読書メモ
・「「信号処理」「画像処理」のためのMATLAB入門」
(高井 信勝 :著、I・O BOOKS \2,500) : 2009.04.27
内容と感想:
「信号処理」や「画像処理」にMATLABを利用するための入門書。
MATLABは科学技術計算用ソフトとして有名である。
本書の前半はMATLABの使い方やプログラミング方法などの基礎編で、
後半は主要なテーマでもある信号処理や画像処理への応用編となっている。
それらの処理の肝がフーリエ変換であり、MATLABが搭載する高速フーリエ変換(FFT)の関数を用いた
プログラム例や実行例を挙げながら解説している。
画像データの低域・高域のフィルタリングや輪郭強調、デジタル・ホログラフィの実現などでは、
処理結果が画像として得られるから分かりやすいだろう。MATLABだけでこんなことまで出来るのかと感心させられた。
付録にはMATLABが搭載する多彩なコマンドや関数が列挙されており、機能の豊富さを知ることができる。
○ポイント
・数値データは行列で定義できる。要素がただ1つのときはスカラー、要素が1行または1列の場合はベクトル
・左割り:例)5¥45=9のように左の数で右の数を割る演算
・一様乱数:平均値が0.5で、範囲が0〜1の乱数
・正規乱数:平均値がゼロ、標準偏差が1の乱数
・多項式近似:複数のデータ全体の変化に合う曲線を多項式によって表わす。次数nが大きければ良い近似とは限らない。最小二乗法。
全ての値に関して偏差を最小にする曲線を求める。
・標準偏差:ある集団の中で値がどの程度広く散らばっているかを示す
・大数の法則を応用して円周率を求めることができる(モンテカルロ法)
・フーリエ変換:周波数成分の解析、信号と雑音の分離、フィルタリングによる雑音の低減や特徴の抽出。
コンピュータでフーリエ変換を求める場合、信号波形を離散的データとして扱う。この離散的フーリエ変換(DFT)を
高速に行なうアルゴリズムが高速フーリエ変換(FFT)
・2次元フーリエ変換:画像処理などに用いる。画像は2次元配列データ
・カラーマップ付き画像:2次元配列の画像データにp行3列のカラーマップ行列(pは色調によりことなる。各列はRGBの輝度を表わす)をセットにする。
・RGB画像(トゥルーカラー画像):m×n×3の3次元配列で表わす
・画像に影を付ける微分演算、輪郭(エッジ)を抽出(強調)するラプラシアン演算
・ホログラム:複素数画像データの位相を記録・保存したもの。ホログラフィ。画像データに著作権データを埋め込んだ「電子透かし」を実現
-目次-
MATLABとその使用環境
変数と演算
変数の管理とデータの入出力
Mファイルとプログラミング
グラフと図形の描画
Figure Windowと座標軸
多項式・求積・微分方程式
統計データの解析
離散的データのフーリェ変換
相関関数とパワー・スペクトル
画像グラフィックス
デジタル画像処理
フーリェ画像処理
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