読書メモ
・「検索は、するな。」
(安田佳生 :著、サンマーク出版 \1,200) : 2009.11.03
内容と感想:
グーグルといった検索ツールは便利で、仕事や生活に欠かせないものになっている。
タイトルはそうした風潮を批判するものである。
確かに検索ツールは疑問に対して瞬時に答え(だったり、近いものだったり)を出してくれるが、
世の中には答えのない問題もある。それにはツールは答えてくれない。
自分の頭で考えるしかないのだ。
そのときのためにも自分で答えを出す方法を身につけることが大事だと著者は言いたいのだ。
本書では自分の頭で考えるために大事な考え方を述べている。また著者の思考法を知ることができるだろう。
Part3では自分で考えるには時間を止めることと、多過ぎる情報の流れを止めることが必要と言っている。
流されているだけでは考えられないということだ。
また、同章ではモチベーションを重視する世の中を皮肉っている。
「モチベーションが高かろうと低かろうと、きっちり仕事をしてくれる人の方がよっぽど価値がある」。
Part4では勉強が必要な理由を次のように表現していて興味深い。
「表現したい思いを自分の中に形作り、表現するために必要な思考力を身につけるため」。
全体的に著者の主張は、肩の力の抜け加減がいい。ゆるさが共感できる。
○印象的な言葉
・答えの出し方を手に入れる
・仕事は「大きく考える」、「細かく考える」。大局をとらえ、本質を外さない。細部を徹底的に検証する。
「一瞬の広がり」(大局をとらえる)と「絞り込むスピード」(細部)。
・アイデアはゼロから生み出されるものではなく、そこにあるが誰も気付いていないもの
・誰もが無視しているものの中にこそ、誰も気付いていない新たな発見の入り口がある
・考え続ける力
・多くの情報の中から本質にかかわる情報か判断できる能力
・本気度、プロの意地:本当にキツイときにそれが出来るか。何かを削ってでもそれを優先できるか。こだわり。
・何を変えなくてはいけないのか、何を変えてはいけないのか
・ビジネスの基本「(誰かの)役に立つ」
・成長し続けること:無意識で出来る仕事の領域を広げていくこと
・要約の訓練:「要するに・・」と置き換えてみる。本質が見えてくる
・思考の窓:「仕事頭」と「人生頭」を縦軸と横軸にしたマトリックス。人生の本質はそれらの両極(大局と細部)にある。それは原点を囲む窓の外にある。
この窓が大きいほど器のデカイ人間になる。「ちくわの穴」。窓の中は考えなくてもよいゾーン。無意識で対応できる部分。
・20代はコツコツと積み上げる、仕事の基礎を学び、こだわりを増やしていく。30代は余分なものをそぎ落としていく。
・時代の変化によって、基準が変化する
・自分のメッセージを伝えるために働き、生きる。そこに込められた作り手の思いが人の心を動かす。
・大切な人を思うとき、人の思いは強くなる
・これからは「Big Company」でも、「Good Company」でもなく、(心に)「ぐっとカンパニー」。
・ビジネスに必要なのは商品を生み出すこと、その価値を伝えること。
・「わかる」の3段階:「言葉」の理解→同感→共感。深い理解を得るには論理だけではなく感情にもアプローチ。
・人生は「おろし金」
-目次-
1 すべては脳みそから始まる(ちくわの穴とドーナツの穴は違うのか/二十代の成長と三十代の成長の決定的な違い ほか)
2 自分の頭で考える(天才が秀才に勝てない理由/「考えている大工」と「考えていない大工」 ほか)
3 温泉はいらない、マグマが出るまで掘れ(ちくわの穴について深く考える人は仕事ができる/「素頭のよさ」では超えられない壁 ほか)
4 伝える極意感じるセンス(なぜ勉強をしなければならないのか/仕事に感情を持ち込もう ほか)
5 「好き」が決める、世界の行方(思いがけないタイミングで訪れた9・11での「倒産の覚悟」/つぶれたらどうしよう、ではなく「つぶれなかったらどうなるか」を考える ほか)
|