読書メモ
・「人生は勉強より「世渡り力」だ!」
(岡野雅行 :著、青春新書インテリジェンス \750) : 2009.12.13
内容と感想:
著者は社員数わずか6名の町工場の社長。自身が職人でもある。
ケータイの電池ケースや「痛くない注射針」の開発で有名な名物社長で、マスコミに登場することも多い。
「世渡り」とかいうと世渡り上手とか、処世術に長けた奴だとネガティブに見られるが、
実は逆で、サブタイトルが示すように「腕<スキル>を生かす人づきあいの極意」を意味している。
「はじめに」にもあるように「いい腕をもってても、それだけじゃダメ」というように、
技術力だけでは個人も会社も成功できないという。
「世渡り力」とは「人と情報のマネジメント力」のことだとも言い換えている。
「仕事の運命を決めるような決定的情報を入手する」こと、というように情報を重視している。
「人間の機微を知り、義理人情をわきまえ、人さまにかわいがられて、引き上げてもらいながら、
自分を最大限に活かしていく”総合力”」のこととも言っている。
本書では零細企業がどうやって生き延びてきたのか、著者を支えてきたものが何なのかが分かるだろう。
「弱者の戦略」のようなものを学ぶことができる。
ユニークなのは古典落語からたくさんヒントをもらっているらしいこと。
落語好きのようで、昔からたくさん聴いてきたらしい。
古典には長く生き残ってきた知恵が詰まっているということだ。
○印象的な言葉
・他人に儲けさせる
・人が寄ってきやすい”スキ”をつくれ
・本業以外のプラスアルファ。察しがいい、機転が利く
・最新情報の発信基地は大企業
・価値ある情報は人ととことん付き合って、触れ合いの中で掴む
・つくったモノが職人の履歴書
・特許侵害で裁判しても決着するのに何年もかかり、その頃には技術は古びてしまい用済み。勝っても、わずかな賠償金だけ
・難しくて、単価が安くて他がやらないような仕事を拾うところから始めた
・間に名の通った商社を入れることで相手側が一目置く。互いに言いたいことを直接言うと角が立つことも言いやすい
・技術は盗むもの。給料払っているのは会社
・誰でもできることは相手の言い値でやるしかない。人にできないことなら値段を自分で付けられる
・変わり者と言われろ
・誰もやったことがないことをやるとき、それがいくらかかるか(どのくらい価値があるか)分からない。先方にだいたいの予算を言ってもらう
・信用できる担当者がいる相手と付き合う
・職人の強みは、全財産がなくなっても、腕さえあれば稼げること
・身の回りはシンプルにしておくのが、生きたいように生きるコツ
・簡単に真似できるものは一流じゃない
・何でも凄いと感じたところは、仕事に生かせないかと考える
・できないと決め付けない。必ずできると信じる。実現の可能性が6割ないと仕事を請けない
・新しい技術とは新しい発想で基礎をどう組み合わせるかということ
・まだ世の中にないものが面白い
・「もう、これ(この仕事)しかねえ」という覚悟
・人より先につくって、早く儲けて、見切りどきを間違えないで止める
-目次-
1章 “おいしい情報”を手に入れる「世渡り力」
2章 人を引き寄せ、動かす「世渡り力」
3章 自己演出で評価を上げる「世渡り力」
4章 仕事の“敵”から身を守る「世渡り力」
5章 遊びから最高のアイデアを生むコツ
6章 どこでも生きていける「腕」の鍛え方
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