読書メモ

・「「夜のオンナ」はいくら稼ぐか?
(門倉貴史 :著、角川oneテーマ21 \686) : 2009.07.20

内容と感想:
 
男ならきっと気になる夜のビジネス。 「夜のオンナ」達はいったいいくら稼ぐのか、私も気になり、つい本書に手が伸びた。
 ホステス、キャバ嬢、芸者にコンパニオンなど様々な職種の稼ぎや、 業界のお金の流れなどが書かれていて興味深い。 何も知らないで夜の街に出掛けるよりも、ある程度の知識を持って出掛けると、 見える世界も変わってくるだろう。 この業界に興味がある女性も予め予備知識を得ておくのもよい。
 本書で取り上げられている夜の仕事には合法なものだけでなく、非合法なものも含まれている。 客として、働く側として自分の身を守るためにも何が合法で、非合法なのかを知っていることは大事である。 違法なものにまで踏み込んでいるから、売春や援助交際といった犯罪行為も同列に並べられていて、 この本を読む人の中には勘違いする人も出てこないか心配である。
 「あとがき」では日本では「夜の世界で働く女性を保護、支援する法制度や設備が十分に整っていない」と指摘する。 「夜間保育園などの託児施設の不足、通勤時の安全の確保が課題」であるとし、「夜のオンナが安心して働ける総合的な 仕組みを早急に整えること」が求められるとしている。 「夜のオンナ」の中には劣悪な労働環境で働く者もいるとのことであるから、夜のビジネスも日本経済の一部と認めて、 そこで働く人をサポートしていくことが、経済にとっても良いのではないだろうか。

○印象的な言葉
・外国人女性の不法就労者
・母国への送金を担う地下銀行
・銀座のクラブも二極化が進む
・自分の客が付かないホステスが「ヘルプ」、客が付くのは「売上ホステス」
・化粧品代、美容院代はホステスの必要経費として認められる
・キャバクラ・ブーム:優れたコストパフォーマンス。明朗な価格体系
・全国各地の歓楽温泉街の衰退や料亭の減少。芸者の数もお座敷の回数も減少
・花柳界:芸者の世界。置き屋は芸者の所属事務所。修行中の芸者は半玉や舞妓(まいこ)と呼ばれる。 芸者のギャラは花代(玉代、線香代)。
・クラシック演奏会が静かなブーム。昼間のコンサートも開催されている。初心者向けで、演奏時間も短めで、夜よりも料金は低め。
・ロリコン:幼児性から脱却できない。大人の女性と対等なコミュニケーションが取れない。マザコンと表裏一体。
・日本の入国基準が厳しくなり興行ビザで来日するフィリピン人タレントは減少
・横浜・黄金町や川崎・堀ノ内は神奈川県警の徹底した取り締まりで浄化された。「ちょんの間(置き屋)」は激減
・中小企業が人件費抑制のために不法就労でも、安価な賃金で働いてくれる外国人を採用している
・ラブホテルの数も減少傾向。裏ホテルはその4倍存在する
・オランダでは大麻などはソフト・ドラッグとして区別して使用を認めている。売春も2000年に合法化。
・デイリー・プラネット社:オーストラリアで世界で初めて株式上場した売春宿
・タイはアジア諸国の中でも特に大きな地下ビジネスが存在。GDPの46%にもなる(2001年)
・売春防止法により売春産業が違法とされるため、セックス産業がアンダーグラウンド化され、 そこで働く女性が見殺しにされている。労働者として十分な保護が受けられない。 合法化すれば、その経営者や従業員に税金の支払い義務が生じるから、政府の税収増加につながり、性犯罪の抑止効果にもなる。
・シンガポールは売春宿を政府が管理。性病やエイズの蔓延を防ぐため、そこで働く女性に定期的に性病検査を義務付けている。
・セカンドステップ:米「子供のための委員会」が開発した教育プログラム。大人が子供と一緒に考え、その中で社会的なスキルを身に付けさせる

-目次-
序章 「夜のオンナ」のお金の行方
第1章 あなたが払ったお金は誰の手にわたるのか
第2章 いちばん稼いでいる「夜のオンナ」は誰か
第3章 日本の夜に稼ぐ外国人女性たち
第4章 外国では「夜のオンナ」はどうしているか
終章 日本の「夜のオンナ」をどうするべきか