読書メモ ・「電子書籍元年 〜iPad & キンドルで本と出版業界は激変するか?」 ・Amazonは電子書籍の印税を7割に ・リラックス・ツール:iPadなどの登場で生活が変わる ・書店こそがこれからの主役 ・文芸小説を読むプラットフォームとしてパソコンやケータイは向いていない。電子書籍では売れない。紙で読めるものをわざわざパソコンなどで読む気になれない。 文芸小説を読むことはエンターテインメントを味わう行為。日本の文芸小説のコアなファンは50万。 ・編集者の仕事:用字用語の統一、誤字脱字の修正などの校正。書かれていることの事実確認やその修正などの校閲。書籍全体の構成を考え、売れる書籍に仕上げていく。宣伝、マーケティング。 ・出版社は著者を囲い込みたい ・紙の書籍のデメリット:重い、かさばる。海外では日本語の本が手に入れにくい。照明がないと読めない。検索できない。書籍を手にするまでに時間がかかる ・現状の本の返品率は4割。全書籍の7割は返本率も7割 ・再販制がなくなると米国のように本の価格が上がることはありえる ・PaperBack:「紙の背表紙」から来た。簡易製本。読み捨て感覚の本 ・米国の雑誌は基本は定期購読。日本以上に広告に依存したビジネスモデル ・若者の「活字離れ」ではなく、「新聞離れ、雑誌離れ、本離れ」 ・ネットは手紙を飲み込み、電話を飲み込み、音楽、ラジオ、映画、テレビ、本を飲み込んでいく ・ネットは業界から特権を解き放った ・AmazonのKindle端末ならウィスパーネットにより、メモリーがいっぱいになったら本を削除し、また読みたくなったら、ダウンロードできる。Kindleには書籍にメモを書く機能、線を引く機能もある。 ・iPhoneやiPadにはユーザがダウンロードしたアプリや書籍をAppleが削除できる機能がある ・アップルストアで電子書籍を売るにはコンテンツの審査を受ける必要がある。その基準は変更されることもある。Appleは販売する書籍を選ぶことも削除することもできる。 彼らを正面から批判する書籍を売らないこともできる。 ・電子書籍の小売店が寡占化される問題。書店は表現の自由を保障する機関でもある。電子書籍でも特色ある小さな書店ができなければ、多様な言論が詰まった書籍は人に伝えられることなく死滅する。 ・グーグル・エディション:ユーザは電子書籍を所有できない。Googleは書籍を販売するのではなく、書籍へのアクセス権を販売する。クラウドを使用しているため、閲覧が終わればキャッシュは消え、 手元には何も残らない。プリント・保存・コピーはできない。ウェブブラウザで閲覧するため、特別な電子書籍端末を必要としない ・世界で日常的に縦書きで文章を書く人種はほぼ日本人だけ ・AmazonやAppleは日本語のためだけに縦書き対応への投資をするか?右から左へページをめくる機能も必要。開発コストがかかる。漫画でも吹き出しを横書きにし、左開きで構成することは 漫画家にとって最も抵抗があるはず。 ・漢字には外字(コード)が割り振られていないものも多数ある。グーグルエディションは紙の書籍をスキャンし、版面画像を表示するだけのため漢字やルビもそのまま表示される。 小説家が言葉にこだわる、日本語の文芸小説向き。裏側では検索用にテキストデータを持つが、OCRで読み込みテキストデータに変換したものであり、完璧ではない。 ・電子書籍が紙の本より2割安いとすると、Kindleなら50冊買わないと元が取れない。日本人が月に読む本の量は0〜2冊。1年では元が取れない。(→ガジェット好きが買うくらいか) ・文字の大きさを自由に変えられるからと、アメリカでは年配の人がKindleを買っている。日本人の年配者は横書きには違和感を感じるはず。 ・タブレット型WindowsPCでは「Kindle for PC」で電子書籍を読める ・アップストアにはアプリ型の書籍もある。写真集が多い ・中学生や高校生がターゲットであれば、携帯サイトで販売されているケータイ向けコミックのほうが確実 ・子供向け絵本は電子書籍端末を持つ親に売れる可能性がある ・電子書籍は「今すぐ手軽に買える+読める+安い」という理由に突き動かされて購入されている ・マルチメディア・タイプ、ゲーム・タイプなどの電子書籍もある ・編集者は出版社の正社員であることが多く、コスト意識が希薄。結果責任まで問われない。いくつもの書籍制作を同時進行。編集に忙しく、発売後に売れているかどうか関心をもつ余裕もない。 ・電子書籍は再販制で守られない。確実に売れる書籍を積み重ねていくという気概がなければ食べていけない。マーケティングの発想が必要 ・校閲の手を抜くと、ときに裁判になったり、出版差し止め、書籍回収などに結び付いたりする ・ジャーナリズム:国民の知る権利に応えるかたちで報道する行為 ・出版が音楽業界と同じ道を辿ることはない。出版業界のプレイヤーが音楽と同じ道を通るとは決して思えない ・アプリ内課金型での書籍提供:ブックストア型アプリを無料で配布し、アプリから書店に入り、書籍を購入する ・電子書籍ビュワー型アプリ:自社サイトで展開するネット書店で購入した書籍の専用ビュワー ・課金というユーザにとって高いハードルをどれだけ低くできるか ・出版社の営業担当者は自社の本を平積みにしてもらうよう書店に足繁く通い、POP(宣伝カード)を作って書店に置いてもらっている。新聞や雑誌の書評に取り上げてもらうべく見本を送る。 ・電子書籍がスマートフォンやiPadで読まれるのなら、その親和性を考えたメディアで告知するのが効率がよい。ブログ、メルマガ、SNSなど。 ・日本でiTunesでテレビ番組や映画のダウンロードサービスが始まらないのは著作権問題が大きい ・10万部のベストセラーが1タイトル出ても、10冊分の制作費にしかならない ・読者の直接の反応がわかりにくい紙の雑誌 ・Amazonでは「公序良俗に反するものはアップロードしない」と著者に誓約させている。問題が発覚すれば強制削除するだけ。チェックはユーザ任せ。 ・著名人になりすましての投稿、他人の名誉を毀損する内容の書籍のアップロードの可能性 ・電子書籍は儲からない★ ・既存の出版社はGoogleとの協業も選択肢 ・出版社が自ら電子書籍の小売サイトを運営するのはコストとリスクを考慮すると得策ではない ・紙の書籍ではリスクが大きい、無名の著者を電子書籍でデビューさせる戦略 ・電子書籍出版社としてはSOHOでなければ生活できるほどに利益を得られない。最初は食べるだけの収入もないからメインの仕事を持ち、副業とすべき。その過程は作家がデビューするのと同じ。 ・多くの著者を集め、エージェントの役割を担いながら出版するビジネス ・大資本がなくても起業できるのが電子書籍ビジネス。やる気だけ ・老舗の大手新聞社や出版社は安定経営のために多くの不動産を所有。不動産収入で本業の収支を補填している ・電子書籍が普及すると古本屋も苦しくなる。出回る中古本が減少する ・教科書は電子書籍化し、必要に応じてプリントするのが主流になる可能性もある ・書店のセレクトショップ化。店のオーナーの意向を品揃えに反映させる。書籍のセレクトも編集作業。特徴ある書店。(⇒古い本の電子版も紹介すればいい) ・オンデマンドの出版は街の印刷屋さんとタッグを組む <その他> ・青空文庫の英訳⇒電子書籍化 ・登山のルート上のおすすめスポットをビデオ撮影。アウトドアグッズメーカーとタイアップして動画配信 -目次- はじめに 第1章:“iPad&キンドルの衝撃”は本当にあるのか? 第2章:これまでの出版とこれからの書籍 第3章:ターゲット読者の所在を正確につかむ 第4章:売れるものをつくるか、つくったものを売るか? 第5章:儲かるビジネススキームを構築する 第6章:だれもが書籍を出版できる時代 おわりに |