読書メモ
・「齋藤孝の学び力」
(齋藤 孝 :著、宝島社 \1,200) : 2009.06.28
内容と感想:
著者はうまく学びを進めていくことのできる能力を「学び力」と名づけた。
「はじめに」で書いているように著者自身がかつて先の見えない不遇な状況にあったとき、
「学び力」が「唯一の灯りであり、岩盤を掘るつるはし」だったと告白している。
著者は学び続けることで人生を切り開いてきた。
その学びの達人が研究し、身につけてきた「学び力」の重要性を第一章で説く。
第二章では「学び力」を構成する5つの要素を挙げている。
自己認識力、全体把握力、視点移動力、共有力、概念化力。これらを意識することで学ぶ力は付いてくるという。
第三章では「学び力」を付けるための方法を構え作り、鍛錬、型を作る、の3ステップで解説している。
第五章には学ぶことで自由を得ることができる、というようなことが書かれている。学びを通して「新しい自分になる」、
新しいことを知り、自分を更新させていく。物事をたくさん知ることで、「考え方の幅や活動領域は広がり、格段にその人の自由度は高くなっていく」と。
本の帯にも書かれているのが「学び力」の効果として「自信がもてる、勝負強くなる、そして、日本が明るくなる」。
学ぶことの価値を再認識し、学び始めることで、自信喪失状態にある日本人に自信と希望を与え、日本を明るくできると私も共感できた。
最近では「教育格差」なる言葉も聞かれるが、学びたくても家庭環境や経済的な理由で学ぶ機会を奪われる子供や若者たちが増えないよう、
また減らすよう、国全体で早急に対策を考えていかねばならない。
○印象的な言葉
・学ぶことには生きる目的までもが凝縮されている
・学ぶ構えが人生の追い風になる。学んでいる限りは前向きな姿勢でいられる
・結果は後からついてくる。勝利は充実した学びのプロセスそのものの中にある
・我学ぶ故に我あり
・自信を作る学びの力、それまでの自分を超えることができたという自信。未来を明るく照らす
・新しい世界と出会う喜び
・向学心、精神の糧
・学校の成績は真面目さの尺度。着実にレンガを積み上げていくことができるかを見る
・社会で求められる力:獲物を発見し、最適な武器を工夫して調達し、狩の方法を考え、素早く試行錯誤を繰り返す狩猟感覚
・上達する普遍的な論理を学べばよい
・新しいものを見たときにすぐ見通しを立てられる能力
・学ぶとは自己の外部にあることを自己の内部に入れること。自己の領域を広げていく。
・戦争とは視点移動を拒否することから生じる
・体系化する、エッセンスを抽出する、ルールとして確立する、自分の型に加工する
・モチベーションだけに頼ると波ができる。学びに入るためのスイッチが学ぶ構え
・古今東西の仕事ができる人たちの伝記や自叙伝を読み、先人から学ぶ構えを盗む。彼らのバックアップがあると思い込む
・いつでも学んでやる、という攻めの姿勢。自転車のように進んでいなければ倒れてしまう
・一歩ずつ大量に努力するよりほか、上達の道がない場合のほうが圧倒的に多い
・この人だったらこういうときはこう考える
-目次-
第1章 いま必要なのは「学び力」
第2章 「学び力」とは何か
第3章 知識を論理に、そして実践力へ移す技
第4章 学び力が作り出す勝負強さと戦略的思考
第5章 そして学ぶ喜びへ
|