読書メモ

・「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則
(本田 直之 :著、大和書房 \1,000) : 2009.02.22

内容と感想:
 
著者自身「面倒くさがりや」だという。 「究極の」面倒くさがりやは「面倒くさいこと」や、「面倒くさくなりそうなこと」を回避しようとする。 それが仕事をスムーズに運ぶ秘訣なのだ。 「面倒くさがりや」には堕落型と先行型・変革型があり、うまくいく人はもちろん後者。 技術革新や新サービス誕生の背景には必ず「面倒くさい」という思いがある。それは健全な欲求だと著者は考える。
 人類は昔から生活をより豊かにしよう、できれば楽をしたいと工夫を重ね文明を進化させてきた。 ネガティブに捉えられがちな「面倒くさい」という表現を使って意外性を出している。 本書は著者が実践してきた「うまくいく法則」を「考え方」「日常生活」「仕事」の3部に分けて解説している。
 「3 仕事編」に「やらないことを決める」という項目がある。 「やることリスト」を作る人は多いが著者は「やらないことリスト」を作るそうだ。 自分の価値観にそぐわない、やりたくないことをリストアップし、折に触れチェックするのだという。 周囲に流されていないか、時間を無駄にしていないか、面倒くさいことに巻き込まれていないか、などを確認するのだそうだ。 「やりたくないこと」ベースで考えた方がコントロールできる、というのは目から鱗であった。

○印象的な言葉
・できるだけ早い段階で「面倒くさい」ことへ対処する。その時点ではまだ問題は小さく、前向きな気持ちで対処可能。
・「面倒くさい」というストレートな欲求が進歩と革新を生む原動力。可能性に満ち溢れた種。そして文明は進歩
・余計な口をきくほど損をする
・営業で大切なのは相手の要望を見極めること
・相手の話に耳を傾けることで新しい情報を入手し、違ったものの味方を知る。自分の発言は2、3割に抑える。自分からも価値ある情報を提供。
・何か作業を開始すると、脳の「側坐核」が刺激され、やる気が湧いてくるようにできている。作業興奮。小さなことからスタートする。
・「変えられないもの」を変えようとしても無理、執着しない。「変えられるもの」は自分の思考と行動。事実は変えることはできないが、解釈は変えられる
・カラーバス効果:目標があるため、しれに関連する情報を勝手に集める。運に気付く。運を掴む。チャンスを見逃さない。
・素直な人:柔軟性。試してみる。すぐに行動に移すことができる。
・多少変わり者と思われているくらいのほうが余計な頼まれごとをされずに済む
・難しく考えない。考えるという行為そのものに自己満足する恐れ。
・小さなアイデアを逃さず、育てていく
・人の意識は自ら発する言葉によりコントロールされる
・イヤなこと、大変なことも「これはトレーニング」だと思う
・人間の行動の95%は無意識のうちに行なわれる。
・型はうまくいく仕組み。無意識化すること。習慣。自分で型を選ぶ、型を作る
・短期より長期の予測のほうが簡単。10年くらいなら大きなうねりをイメージできる
・気力や体力に頼るような生き方では、どこかで必ず息切れする
・スポーツと投資と経営は過酷な競争に晒されている分野。トップアスリートのスポーツトレーニングは科学的で理にかなっている。理論にもとづき効果的。 彼らの考え方も原理原則のレベルまで高められている。その原理原則は仕事にも応用可能。
・戦国武将的な組織論は大企業のマネジメント向き。現在はチーム単位のマネジメントが重要で、野球やサッカーのマネジメントの方が役立つ。
・時間は増やすことはできない。過ぎた時間は取り戻せない。毎日確実に目減りする。
・自己投資へのお金をけちることは時間を浪費することにつながる。自分の価値を下げる
・毎朝5分間、その日の予定を考える。紙に書き出す。1日を自分でコントロールする
・究極の整理整頓は捨てること。一種の編集能力。
・予約することは自らスケジュールを決めること。決めたスケジュールは淡々とこなす
・運動を習慣にすることで疲れにくい体にする
・睡眠と自己投資の時間は1日24時間から最初に天引きすべき時間
・インターネットの欠点は「俯瞰性のなさ」。パッと見て全体の印象を感じ取れない。
・人間の脳には25時間周期の体内時計がある。朝日を浴びると体内時計がリセットされる。
・ロールモデル(手本となる人)を複数もつ。目標・行動規範となる人。彼だったらどうするかと考える。自分の成長に合わせて新しいロールモデルを加えていく。 ある組織をロールモデル化するのもあり。
・相手を変えようとしない。相手にとっては大きなお世話かも知れない
・打ち合わせに遅刻することは相手に失礼。謝罪からスタートすることは気分的にもよくない。打ち合わせもうまくいかない。遅れそうと思うだけでストレスになる。走って汗もかく。
・仕事と作業を峻別する。その仕事は成果につながるのか?意味があるのか?
・英語ができないと仕事にならない、損をする時代
・人脈は刺激や動機付けとなる。仲間の動静が誘因剤となり、自分を鼓舞させる

-目次-
1 考え方編
2 日常生活編
3 仕事編