められてしまった ・綱吉は低身長症だった? ・1643年くらいには当時の技術で掘り出せる金銀は全部掘り尽くされていた ・綱吉政権下で荻原重秀は貨幣改鋳をして通貨を増やした。その後、新井白石は通貨供給量を減らしたため景気は一気に悪化した。元禄文化の花はあっという間にしぼんだ ・新井白石は浪人出身の学者でありながら、空前絶後の出世をし将軍家宣の政治顧問となった。能役者出身の側用人・間部詮房の全面的サポートで「正徳の治」を行なった ・韓国では親日派の悪を追及する法律が成立している ・清酒の大量生産に成功したのは摂津・鴻池村(伊丹市)が最初。灘が大生産地になる前。 ・銅銭96枚で銭指(紐に通した)。銭指が10本で一貫文。四貫文で銀60匁、金一両。一両を4等分したのが一分、一貫文。 ・人一人が一年に食する米が一石。一石の米が取れる田の広さが一反。絹織物の一反にも相当。金一両にも相当。 ・幕府は運河造りなどインフラ整備は大商人に任せた。彼らは自費で成し遂げた ・幕府は商人からは所得税も法人税も取らなかった ・1657年の明暦の大火で江戸城もほぼ全焼し、天守閣も焼け落ち、以後再建されることはなかった。平和の時代になったため ・紀伊国屋文左衛門は上野寛永寺が火事で消失したとき、材木供給を一手に引き受け財を成した。木場に貯えた材木が元禄の地震と火事で消失し破産し、一代で没落した ・江戸初期の禅僧・鈴木正三は「労働は仏行に等しい」と説いたのが日本資本主義の精神の形成につながった。利息、利潤は正当化された ・恒産なければ恒心なし(職業と資産をもたない者は常識を保てない)と孟子は言った ・酒田・本間家のモットーは「金は金を生み、徳は得を生む」「徳得主義」。徳(ボランティア)が得(利益)につなががる ・対朝鮮外交を対馬の宗家に丸投げしていたのを反省し、国書の改変を防ぐためにも、京都五山の禅僧を対馬に外交担当として輪番で派遣 ・朝鮮から国書を出してもらうとき、将軍のことを「大君」と呼ばせることにした。タイクーン(tycoon)は英語になった ・儒教は真よりも善や、その結果としての美を求める宗教 ・朱子学は学問というより宗教 ・琉球王権は成立も発展も日本の天皇家とは何のかかわりもない。言語的には日本と琉球は同一言語、同一文字。沖縄弁はあくまで方言といえる ・他の言語との違いから見たら方言くらいの差異しかないスペイン語とポルトガル語 ・琉球は地味がよくなく、交易に活路を見出すしかなかった。最もコスト安の安全保障は明の傘下に入ること(朝貢国) ・秀吉の唐入りのとき、島津義久は琉球に兵糧を要求。島津氏は琉球征服の意図があった。後の1609年、島津軍はわずか2日で琉球を攻め落とした。 薩摩は琉球を植民地として、密貿易の基地として自由に使った。琉球を利用して財政を建て直した。明治維新、討幕もできた。 琉球の風俗、文化はそのまま保つことが許された。 ・琉球では一定の身分より上の者は唐名を持つしきたりがあった ・史料絶対主義では歴史の真相はとらえられない <感想> ・長裃(かみしも)の袴はなぜ長い? -目次- 第1章 武断政治から文治政治への展開2 ―忠臣蔵、その虚構と真実編 第2章 武断政治から文治政治への展開3 ―将軍と側用人システム編 第3章 武断政治から文治政治への展開4 ―大坂・江戸 大商人の世界編 第4章 江戸時代の東アジア外交1 ―明と日本編 第5章 江戸時代の東アジア外交2 ―琉球王国と日本編 |