読書メモ

・「偽善エコロジー 〜「環境生活」が地球を破壊する
(武田邦彦:著、幻冬舎新書 \740) : 2010.08.24

○印象的な言葉
・レジ袋は石油の不必要な成分を活用したもの。昔は使い道がなくて燃やしていた成分。レジ袋は家庭のゴミ袋にも使える。レジ袋を追放すれば石油消費量はかえって増える。 新たに代わりの買い物袋を製造したり、ゴミ袋を作る必要があるため。
・付加価値をつけるとエネルギー消費は上がる。養殖ハマチやハウス・トマトなど。(→GDPを上げようとすれば、エネルギーも消費する)
・ダイオキシンは人間にはほぼ無害。焼き鳥でも囲炉裏でも発生する。アメリカでは山火事で大量のダイオキシンを発生させている。山火事は太古からあった
・日本の生ゴミは有害物質だらけ。リサイクルより食べ残しを減らすこと
・プラスチック・リサイクル品の毒物含有と劣化が危険
・リンは有害物質ではない。生物にとっても大切。リンがなければDNAを作れない。問題は栄養になるため生物が増えすぎること
・有害かどうかは物質ではなく、量で決まる
・牛乳パックのリサイクルは無意味と認める勇気を
・ペットボトルを燃やしても有害物質は出ない。生ゴミを燃やす燃料にもなる。不完全燃焼したときに有害物質が出る。1000〜1200度で燃やせば問題ない
・アルミ缶のリサイクルは業者に任せろ。税金を使って回収する必要はない。回収場所だけ決めればいい
・食品トレーのリサイクルは不可能
・ゴミは金属とそれ以外に分けるだけでよい
・リサイクルより物を大切に使う。作ってくれた人への感謝、自然からの恵みに感謝。もったいない、は感謝の気持ち
・廃棄物を途上国へ売りつける日本。自治体はペットボトルをキロあたり405円の税金を使って回収し、40〜50円で中国などに売っている
・心が満足していると物は少なくて済む。心が貧しいと心の隙間を物で埋めようとする
・環境保護に関する偽装が、せっかくの努力を無駄にしている
・公的に発表される数字は曖昧なもの。参考程度にすべき
・環境は総合的なもの。環境によいことをする場合、その影響が全体としてどうか考える必要がある
・山で伐採し捨てた端材が山に残り、大雨で流木となって川に流れる
・杉の代わりに桧を植えれば、花粉に困ることはない
・人一人が一日に飲む水は1〜2リットル。それだけのために、その他の用途(トイレ、風呂、炊事、洗濯など)で使う水道水を300リットルも用意している。 それらの用途では飲めるほどきれいな水でなくてよい。飲む水はペットボトルで買い、その他の水はそれほどきれいにしないほうが合理的。水道料金も下げられる その水を維持するために膨大なエネルギーや設備を使っている。
・銭湯なら一人あたり200kカロリーで済むが、家庭の風呂は3,000kカロリーかかる
・日本人は食料の6割を輸入し、その半分を捨てている。ホテルや高級レストランは仕入れた食料の9割を捨てている
・アメリカでは1kカロリーの石油を使って、1kカロリー分のバイオエタノールを得るためのトウモロコシを作っている。無意味。 農業団体と石油業界に、より安定的な商売をしたいという思惑があった
・氷山はアルキメデスの原理により、解けても凍っても海水面の高さに変わりはない
・氷河が解けてもその量は海が膨大な広さなので、海面上昇の問題はない
・映画「不都合な真実」には9つの誤りがあることをロンドンの高等法院は裁判の判決で指摘した。危険を煽りすぎている。グリーンランドの氷が解けるには数千年かかる
・季節によって海水面の高さは変わる。海水温が上がる夏は冬より40センチ上がる。台風が来ると低気圧になり、海水が膨張する。気圧が1ヘクトパスカル下がると海水は1センチ上昇。
・ツバルで起きている海面上昇は地盤沈下によるもの。第二次大戦中に米国が作った飛行場跡が沈下
・政府が研究費を出す関係で、政府の施策を応援する学者が増えた。政策に反対しにくい
・間違った知識は間違いを生む
・食品は土で分解されてCO2になり、その中にわずかに残る肝心な成分だけが堆肥として役に立つ。食品の成分には窒素が多い。日本の畑は窒素過多。
・紙のリサイクルは5回までが限界。漂白やインクを抜くために強力な薬品を使用し、その廃液処理にも多くの石油を使う。リサイクルが環境を汚す
・アルミは土類。砂とほとんど同じ成分、安全性も高い。アルミはリサイクルするときに使うエネルギーのほうがボーキサイトから作るより少ない
・欧州ではリサイクルをしているのはドイツなど数カ国
・高性能焼却炉はゴミをまとめて(分別せずに)燃やしても、CO2と水(気体)、灰、スラグ(土の成分)、メタル(金属成分)の4つに分けられる。 毒物も検出・分離できる。
・リサイクルの後ろには大きな利権が隠れている
・自分の力が十分でなくても額に汗して働き、その範囲で生活する
・環境問題は見かけが善意や環境を守るといういかにも道徳的なことなので、皆が反対しにくいところを突いて不合理なことが行なわれている
・日本は世界の温暖化ガスの5%しか出していない
・メディアなど発信する側は公にされた知識や情報を常に検証し、オリジナルなデータと思想をもつことが大事。受け取る側も安易に鵜呑みにしないこと

-目次-
第1章 エコな暮らしは本当にエコか?
 検証1 レジ袋を使わない→判定 ただのエゴ
 検証2 割り箸を使わずマイ箸を持つ→判定 ただのエゴ ほか
第2章 こんな環境は危険?安全?
 検証1 ダイオキシンは有害だ→判定 危なくない
 検証2 狂牛病は恐ろしい→判定 危なくない ほか
第3章 このリサイクルは地球に優しい?
 検証1 古紙のリサイクル→判定 よくない
 検証2 牛乳パックのリサイクル→判定 意味なし ほか
第4章 本当に「環境にいい生活」とは何か
 もの作りの心を失った日本人
 幸之助精神を失う ほか