読書メモ

・「渋澤流30年長期投資のすすめ 〜今の「マネー」が次世代の「資産」に化ける
(渋澤健:著、角川SSC新書 \780) : 2010.01.01

○印象的な言葉
・日本人の価値観によって、これからの資本主義の主役を創出する
・銀行は大きな河のようなもの(渋沢栄一)。大河となれば日本の発展に貢献する原動力になる
・投信を通じた直接金融の大河
・レバレッジ資本主義がもたらした金融危機。次は国家資本主義か?
・これからはナレッジ共感資本主義(→対話により知恵を出し合う)
・マネーメイクからストーリーメイクへ。自己表現。「モノづくり」と「モノがたり」
・国家が経済に直接介入し資産の保有者になったとき、その先に武力による争いが起こる。人類が繰り返し続けた歴史
・アメリカ人の基本精神:民の自由と成長を要とするインセンティブ
・上場企業経営者は自社株を持つことで、株価の変動を株主と共有すべき
・経営者自ら道義的な自律心をもってガバナンスを自発的に実施
・真のグローバルを目指すのなら、世界のどこでも通じる王道を歩むべき。当たり前のことを当たり前にやる
・グローバル資本主義が機能するための3つの共通言語:数値化、効率化、成長
・企業には見えない価値がある:経験、志、感性など数値化できない。信頼感、社員がわくわくしながら仕事に取り組む姿勢、コツコツとやる基礎研究。 人材、企業理念、企業文化という見えない資産。組織的資産、人的資産、顧客資産。
・増え続ける人類は大自然の癌。資源を食い潰す
・肥大化したメタボ企業。経営するには巨大すぎる。スケールアップはどこかで自然の法則に反する(→公務員も同じ?)
・アダム・スミスの社会経済論の土台には道徳哲学があった。同感が土台。
・グローバル資本主義や自由資本主義は単なるツールにすぎず、善悪ではない
・想像力が共通の目的と結び付き、必要性が勇気と交わったとき、自由な男女が何かを成し遂げる(バラク・オバマ)
・自然災害が訪れたときにもしのげるよう備えておく日本文化が現金比率の高い経営をして現れる
・命の2つの定義:代謝の機能、伝える機能(DNA)
・日本には創業100年以上の長寿企業が5万社ある。持続性の秘訣は適応性。伝統の精神を守りながら時代の変化に適応。伝統の軸は揺らがない。 収益は企業の持続性のための手段。時代を超えて生き続ける優れた何か。「継ぐ心」は自発的に沸き上がってくる責任感。世代を超えるメッセージ
・自由にはオーナーシップという自己意識が伴い、それには責任が伴う
・30年は一世代分の長さ
・フローが継続していれば資産価格が上昇しなくても重大な問題にはならない。フローが途切れることは血液が止まるのと同じ
・資本家がフローを社会に供給している
・子供の教育は次世代のために費やす長期投資。想いを遺伝させる
・市場は欲望と恐怖により変動し、ランダムには動かない。ランダムであればバブルも、崩壊もない
・ポートフォリオは20〜30銘柄でもリスク分散効果は9割得られる
・長期資本こそが企業経営の時間軸に適している
・ひとつの発明が社会の革新になるには多くの共感が必要
・学資保険:契約期間中に親に万一のことがあれば、以降の保険料の支払いは免除
・貯蓄型の生命保険は手数料が高い
・インデックスファンドの限界:平均しか買えない。魅力的ではない。右肩上がりの環境であれば魅力的
・投資に元本保証を望むとリターンは大幅に減少する。保険料のような運用コスト(安心コスト)が生じる
・長期投資から生じる譲渡益は無税であるべき
・推奨企業:ダイキン、日揮、東京エレクトロン、テルモ、エーザイ
・半導体チップの将来は無限
・医療はニッチ市場の宝庫
・美しいかそうでないかという判断基準。美しいものには深みがあり、間違いや無駄が少ない
・ちょっとアホになる

<感想>
・渋沢栄一の子孫でもある投信会社会長が勧める長期投資。 理想は分かるのだが、相次ぐ上場企業の粉飾決算騒ぎを見ると、株式市場の不信が募る。 ・30年投資というが明日、事故で死ぬかも知れない
・安定した配当も企業価値

-目次-
第1章 グローバル資本主義の残骸から芽生える新物語
第2章 30年投資の六つのコモンズ
第3章 ミニ小説・生活者七つのストーリー
第4章 30年投資のの30問30答
第5章 30年投資のきらりと光る企業