読書メモ

・「知らないと恥をかく世界の大問題
(池上彰:著、角川SSC新書 \760) : 2010.02.01

○印象的な言葉
・ブッシュ政権はクリントン時代に積みあがった財政黒字を金持ち優遇の減税で使い果たし、アフガン、イラク攻撃で巨額の赤字にした
・世界の一番の火薬庫パキスタン。タリバンの主要部隊が逃げ込んでいる。パキスタンはIAEAに非加盟
・仏サルコジ大統領の野望「地中海連合」
・米ドルに取って代わる「SDR」?⇒IMFの特別引き出し権。準備資産。2009年7月、IMFはSDRをベースに初めて債権を発行し、ロシア、中国、ブラジルが購入。 SDR建て債権が買われるようになると、米国債が売れなくなる。
・その国が発展するかどうかを見るには街に大きな書店があり、そこに若者が大勢いること(→ベトナムは○。ラオスは×、中東諸国も×)
・ラオスは社会主義独裁政権で意図的に愚民化政策をとる。世界から取り残されている
・サウジでは学校の歴史の授業のほとんどはイスラム世界の話。中東の人材の層は非常に薄い
・イスラム圏の国々には覇権を握るという発想はない。イスラムの世界を守ればいいと考えている
・米国の12の地区連銀はそれぞれがドル紙幣を発行する。東部に地区連銀が集中。公定歩合も各連銀が決める。FFレートは全国共通でFRBが決める
・量的緩和:日銀が金融機関保有の国債などを買い、代金を当座預金に振り込む
・FRBは住宅ローン債権を担保に発行された証券を大量に買い、市場に資金を大量に供給した
・アメリカには皆保険制度がない。個人で医療保険に入る必要がある。加入していない人も多い。皆保険制度が導入されると民間の保険会社が自分たちの市場が荒らされるため反対。
・アメリカの自動車メーカーは労働者にストされるのを恐れ、会社側が労組の様々な要求をのんだ
・日本メーカーは賃金の安いアメリカ南部で現地生産。地元経済には欠かせない存在になっている
・アメリカ民主党の支持基盤である労組
・BRICs:国土面積で世界の29%、人口で42%を占める
・中東ではオリンピックが開催されたことがない
・ロシアの石油企業は利益の90%を納税する必要がある
・中国では司法権が独立していない
・中国では都市と農村では戸籍が異なる。農民は都市に住めない
・インドは多民族・多宗教と、英国からの独立時の国家分裂による対立が激化。テロのリスクが高い。民主主義国家ゆえに発展のテンポは遅れ勝ち。
・ヒンズー教では輪廻転生しても階層は同じまま。階層が固定化されている。IT産業は新しい産業のため、職業としてのカーストの縛りがない
・北アフリカ地域は人件費は安く、イスラム圏でも穏健派。天然資源もある。現地に働く場所を作ることでEUへの不法移民を防ごうとするEU
・地中海の海洋汚染
・トウモロコシが原料のバイオエタノールは作り方はバーボンと同じ。発酵させて、アルコール度数を100%に近づける。サトウキビを原料にする場合はラム酒の製法と同じ。 アメリカでは小麦や大豆からトウモロコシに転作する農家が相次いだ。オレンジからサトウキビに転作する動きも。エタノール製造過程でも石油を消費する
・日本の各企業にはCO2の排出量を燃料や電力の使用量で換算して国に報告する義務がある
・CO2排出量削減のためには他国に植林してもよい
・2001年に世界の外貨準備の6割を保有していた先進国のシェアは2007年末には37%へ低下。その大半は米国債
・インフルエンザウィルスは毎年、少しずつ姿を変えて出てくる。A型、B型、C型がある。A型は人間にも動物にも感染。これまで新型のインフルエンザの多くは中国で誕生。 中国南部の豚を多く飼っている農村。ウィルスは鳥にうつり、渡り鳥がばらまく
・コーラン:声に出して読むべきもの、との意。神の言葉を記したもの。
・ジハード:努力する、の意
・イスラエル:神の戦士、の意。かつてユダヤ人の王国があったパレスチナ
・中東は言論の自由や政治的自由がない国ばかり。石油による富は一部の階層に独占される。絶望している若者が多い
・湾岸諸国はアラブ民族、イランはペルシャ民族
・新疆ウイグル自治区:中国の西部開発により大量の漢民族が流入。ウイグル族と同じイスラム教国における中国への反発
・ウラン235だけを濃縮すると原発の核燃料となり、濃度を更に高めると原爆を製造できる。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す
・IAEAが査察できるのはIAEA加盟国のみ。非加盟国には権限が及ばない
・韓国・李明博大統領は太陽政策をストップし、それまでの北朝鮮への莫大な援助もストップ
・日本のODAの大原則:武器・弾薬類に使ったり、軍隊の強化のための援助はしない(→守られているのか?)
・黒人政権になった南アフリカでは高学歴で高度な技術を持つ白人はオーストラリアやニュージーランドへ移住した
・フィンランドでは日本より授業時間が少ない。優秀な教師を育て、授業についていけない子供を出さない。カリキュラムづくりは専門家集団に任せる。教科書採用は学校・先生に任される。 教師の勤務評定はなし。修士号がないと教師になれない。教師になっても実践的な研修を絶えず受ける。教師は学校が独自に採用。1年目は仮採用。補修授業。教師は授業に専念。 担任教師は進路指導もしない。教育機関の費用はほとんど公的負担で賄う。
・郵政民営化したニュージーランドでは郵貯は外資に買収され、地方のサービスが低下
・天下り先に流れている税金は年間12兆円
・農業の戸別所得補償制度:生産コストと販売価格の差額を補償。食料自給率向上には現実的。減反した農家に金を与えるより健全
・日本の会社員も確定申告制にすべき
・アメリカ共和党のシンボルカラーは赤、民主党は青
・郵政民営化はJRのように地域分割すべきだった
・特別会計まで入れた国の予算207兆円のかなりの部分は国交省と農水省が管轄する特別会計。財務省が手が出せない
・家族の形態で税金額が変わってくるのはおかしい

<感想>
・世界金融危機以降の世界の最新状況と課題を分かりやすく・・・

-目次-
第1章 新しい「世界の勢力地図」を占うキーワード
第2章 20世紀の覇権国家・アメリカを転落させたもの
第3章 アメリカ一極集中の崩壊 ―次なる覇権国家はどこか?
第4章 待ったなし!世界全体が抱える問題点
第5章 新たな火種、世界各地の小競り合い ―国や地域間の衝突
第6章 政権交代で解決できるか? ―日本の抱える問題点
第7章 世界の中の新しい風を読む ―私たちがなすべきこと