読書メモ
・「できる上司は「なんで?」を言わない」
(白潟 敏朗 :著、PHP研究所 \1,100) : 2009.08.03
内容と感想:
「やる気を引き出す シンプルなしかけ」、「上司はひと言」などがベストセラーとなっているコンサルタントの著者。
既に何冊も著作が出ているが、それらで一貫しているのはシンプルで、すぐにでも実践できる敷居の低い「しかけ」にある。
本書は「できる上司」、人望ある上司になることを目指した「しかけ」を説いている。
そのしかけとはタイトルにもある「なんで?」を言わないことだけ。
そこでは「なるほど理解、おもわず失敗、かならず反省」を理解し、頭の片隅に置いておく必要がある。
本書に書かれていることは実にシンプルですぐに始められそうなことばかり。
読みやすいから、あっという間に読めるボリューム。
第6章では「部下評価シート」なるものが二種類紹介されている。
これらは部下が上司を評価するシートだ。上司が部下を評価するのが普通だから、上司にしてみれば抵抗があるかも知れない。
それでも下からの評価を正面から受け止めなければ上司としても成長はない。これは最も人事評価で欠けている部分ではないか。
しかし通常、評価される側の部下が正直に上司を評価できるのか疑問は残る。遠慮や抵抗が生じるのではないか。
人事評価制度に活用することを勧めているが、このシートは加減点くらいにとどめるのがよい、としている。
○印象的な言葉
・部下の「やるべきこと」「やりたいこと」「やれること」の重なり合う部分の極大化を目指す(小笹芳央)
・人材育成の基本は長所伸展
・使用厳禁セリフ
・やりたいことをやると生産性は3倍、疲れは1/3
・途中で転んでしまう部下、違う方向に走っていっちゃう部下には手を差し伸べる
・君はどう考える?その心は何?具体的には?
・出来ない人の気持ちが分からない。自分が出来ることは他人も出来ると思う人
・努力をしたいと思ってもうまく出来ない人、努力の方向を間違える人
・一流のプロのスキル、ノウハウは極めて深い暗黙知。それを「自分自身が体得する能力」と「他人に体得させる能力」とは似て非なる能力(田坂広志)
・部下が成長して上司自身が凌駕されることを恐れる
・上司が優秀すぎると部下に依存心ができる。「あの人には敵わない」「ずっと下でいいや」
・ぼけぼん:ぼけた凡人
・はじはじマン:恥をかける人。頭より先に口が動く人。他の人が意見が言いやすくなる
・完全な人は存在しない。そこに人生の妙味がある。減点主義は人の心を腐蝕するばかり(土光敏夫)
・人はみな「自分の使命」を果たすために、何かの長所を持って生まれてくる(船井幸雄)
-目次-
プロローグ 誰でも簡単に「できる上司」になれるシンプルなしかけ
第1章 誰でも「できる上司」になれるんです!
第2章 「なるほど理解」「おもわず失敗」「かならず反省」のシンプルしかけ
第3章 シンプルしかけその1 「なんで?」を言わない
第4章 シンプルしかけその2 「ぼけぼん」にならない
第5章 シンプルしかけその3 「部下の弱み」を見ない
第6章 「部下評価シート」で、できる上司度をチェック!
エピローグ 部下があっての上司、部下と一緒に成長しよう
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