読書メモ ・「「ふるさと」の発想 ―地方の力を活かす」 ・地域の問題はそこにすむ人々の力でしか解決できない。地域をよくしようというエネルギーが残っている(→政治に期待しすぎない、依存しない) ・つながりの共動社会(→求心力と遠心力を働かせる) ・地方は都市に依存⇒都市と地方は支え合うもの ・林業:主伐は民間の林業会社がビジネスとして行なう。金になるので補助金はなし。森林組合は間伐が中心。費用は国が半分、県が1/3、所有者が1/6を負担。間伐材も売る。 森林組合は林道や作業道の開設など公共事業を請け負って経費を賄う。キノコなど林産物の販売も。間伐材は大きなものは集成材の原料、細かいもの、質の悪いものは紙の原料になる。 ・国産材と外材の値段は同じくらいになっている。国際的な環境意識の広がり、南洋材の伐採の減少、中国の成長に伴う需要増加による。(→チャンス) ・森林組合の作業員は1985年をピークに減り続けている(→後継者不足、世代交代が必要) ・国産材は湿度を調整する機能に優れる。家を建てるときは地域の風土に合った地域の国産材を使う ・明治初期の国税収入の2/3(最大9割)は地租だった。最大の納税地域は新潟と北陸三県だった。東京の4倍を納税していた。地方の富を使って都市部の社会基盤が整備された ・明治6年当時、最も人口が多かったのは新潟県の140万人 ・戦前の都市と地方の著しい格差や社会階層の分裂が戦争の遠因になった ・日本の国土計画は計画が策定されたときには既に陳腐化している。策定の意図が経済や社会の変化を先回りすることはありえない ・地方自治体の公共事業の大部分は国の補助金による。使い道が細かく決められている。その制約が非効率を生む ・「アジアの中の日本」の観点より、太平洋航路から日本海航路へのシフトが進む。日本とアジアを結ぶ物流の基盤となる高速交通網が必要 ・過疎地の自治体は老人医療費がかさむ。ほとんどは地方交付税で賄う(→欧州では財源をどうしているのか?) ・福祉では民営化が大胆に進められた。コストのほとんどが人件費。それを削減しようとの意図 ・教職員の非正規化も進められた。 ・マクロ的側面で見て、国民は幸福になっているのか? ・真の地方分権には相手から権限を奪い取る気概が必要。自治体は未だにリストラモードから立ち直っていない ・市町村合併は拡大志向。大規模な自治体誕生など節度が感じられない事例もある。そこには生きた住民が登場しない ・地域の専業農家が高齢農家をサポート ・グローバル化により、外で起きたことが即時に身近な生活に不安材料を持ち込んでくる ・助け合いの精神や基盤が弱まり、統合力を失っている。社会が全体として個人をまとめ、守る機能が弱まっている ・分断された個々人は他人への警戒心や不信感を強める。個人がダイレクトに世界とつながる状況。個化社会。そこに生きづらさを覚える。つながりの再生を求めている。 ・フランス語の「パトリ(patrie)」は「特定の生活様式に対する愛着」の意味。必ずしも生まれ故郷とは結び付かない。自ら選び取ったというニュアンス。 「つながり」と「作り上げ」の二つのモメントを想定。 ・開かれた地域。よそ者の知恵は大切。外からのエネルギーを取り込む ・思いやりの存在は互いの自由が守られる基本 ・共同体の意識が失われてしまったところでは本当の民主主義は根付かない(→大都市こそ危うい) ・共に分かち合う満足、好意や親切をやりとりする社会、率直に助言できること ・行政と住民が目的を共有し、一緒に行動する(→マスコミの役人叩きが行政と市民を分断させた。役人も一市民) ・希望学(玄田有史教授):緩やかなつながり。希望は無駄はゆとりを好む ・母親の子育てを手伝う住民グループ、子供に公民館で科学や実験を教え、登下校の見守りをする企業経営者、高齢者農業や小規模農業の集荷を手助けする若者 ・地方自治体は自らの税金で子供たちを育て都会へ送り出す。それが自治体にとっては租税収支のアンバランスの原因 ・ふるさと納税は税に対する関心が伸びる可能性がある。使い道を監視。納税者としての自覚。行政側は寄付の受け皿となる施策の中身を寄付者に示す・ 寄付を確定申告でなく年末調整で処理できるよう手続きを簡素化することが必要 ・エコ・グリーンツーリズム、ロハス:ふるさとワークステイ、農家民宿、森林浴。都市住民と農家をつなぐコーディネーター ・一度ふるさとの外に出て、ふるさとを思い、見つめてきた人の存在 ・子供の学習成績は地域や家庭のつながりが大きく反映する ・Think Grobal, Act Local(Glocal) <感想> ・狭く古いコミュニティに縛られず解放されること→それが行き過ぎた ・ふるさと納税は税収が読めず、不安定なのでは?居住地と離れているため効果が実感できないのでは? ・グローバル化の進展が逆に国内回帰を引き起こす。地元を見つめなおす ・田舎には「ゆとり教育が浸透するのが遅れた? -目次- はじめに 地方の声に何を見るか 第1章 地方は、いま ―福井の人びとの暮らしから 第2章 地域格差をどう見るか ―都市と地方の関係を問い直す 第3章 「改革」とは何だったのか ―地方からの視点 第4章 「ふるさと」という発想 ―つながりが希薄化する中で 第5章 「ふるさと」からの発信 ―地方からの広がりを 第6章 「つながり」を立て直すために ―地方にできること おわりに いま、「ふるさと」の力を活かすとき |